ページ(7)お風呂の時間
オイラの名前は大神ケンだ。
今何してるかと聞かれたら、リンねーちゃんとお風呂に入ってる。リンねーちゃんはひとりぼっちで異星?に来たオイラにイロイロとメンドー見てくれる、やさしいおねーちゃんだ!オイラにはホントーのきょうだいとかいないし、とうちゃんとも、かあちゃんとも長く会ってないけど、リンねーちゃんがいるからさみしくないんだ。
『ケン坊、髪長すぎだ。洗うのも大変だし、風呂上がりに散髪しないか?私が切ってやるぞ?』
オイラの頭を力強くゴシゴシってシャンプーしてくれながら、ねーちゃんがメンドくさそうに言ってる。
「いいよー、やんなくてー。オイラ短いカミノケだと調子悪くなっちゃうからさー!」
『何だそれは。まぁ、無理にとは言わないが、そんな事じゃ女の子にモテないぞ?』
ちょっとトクイげにねーちゃんは言う。
「リンねーちゃんがそういう事言うのめずらしいね?ねーちゃんこそどうなの?シンにーちゃんの事気に入った?」
ちょっとイジワルな言い方でオイラがニヤニヤ笑いながらねーちゃんに言うと
『ば、ばかな事を言うな!まだ会ったばかりだしどんな奴かも分からないんだぞ!?今のところ悪いやつでは無さそうに見えるが・・・』
オイラの髪の毛を後ろからゴシゴシやってるから、ねーちゃんの顔みえないけど、たぶんドーヨーしてるな!顔赤くなってるかな?見たかったな。
とりあえずインショーは悪くないみたいだ、良かったなシンにーちゃん!
「ねーねー、リンねーちゃん!明日は三人で何して遊ぶー?」
オイラはけっこうワクワクしてる!
『残念ながら遊んでる時間はないぞ!明日から早速修行していくぞ!まず、シンヤには何が出来るか、出来ないかを見させてもらう。その後は基礎体力の向上と強みは伸ばして、弱点は克服してもらう!忙しくなるぞ!!』
ザバーっとオイラの髪の毛のシャンプーのアワをお湯で流しながらねーちゃんがそう言う。オイラが振り向いてねーちゃんのほうを見ると、ねーちゃんはとてもキリっとした顔をしてた。
うわー。これまじで燃えてるじゃん、リンねーちゃん!
シンにーちゃん、頑張れよー!
オイラはにーちゃんにドージョーして笑いそうなのを頑張ってこらえた。
『ん?何を他人事みたいな顔してるんだケン坊!お前もしっかりシゴいてやるからな?まだまだケン坊も強くなれるからな!』
ねーちゃんはどえす?な顔でふふん!ってかんじに笑ってオイラにそう言った。
「うん、よろしくなリンねーちゃん!楽しみにしてるよ!!」
『全く、少しくらいビビるとかないのか?お前はいつもそうやってニコニコ笑ってるな。頼もしいよ!』
今度はねーちゃんはやさしい顔でフフッてかんじにちょびっとだけ笑ってる。
「よーし、洗いっこだ!今度はオイラがねーちゃんをゴシゴシするぞー!」
『うん、頼む。』
オイラはねーちゃんの背中をアワブクブクのスポンジでゴシゴシ洗う。
「どーだ、ねーちゃん。きもちーか?」
『うん、でもちょっと力強すぎないか?もう少し優しく洗ってくれ。』
「わかった!でもほんとねーちゃんはお肌きれいだなー!にーちゃんも見たかったんじゃないかなー。」
『な?なんでそうなる!何かとあの男の事ばかり!それにジロジロ見すぎだ!ケン坊も男の子だな、そろそろ一緒にお風呂入るのも考えなければな・・・』
今度はねーちゃんがオイラのほうに真っ赤なカオを向けて言ってきた。ねーちゃんのこんなカオ見るのはじめてかもしれないぞ。
ザバーッとねーちゃんのカラダについたアワをお湯で流して湯船に二人でいっしょに入る。
ねーちゃんのほうを見てみると、ねーちゃんはシンケンなカオしてだまってる。
「ねーちゃん、どーしたの?考えゴトか?」
『大丈夫だよケン坊。ただ、自分達の身を守る為とは言え、何を目指して強くなるべきなのか、シンヤの推測通りに此処で生き残る術が別の方法であったとしてまるで雲を掴むような・・・先の見えない、何の為の戦いを始めようとしているんだろうなって思ってな。』
そうか、ねーちゃん女の子だもん。不安だよね・・・
「そうだなぁ、オイラむつかしいコトわかんないけど・・・わかんないコトごちゃごちゃ考えてもわかんないままだよきっと。そのわかんないコトの答えをねーちゃんとオイラとシンにーちゃんで探したらいいんじゃないかな?シンにーちゃんは考えるのトクイそうだし!」
オイラがそう言ったら、ねーちゃんはびっくりしたようなカオでオイラを見て言った。
『やれやれ、元々その提案をお前達にしたのは私だったのにな、私も弱気になっていたのかな?確かにお前の言う通りだケン坊。三人寄れば文殊の知恵とかって言うしな!頼りにしてるよ!!』
ねーちゃんは太陽みたいにキラキラしたカオで笑ってそう言った。
「まかしといて!考えるのはニガテだけどオイラ運動はトクイだから!もっと強くなってねーちゃんを守ってやるからな!!」
『フフッ、一丁前に言うじゃないか!明日からの特訓を楽しみにしてるんだな!』
ねーちゃんは今度は鬼みたいにギラギラしたカオで笑ってそう言った。
『さて、そろそろ上がるか。のぼせてしまいそうだ、シンヤを待たせても悪いしな。』
ねーちゃんはいつもお風呂短いなぁ、まーオイラも長いお風呂はめんどくさいからちょうどいいけどね。
オイラがお風呂から出てまわりを見回してると、
『何してる?早く身体拭かないと風邪引くぞケン坊?』
ねーちゃんは不思議そうにオイラを見てる。
「ねーちゃん、大丈夫!シンにーちゃんはのぞきに来てないみたいだぞ!安心だね!!それとも来てほしかった??」
オイラがそう言うとねーちゃんはバシバシとオイラの頭をたたきながら言った。
『ケン坊、お前は本当に何か悪いものに毒されているようだな!一体誰にそんな下品な冗談を教わった?やはりケン坊と風呂に入るのはこれで最後にした方が良さそうだ!!まー最も、誰が覗きに来ようとも私が叩きのめして再起不能にするだけだが・・・!!』
やべー!ねーちゃんこえー!!
にーちゃん、のぞきに来なくて良かったな・・・
オイラはねーちゃんにカラダをふいてもらったらハダカのままにーちゃんのとこに走った!
「にーちゃん!オイラとねーちゃん、お風呂上がったから入ってきていーぞー!」
『お?おお、わかった・・・入ってくるわ。』
なんかにーちゃん、ボーっとしてるなぁ。
「もしかしてにーちゃん、寝てた?寝ぼけたようなカオしてるぞ!」
『あ、うん。多分ようやく、くつろげる場所に来たから安心して寝ちまったんだろうな・・・。』
にーちゃんはモトモト細い目をもっと細くしてそう言った。
「にーちゃん、明日からジゴクのトックンらしいから今のうちにお風呂でゆっくりして体力カイフクしたほうがいいゾ?」
オイラはにーちゃんの耳元で小声でちょっとイジワルに言ってみた。
『げ!マジかよ!なんとなく分かってはいたけどリンさんかなりのドSだな!!てかお前は何でそんな楽しそうに言うんだよ!?』
にーちゃんもリンねーちゃんに聞こえないように小声でオイラに言う。
「ワクワクすんじゃん!もっと強くなれるんだぞ!?それにねーちゃん、にーちゃんにけっこうキタイしてるっぽいよ?」
『マジ?よっしゃ!!燃えてきたーー!!』
オイラたちはテンション上がっていつの間にか声がデカくなってた。
そーっとねーちゃんのほうに振り向いてみたら、ねーちゃんはジトーっとした目でオイラたちを見てる。
『終わったか?二人でコソコソと卑猥な話でもしてたのか?男というのはどいつもこいつも・・・』
なんかわかんないけど、ねーちゃんからすごい強いオーラ?みたいなスゴみを感じる!めっちゃコワい・・・キレてるよね?
「『いや、待って!!誤解だよ、「リンさん!」『リンねーちゃん!』」
オイラとにーちゃんはめっちゃピッタリ息を合わせて言った(笑)
『フフッ、お前達は会って間もないのに仲がいいな!まぁ、仲良くやっていけるのはいい事だ。とりあえず夕食にしよう!』
やったー!晩ご飯だー!!腹へったー!!!
「晩ご飯なにー?」
オイラが聞くとねーちゃんが笑って
『そうだな、この前買った肉を焼くか?』
「やったー!ニクニク!!肉ーーー!!」
『ちょっと待て!買った肉??肉買えるのここ?通貨あるのか?今まで森とその中にあるこの工房兼自宅?みたいなとこしか見てないからイマイチ文明レベルも分からないんだが?!わりとこの星ってそこまで原始的な感じじゃないのか??』
シンにーちゃんはすごい勢いでオイラとねーちゃんに聞いてきた。
『ああ、言って無かったな。文明レベルはこの星ではピンキリだ。いわいる都会と言われるような場所は・・・』
『あーっ!タンマ!!あんま冒険の前にネタバレはして欲しくない!またその場所に行った時に色々アドバイスくれ!!』
シンにーちゃんはねーちゃんが言いかけるのをあわててやめさせた。オイラもそういうの分かるなー!
『何だ?自分で尋ねてきて変な奴だな?まぁ、とにかく通貨は存在する。当然、通貨が存在する以上は商品が存在する。考えようによっては私たちの故郷の世界と異世界とか異星とかの区別はどこでつけるのか疑問とも思えるな。』
『そうか、まーちょっと安心だけど、ちょっとガッカリとも言えるな。商品買う通貨あるって時点でサバイバル感薄れるし、リンさんが言うように現実世界に引き戻されるっつーか、サバイバル以前にそういうとこでもトラブルの元が生まれちまうっつーかさ・・・』
なんか二人ともむつかしいハナシはじめちゃったな・・・。
『まぁ、お金が絡むとトラブルが生まれるのはやむ無しだな。金銭は人間の欲望を最も色濃く具現化した物質だからな。』
『そうだな・・・そう言うとお金ってすごく嫌なもんだな(汗)てか、通貨は誰が作ったんだ?円じゃないんだよな?』
『ああ、円じゃないな。エイコだ。』
『ん?お金の単位がエイコ?』
『ああ、300エイコで買った肉をこれから調理してくぞ!』
『エイコ・・・人の名前っぽいな。そのエイコさんが作ったのかもな。運営の人間なのか、もしくはお金を作る能力者なのか・・・』
シンにーちゃんとリンねーちゃんの話止まらないなー。めっちゃ盛り上がってるじゃん!
『流石はシンヤだな、そんな事を私は深く考えもしなかった。考えるのはシンヤに担当してもらうとして、私は夕食の準備にかかるとしよう!』
『あ、ごめんな!まー、妄想と考察は得意だからまた悶々と色々考えとくよ!』
二人ともニコッと笑ってリンねーちゃんは晩ご飯の準備を、シンにーちゃんはしばらくボーッとしたと思ったら自分の本を出してパラパラめくりはじめた。
「よし、タロ!オイラ達は晩ご飯の前にお散歩行こう!
にーちゃん、ねーちゃん、行ってくるね!」
『ああ、あまり遠くに行くなよ?すぐ出来るからな!って、もう居ないな。まったく・・・本当にじっとしてないやつだな。』
オイラはタロと夜の森を歩いてる。
「タロ、にーちゃんとねーちゃんと仲良くやってけそうだな!」
『ケンちゃん楽しそうでござるな。確かにお二人とも良い人間そうで落ち着くでござる。』
オイラはニコニコ笑ってタロを見つめた。タロもニコニコ笑ってオイラを見てる。なんか今シアワセだ。シアワセってみんな笑ってることだもんね!
オイラはタロとの散歩から帰って、三人とタロとねーちゃんの刀のふどう?と一緒にご飯食べて寝
た。
ん?刀はご飯食べないんだっけ?
明日からはトックンだー!ワクワクするなー!!