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【第二巻発売中】世界救い終わったけど、記憶喪失の女の子ひろった  作者: 龍流
世界を救った勇者の婚活

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202/204

第201話 昔殺していた四天王が合コンにきたときの対処法

 回想終了。


「というわけで、今日の合コンにはボクたちも参加することになった。よろしく頼むよ親友」

「帰る」

「まあ待て。そんなに照れなくてもいいだろう、我が教え子よ」

「帰る!」


 おれの決断は早かった。

 即座に踵を返し、部屋を出ようとした。

 が、クソ親友とアホ先生に両肩を抑えられ、逃走を企てるそれ以上の動作は叶わなかった。

 だめだコイツら。無駄に強い。振りほどけない。


「どうして逃げようとするんだ親友!? キミにはボクたちとの感動の再会を喜ぶ気持ちはないのかい!?」

「じゃあ逆に聞くが、お前の方こそひさしぶりの再会の場が合コンであることに何か思うところはないのか!?」

「ああ! おもしろいと思う!」

「帰れ。おれじゃなくてお前が帰れ」

「照れるなよ親友。これから一生の伴侶を見つけに行くんだ。そんな風に心が恥ずかしがっていては、愛のキューピッドも逃げ出してしまうよ? まあもっとも、今日記念すべきこの場に、勇者の愛のキューピッドとして馳せ参じたのはこのボクだ。キミの恥じらいというベールを取り払い、運命の人を共に見つけ出してあげようじゃないか!」

「よく喋る……!」


 本当によく喋るな、コイツ。

 懐かしいけどマジで腹が立つ。

 そのまま取っ組み合いをはじめたおれとバカを見て、先生が微笑んだ。


「いいな。青春だな」

「おれたちもう二十歳過ぎてるんですよ。いくつだと思ってるんですか」

「俺からしてみれば、お前らはいつまで経っても子どものようなものさ。かわいい生徒だからな」

「先生……」


 先生の口調は、本当に心から昔を懐かしむようで。

 おれは、バカと取っ組み合う手を止めて、目を細めた。


「なんかいい感じのこと言ってますけど、これからおれたち合コン行くんですよ」

「うん」

「うんじゃないんですよ。恥ずかしくないんですか? 生徒と合コン行くんですよ?」

「ああ! 楽しみだ」

「くそっ……」


 恥じらいはないようだった。飲み潰れて上半身裸で一夜を過ごしてもあっけらかんとしている男は、心の器も大きいようだった。


「ていうか先生、こんなところに来ていいんですか?」

「それはどういう意味だ?」

「すっとぼけないでください。先生には良い仲の人がいるでしょう。具体的にはおれの担任の先生だった美人さんがいるでしょう!?」


 さっ、と。

 先生の視線が、横に泳いだ。


「何を言っているのかよくわからないな……」


 この筋肉ヒゲ親父、さてはケンカでもしたな? 

 学生の頃から互いに好き合っているのは明らかだったのに、何年モタモタやっているんだろう。さっさとくっつけばいいのに……。


「なんだその顔は。さっさとくっつけばいいのに……とでも言いたげな顔だな」

「はい。そういう顔です」

「大人にはいろいろあるんだ。お前が気にすることじゃない」

「じゃあ生徒の婚活に首ツッコむのも、やめてもらっていいですか?」

「断る」

「なぜ?」

「おもしろそうだから」


 取っ組み合う相手をクソ親友から奥手筋肉ヒゲ親父に切り替えようとしたおれだったが、そこで背後から咳払いの声が聞こえた。


「旧交を温めるのも構わないが、そろそろいいだろうか?」


 振り返ると、メガネをかけた几帳面そうな外見の騎士が立っている。


「あなたは?」

「お初にお目にかかる、勇者殿。陛下の勅命で、本日の合コンに参加することになった。第四騎士団長の団長だ」

「まだ増えるの?」


 思わず口に出てしまった。

 いや、だって……まだ増えるの? 

 なんでおれ以外の男側の面子、全員騎士団長なんだよ。おかしいだろ。戦争でもしにいくのか? 


「陛下から直々に賜った仕事だ。そこのお二人はともかく、私はあなたを全力でサポートするつもりでいる。どうか、よろしく頼む」

「あ、はい。よろしくお願いします」


 なんだか生真面目そうな人だ。

 なぜか、はじめて会った気がしない。

 いや、ちょっとまて確実にどこかで会ったことがあるな。明らかに見覚えがある顔だ。


「すいません。失礼な質問なんですけど、どこかでお会いしませんでしたか?」

「質問の意図がわかりかねる。先ほど、お初にお目にかかると言ったはず。私とあなたは初対面だ、勇者殿」

「いや、でも絶対どこかで……」

「初対面だ」

「いやいや、でも」


 記憶を探る。

 多分、この人の顔を見たのは、わりと最近のことだ。

 そう。わりと最近。赤髪ちゃんと出会ってから……たしか王都で、賢者ちゃん関連……賢者ちゃん? 


「あ! 賢者ちゃんに踏まれてた人!」

「勇者殿。騎士の恥だ。どうかお願いだから、あの時のことは忘れてほしい」


 対面早々土下座をされた。清々しい。完璧な土下座だった。


「ところで、どうしてあの時、うちの賢者ちゃんに踏まれてたんですか?」


 立ち上がった騎士団長さんは、土下座でズレたメガネを整えながら答えた。


「ちょっとした権力闘争で負けて証拠を握られて脅されていた」

「うわ……」

「あれ以降、私はあなたのパーティーの賢者殿には頭が上がらない。私は彼女の豚のようなものだ」

「騎士として恥ずかしくないんですか?」

「最近癖になってきた」

「え?」

「では、移動しながら本日の予定を説明しよう」


 聞き間違えだろうか? 

 うん。聞き間違えということにしておこう。


「本日の合コンは男女対面の会食形式で取り行う。場が温まってくれば要望に応じて席替えなども実施する予定だが、とりあえず最初の席順は右から第一騎士団、第四騎士団の私、第五騎士団、そして勇者殿だ」


 聞けば聞くほどアホみたいなメンバーである。

 が、さすがにもうツッコむ気力はないのでスルーする方向でいくことにした。


「そういえばおれ、お相手のことあんまり聞いてないんですけど……」

「ああ。それに関しては安心していただきたい。陛下から伺ったところ、とびきっきりの美女揃いと聞いている」

「そいつは楽しみだ。巨乳の美人さんに期待したいな!」


 ヒゲオヤジがまた好き勝手なことを言ってる。

 まあ、おれも男だ。巨乳の美人さんは決して嫌いではないし、せっかく陛下が設けてくれた場でもある。新しい出会いに期待しても罰は当たらないだろう。


「会場には既に一人、相手方の女性が着いているらしいよ。女性を待たせてしまうのも申し訳ないし、ボクたちも先に入っていようか」

「ん。わかった」


 男側の人選で完全に出鼻を挫かれた感はあるが、今日は楽しもう。

 おれは会場の扉を開いた。




「あらあらあら! 素敵な殿方がたくさん! お待ちしておりましたわ〜!」


 とびっきりの美人がいた。

 聞き覚えのある声と、見覚えのある顔と、見覚えしかない巨乳がそこにあった。

 おれは黙って扉を締めた。

 隣に立つ先生を見る。

 生粋の巨乳好きであるにも関わらず、顔面には滝のような冷や汗が流れている。

 隣に立つ先生と頷き合う。

 おれたちは、声を揃えて言った。


「「──帰っていいか?」」

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