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狙われた屋台(2)

そういうわけでミョクミョクの手下たちは、2、30人の大集団で、他国のパビリオンを襲撃する前に、三輪さんの屋台に立ち寄った。せっせとにゅうめんを調理する三輪さんにウルグアイの館長が代表して言った。


「おうおう、ねえちゃん。誰に断って屋台なんか出しとるんや」

「博覧会運営者に断って出しています」

「困るなあ。ミョクミョク様に許可をとってもらわないと」

「それじゃあ今から許可をとりに行きます」

「もう遅い。俺たちはミョクミョク様からこの屋台を壊すように言われてやって来たんだ。繁盛していたらしいが残念だったな。さあ、そこをどけ」


ウルグアイ館長は屋台を壊すために三輪さんをどかそうとしたが、三輪さんは言った。


「壊すなんて言わないでください。世界のみんなが仲良く繁栄していこうというのが、このイベントの趣旨ではありませんか」

「世界のみんなだあ?口ではそんなきれいごとを言って、本当は俺たち小国のことなんて道端に転がってる石ころくらいにしか思ってないんだろ。分かっているぞ」


ミョクミョクに洗脳されると、他人を恨み、ねたむ気持ちが強くなり、こういう理不尽ないちゃもんをつけたりすることがある。三輪さんは答えた。


「そんなこと思っていませんよ。あなたはどちらの国の方ですか」

「ウルグアイだ」

「ウルグアイはいい国です」

「丸め込もうと思って口から出まかせを言うな!どうせ《パラグアイとウルグアイはどっちがどっちかも分からない、南アメリカの島根と鳥取だ》とか思ってるんだろ」


いやに日本の都道府県事情に詳しいおっさんだ。三輪さんは答えた。


「パラグアイは内陸国、ウルグアイは海沿いの国で全然違うし、ごっちゃにしたりはしません。いい国だと言ったのも出まかせではなくて、個人的には、世界有数の大河ラプラタ川があって、ラプラタカワイルカという珍しいイルカが泳いでいたりするところが好きです」

「むむ……」


ウルグアイの館長は、三輪さんがパラグアイとウルグアイを正しく区別し、ウルグアイの好きなところを挙げてくれたことを喜び、屋台を壊すのをやめた。


だが、別の手下がウルグアイの館長を叱りつけた。


「それくらいで丸め込まれるんじゃない。屋台を壊すようにミョクミョク様から言われているのを忘れたのか。大体、ウルグアイは言うほど小国じゃないし、知名度もまずまずある方だ。この女も、ウルグアイはともかく、本当の小国のことは内心バカにしているに違いないぞ」


これに対して、ミャクミャクの手下である他の国のパビリオンの館長たちが言った。


「そういうお前はマルタ共和国の館長じゃないか」

「マルタか……小国を語るに不足はない」

「なんなら淡路島より小さいんじゃないか」


淡路島は博覧会の会場から見えるので、外国のパビリオンの館長たちにもそれなりに知られていた。マルタの面積は淡路島の半分強だ。

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