欧州魔術師四人衆(2)
4人はマントを脱ぎ捨て、そのうちの1人、オーストリアの館長がにゅうめんマンに勢いよく殴りかかった。魔術師だからといって魔術で攻めるわけではないらしい。にゅうめんマンはそのパンチをブロックして敵の腹を殴り返した。殴られた敵はぐったりと地面に崩れ落ちた。
だが、ここで思いも寄らないことが起こった。なんと今殴ったはずのオーストリアの館長が、少し離れた所に余裕の笑みを浮かべて立っているではないか。だが、実際に殴った男はやはり地面に倒れている。にゅうめんマンはわけが分からず困惑した。それをおもしろがるようにオーストリアの館長が言った。
「お前は確かに俺を殴ったつもりだろう。だがよく見ろ。そいつは俺じゃない」
「それじゃあ俺が殴ったこの男は誰なんだ」
「オーストラリアパビリオンの館長だ!」
「なんだって!!」
2人がほとんど話し終わらないうちに、次の敵、アイルランドの館長がにゅうめんマンに躍りかかった。にゅうめんマンはたくみに敵の攻撃をさばき、この男にもパンチを打ちこんだ。男は低いうなり声を上げて地面に崩れ落ちた。
「!?」
なんということだろう。またしても、殴ったはずの敵が、少し離れた所から愉快そうにこちらを見ているではないか。一体どうなっているというのか。アイルランドの館長は言った。
「残念だったな。そいつは俺じゃない。お前は俺を殴ったつもりだろうが、その実俺に手をふれることさえできないのだ」
「なんだと。それじゃあ俺が殴ったこの男は誰なんだ」
「アイスランドの館長だ!」
「なんだって!!」
だが、悠長にアイルランドの館長と話し合っている余裕などなかった。3人目の敵、アンドラの館長が激しく飛びかかって来たからだ。にゅうめんマンはさっと交わして、アンドラの館長を殴り倒した。
「!?」
なんということだろう。にゅうめんマンが打ち倒したのは、アンドラの館長とは別の見知らぬ男だった。いつの間にか少し離れた所に移動していたアンドラの館長は言った。
「何をやっているんだい?この戦いとは無関係のアンゴラの館長を殴り倒すなんてひどいじゃないか」
「アンゴラだと!!」
《一体何が起こっているんだ》
混乱したにゅうめんマンは思考を整理しようとしたが、残念ながらゆっくり考える暇もなく、最後の1人、アルバニアの館長がにゅうめんマンに突撃した。
普通の人間が相手なら、ミョクミョクの洗脳によって肉体を強化されたアルバニア館長はあっさりしとめられただろう。だが、にゅうめんマンはすばやく横に跳んで館長の突進をかわし、斜め後方から敵を殴り倒した。
《ふぅ。少なくとも1人はやっつけたぞ……》
とにゅうめんマンは思ったのだが、なんということだろう、世の中そんなに甘くはなかったのだ!ふと横を振り向けば、殴り倒したはずのアルバニア館長がにやにやとこちらを見ているではないか。
「ふはははは。豆鉄砲をくらったハトのような顔だな。お前も気づいたかもしれないが、そいつは俺とは別人だ」
「なんだって!それじゃあこの男は一体全体誰だというんだ」
「アルメニアの館長だ!」
「アルメニア……!!」




