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脳内ヒーロー洋二  作者: 井田雷左
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第二章 検索と実験と再会 4



    4



しかし、この時間に出るのは気が引ける。

22時。

男子高校生がで歩いても、未だぎりぎり許される時間な気もするが、木曜朝の件で母親を不安にさせ、木金と高校を欠席し、病院にも行かず、今日ははっきりと目的や行き先も伝えず外出している。

この流れで、夜出かけるのは気まずい。

それにネカフェに行ったら、試したいことはヤマ程ある。

帰宅は明日の朝になるだろう。

だがこのウェブが全世界を覆う時代、億万長者が最大のSNS企業を数兆円で乗っ取るような時代、この能力は神に匹敵する。

飯田安奈のことを洋二は忘れたワケではなかった。

だが、あれだけの情報があればもうなんとでもなると確信もしていた。

同時に、飯田安奈なる人物には、自分が危害を加えられたことと、これからも麻井藍を狙われる危険性という二つから、何らかの対処をしなければならず、そのためにはこのネット上での最強能力を全て把握しておきたかった。

更にこれも明記しておく。

ここまで、これくらいこの能力を把握した洋二には、警察や検察等の当局に飯田安奈の件含めて、報せる気は一切無くなった。

むしろ、この能力が自分以外が知ることを隠すことをこの時に決心した。

実験モルモットにされるという月並みなことを筆頭に想起したが、なにより、この能力を独占したかったのだ。それは明確に欲であった。

すると、この能力を持つ人間が自分以外にいるのか?という疑問が自動的に上がってくる。

当局より、そちらの方が驚異であろう。

今、ネット投票を少しイジって、直したが、それだけで〈同類〉だったら、気づくのではないか?という危惧を洋二は思った。

実はコレがいちばん恐ろしいことだとようやく洋二は辿り着いた。

家族や藍に信夫にこの変化がバレるよりも、警察や政府にリークされるよりも、こちらの方が幾分リアルである。

しかし、トートロジーに陥る。

―同類を索敵できるシステムがこの身体にあるか、無いか、という話か。

すると、やはり、ネカフェに行くか、というそんな順繰りである。

霊能力者が霊視した感じで、何か2ケタの数字が洋二の脳内に浮かぶ。

―??

もう一度、思い浮かべようとするが、叶わなかった。

力むことと、雑念が入ること、この二つが、妨げになるようだ。

爪からのチップ、髪の毛に混じったコード、どれも必要にかられた時は問題なく実体化した。

―今の2ケタの数字って、つまりこの能力の〈同類〉の数ってことだよな。

探求心だけを洋二は心がけるが、やはり相手への恐怖や相対する時の期待が生まれ、それらの感情がジャマしている。

―精神統一、か。

バカバカしくも感じたが、妙な身体能力と身体から妙なもの生えるという異変に洋二は慣れてきていた。そして、そのことの異常性を再認識し、イヤな気持ちになっていた。

―!

今、自分の〈手〉が見えた。

〈手〉というものは顔以上に日常よく見るものだ。女性のように鏡をあまり見ない男の子の洋二ならば、なおさらである。

手を今、この部屋で見る。

妙な違和感。

さっきの〈手〉をもう一度見たい、と思い、同時に自分の手を見ると、どうにも奇妙な気分に襲われた。

―これが、母さんや信夫が感じたものの正体、か。

洋二は直感的にそう思った。

懐かしいものを喪失した感じ、というものか、と考えると、〈手〉が又現れる。

夢の中で樸は蝶として飛んでいるが、僕の普段が蝶が見ている夢ではない、と言い切れる、か。

『荘子』にある「胡蝶の夢」だ。

なぜそれを今、思い出したのか。

それはキックとなり、洋二の人生はこの時に、終ったのかもしれない。

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