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32話 大戦果すぎて後が怖い


 「さて……ブレード計画の戦果・損害報告は来たが、グリップ計画の戦果・被害報告がまだ来ていないが……」

 バーウェアの総司令部の会議室において、デルバートがそう心配そうに言う。

 「まさか……」

 将校の一人がそう溢し、ざわざわと騒がしくなる。


 「グリップ計画の戦果・被害報告が来ました!!」

 そう言ってドアが開かれ、迅速に書類が配られる。


 「おお、やっときたか」

 そうデルバードは言って種類に目を通す。


 ………

 ……

 …

書類に目を通した者は皆難しい顔をしだす。ある者はうーんと唸り、ある者はこれ本当? と隣の者に尋ねたりしている。

 そんな異様な光景に、思わず詳細を知る担当官がビビる始末であった。


 「……これは、事実なのか?」

デルバードはそう静かに、だが厳格な口調で口を開く。

 「いえ、何度も確認を取りましたが、事実のようです」

担当官はそう言い切る。


 「虚偽……な訳ないか」

 「当たり前だ。虚偽報告なぞ一体何の意味があるというのだ」

 「いや、これ幾ら何でも……こんなの発表しても誰も信じないぞ。これ」

 それを皮切りにざわざわと士官や将校が口を開く。


 「映像記録ないのか、映像記録」

 「そうだ、映像記録だ。一通だけでもないのか」

 「秘匿通信だけど短い映像が送れるはずだぞ」

そう言ってワイのワイのと騒ぎだす士官将校達。


 「映像記録、映します!」

担当官はご希望にお応えして送られてきた映像記録を流す。

 会議室のど真ん中にある映像水晶にヴィンと映像が映される。映像水晶が初期型なので、いささか全体が荒い立体的映像が映る。

 プロターゴ東合衆王国は永らく平和である為、軍隊が蔑ろにされていた為に、こういう備品を買い替える予算が付かなかったのだ。


 「こ、これは……」

 その会議室にいたほぼ全員が驚く。


 そこに映っているのはプロターゴ(我が国)航空魔導士達によって灰燼に帰すユージニィ諸島であった。


 「ストルボイ索敵基地は10割。クラシノ採掘施設も約7割、湾港設備は8割の損害。ヴァルネク基地は約9割の損害を与えた。との事です」

 担当官は補足を入れる。


 「それでこちらの被害は航空魔導士数名の死者だけ……だと……?」

 「はい、そのようです」

 「圧倒的じゃないか……我が軍は……」

担当官の肯定に、そう呆れるように言い放つ士官。


 「これ程の大戦果だと、今後の停戦交渉に響くレベルですな」

 デルバードの部下であるケビンがそう冷静に言い放つ。

 「大戦果過ぎて誰も信じてくれない可能性すらあるぞ」

 将校がそう言い放つ、国内の平和主義者は何故か敵よりも自軍に懐疑的な目を向けている事で有名であるからして、彼の心配も最もであった。


 「それでも無条件に信じる者は少なくなく、そして彼らが『ファーナー祝福帝国なにするものぞ』と思うのは難しい事ではありますまい」

 「それはそうだ。既にこの中にすら居そうである」

 その言葉にウッとなる面々が何人かいる。


 「ブレード計画の戦果・損害報告をもう忘れたのかね?」

 デルバートがそうやれやれと言いながら言う。


 ブレード計画の方はそれなりの戦果に相応の被害であった。スフィアゼロ部隊などの主な部隊は無事だが、地上部隊の損害がそれなりにある。


 「それに肝心のシース計画がまだだ」

 「しかし、これでシース計画は決行決定でしょう?」

 「そうだろうな。まさかこれ程の無損害で中止にするわけにもいかない」

デルバードはそう頷いて、一息つく。


 「元帥権限により、これによりシース計画の始動を容認する」


 デルバードはそう言ってシース計画を始動させるのであった。


 ………

 ……

 …


 「まさかこれほど大戦果になるとはな」

全ての会議が終わり、将官用食堂で久しぶりにサンドイッチ以外の暖かな食事ができてご満悦な様子のデルバード元帥閣下。

 「ええ、まさかこれ程とは」

そうケビンも数日ぶりの暖かな食事に舌鼓をうつ。


 「凄いのだな。君の()()は」

 「ええ、本当に。自慢の家族ですよ」

そうにこやかな笑みを零すケビンであった。


 続く。

ちなみに、サンドイッチと言っても肉や魚・野菜と栄養バランスしっかり考えられた高級サンドイッチです。

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