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脳内ヒーロー洋二  作者: 井田雷左
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第八章 エピローグ 2



    2



正直、その宣言に洋二としては少々ムッとした。

―調子いいよなぁー。

などとも思ってもみた。

だが、兼崎に打算があったかどうかまでは判りかねるが、今の宣言は、江野にもう手出ししない、それも無視するのでもない、仲良くやっていく、という内容にも取れる。

それに、どうやら、兼崎は小林先生に利用されていたことを良くは思っていないようだ。

小林先生が自分と電話で話している映像は兼崎家のTVモニターに流しておいた。

ちょうど帰宅した時に兼崎くんじしんも観たか、家族に聴いたのだろう。

自分が麻井藍の絡みで、小林先生の名前を挙げた直後にコレだから、勘づいたのであろう。

この流れに関心持ったのは確かなようだ。

そして何者がこの一件を仕掛けたのか?と疑問に思うのは当然である。

自分らを夜半に襲撃し、恥ずかしい動画を撮り、その後、小林先生を誘導して会話し、その映像を教師や保護者の家に流した人物。

これが同一人物の仕業だと知る者は兼崎が仲間に話していなければ、彼一人しか知らない。

洋二は彼らの動画撮影サークルを未だ手放すのではなく、繋がりは作っておいた方がいいと判断した。

小林先生の一件が露呈されたということは、回線や電波を掌握して、暴露した者がいるということだ。

その人物は学校関係者だけでなく、教育委員会や官僚の家にまで流したのだ。

これは一つ、学校内だけでもみ消さないようにすることを目的とし、二つ、それだけ端末を遠隔操作できる能力を持つことを示唆する。

これは実行した人物が目的と能力が学校とその上部機関の脅威であるということだ。

確かに、洋二の現在の能力により、彼まで学校・官僚・警察が辿り着くことはまずあり得ない。

だが、自分を補足しようとする組織を把握はしておきたい。

そこで、<チャンピオンシップ・フレンドシップ>は残し、接触は継続することにした。

そして、藍はどこまで本気なのか。

いや、父親にあすこまでの引導を渡すことをやってのけるから、女子高生ユーチューバーとか平気でやるだろう。

金も稼がなきゃあならないから、収入の一つの選択肢にする可能性は高い。

その時は、信夫でも誘って、自分も兼崎たちのサークルに入ることすら洋二は考えていた。

職員室は小林先生に関する問い合わせの対応や各官庁への報告にてんてこ舞いのようだ。

それを洋二は脳内のディスプレイで同時で眺めている。

―つくづくあの教師には同情を感じないが、この同僚たちもそれに十年以上気づかないのだから、同情はしないでもないが、かわいそうだとは思わないかな。

複数の事象を同時に把握することに洋二は慣れてきた。

官僚の家のTVやPCまでハッキングした自分を警察のコンピューター犯罪専門部署が追っているが、その動向も逐一チェックできている。

動画のハデな動きがあった時、話される単語の重要ワード(洋二じしんの名や藍の名、家族の名前含む)が出た時、直ぐに洋二がモニターできるようにしたりと、なるべく負担はないようにしている。

そのような事象を全て見渡せる天界のような脳内で、一つだけ見ないようにと言われた事がある。

「鮎川くんさ、もうお父さんを監視しないでいいよ」

昨夜、遅い時間に藍が洋二に電話をしてきたのだ。

この話が出る前に、ケガをさせず兼崎一派を一網打尽にして、江野にも納得してもらい、小林先生の話は内容を最低限度に留めて、説明しておいた。

明日の朝に動画が流され、ヤツらが逆ギレしたり、被害者ヅラするかもしれないから、様子を見ようという話もしてある。

「またやるかもよ」

「いや、監視されていると思わせただけでいい。それで又浮気するかもしれないけど、その指摘をするのはなんか違う感じがするんだ」

「ああ、そうかも。それは世話をすることだから、お母さん役かも」

「そんな感じかな。それとさ、鮎川くん」

「うん?」

「私のことは藍でいいよ。でもちゃん付けは嫌いなんで、藍」

「じゃあ、僕も洋二でいい」

「いや、きみはようちゃん」

「え」

「いやかね?」

「新鮮だし、いいよ」

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