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第13話 エピローグ

 ようやく場が落ち着いたので俺は説明に移った。

 稲穂は俺にくっついたままだが、玉藻にはある作業のために行動してもらっていた。


「端的に言うと、俺は世間に妖怪という存在がばれないように戦ってたわけだ。」


「噂の正体不明の化け物っていうのが妖怪のことね。」


「その通りだ。」


「噂・・・?」


 シャルは分かったようだが、澪は首をかしげている。

 まぁ、澪はそういった情報面に疎いからな。

 訓練馬鹿だし。


「まぁ、最近、正体不明の化け物と狐面の男が戦っているっていう噂があったのさ。まぁ、それについては聞いたことあるだろ?」


「うん。」


「狐面の男が俺で、正体不明の化け物が妖怪だったというわけだ。」


「なるほど。」


「それはそうと、その聖遺物は何なのよ。」


 シャルは俺がつけている狐面を指さす。

 俺は狐面を外すと、俺に生えていた尻尾と耳が霧散した。


「これは聖遺物じゃない。稲穂にもらった力・・・正確には俺と稲穂の契約により生じている力だ。」


「その子の?」


「そうだ。まぁ、これはまず前提の話になるんだが・・・俺は異能者じゃない。」


「え・・・?」


「は・・・?」


 澪もシャルも俺の言葉を聞いて、驚く。

 シャルはどちらかというと、懐疑的な感じだが。


「そもそも、異能とは何か・・・シャル、簡潔に答えてくれ。」


「異能とは、一部の人間に宿る特殊な力のことよ。」


 まぁ、そりゃそうだわな。


「そうだ。じゃあ、どうしてどうやって異能は発動する?」


「それは・・・まだ解明されてないわよ。何らかのエネルギーが関係してるんじゃないかと言われてるけど・・・」


 シャルも知らないか・・・。

 学会の方でもほとんど解明されてないっぽいな。

 まぁ仕方ないか、ある意味オカルトだからな。


「これ言っていいのか、悩むな・・・シャル、これに関しては研究とかする気はあるのか?」


「発動とかについてね・・・異能そのものに興味があるだけでプロセスは知れたら楽になるっていう程度よ。」


「ならいいか・・・これに関しては発表しないでくれよ。」


「いいから、サッサといいなさい。」


「簡単に言うと、異能は魂の発露ともいうべき現象だ。」


「「魂・・・?」」


「急にオカルトっぽいが、これに関しては事実だ。例えとしてはそうだな・・・魂は液体が入った器だ。器がそのまま魂の器で液体が魂のエネルギーだ。異能は器をかたむけたことで器からこぼれた魂のエネルギーが作用して発生する。」


 詳しく言うと、もうちょっと色々とあるんだが、まぁ、今はそこまで詳しい必要性はないだろう。


「中身の液体、つまり魂エネルギーは人によってさまざまだから、異能も人によって異なる。基本的には器からエネルギーがこぼれることはないんだが、自力で傾けることで魂のエネルギーをこぼすことができる奴らが異能者だ。」


「なら、あんたのは何なのよ。」


「気になる。」


「俺の場合、魂の器の大きさと形が特殊というべきか。通常の人の何百倍も器が大きく、しかも器が蓋つきなんだよ。『空白』は魂エネルギーが気化することで魂の器全体にエネルギーが拡散したことで気配やら何やらが人としての形を保てなくなることで完全に認識できなくさせる力だ。」


「それは異能じゃないの?」


 異能って言えば・・・異能なんだが・・・。


「まぁ、別種の異能だな。一般的な異能とは全く別種の力だ。」


「へぇ・・・で、その狐面は?」


「まぁ、それも説明する。俺の場合、器がはるかに大きいこともあってな。つまり、普通の人よりもエネルギーを内包できるってことだ。だから、契約って形で別種の力を受け取ることができる。他の奴が俺と同じことをやると、魂の器が壊れてそのまま死ぬからやるなよ。」


「そ、そう。」


「わ、分かったわよ。」


 澪は強くなれる可能性を見つけて、シャルは単純に興味から目を輝かせていたので、俺はくぎを刺しておく。

 冗談抜きで死ぬからな。

 澪はちょっと特殊すぎるから分からないが、シャルはほぼ確実に死ぬ。


「詳しくはちょっと長くなるから省くが、力を持て余していた稲穂と契約を結ぶことで俺は狐面を介して妖狐の力を使うことでこの能力を手に入れたってわけだ。まぁ、契約ということもあって条件があったがな。」


「条件?」


「あぁ、それが妖怪という存在の隠蔽だ。」


「なるほどね。それで夜な夜なあんたは戦ってたってわけ?」


「そういうことだ。異能が魂のエネルギーって言ったとおり、異能が飛び交うこの島は一種の霊地、妖怪が姿を現しやすい状況になっている。だから、噂になるまで俺は妖怪と戦う回数が増えているわけだ。」


「つまり、今後も現れる可能性があると・・・?」


「まぁ、あるな。今後に関しては、もうちょっと色々と手を回す・・・というか、玉藻に回してもらうという方が正しいけどな。」


「玉藻・・・美女の方ね。」


「あぁ。玉藻は人心を操る技に長けているからな。それでちょっと記憶やら何やらを変えてもらうだけさ。もう二度と、こういった騒ぎになることもないだろ。」


「終わったわよ、優斗君。」


 ちょうど頼んでいた情報の抹消や改竄が終わったようで玉藻がふっと姿を現した。


「ちょうどよかった玉藻。映像とかの方も大丈夫か?」


「ばっちりよ。」


「よし・・・なら、急いで撤収しないとな。ほら、帰るぞ。2人とも。」


「もう何がなんだか・・・」


「後でもう少し説明してやるよ。」


「優斗・・・もうちょっと私を頼って。」


「あぁ、悪かった、澪。次からは頼るさ。」


 俺たちはわいわいと騒ぎながら、その場を去る。

 そして、次の騒動まで・・・そもそも、ないことを祈るが、俺たちは平和に過ごすのだった。

これで1章が完結です。

とりあえず、次回投稿は2章が書き終わるまでお楽しみに。

皆さんのブックマークや感想で執筆速度が上がります(多分)。

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