30話 ユージニィ諸島攻撃作戦開始
<あれ、そういえば、エルヴァンのお母さんって何してる人だっけ?>
<おま……それ戦闘前に聞くか?>
ホークランドから飛び立ち、ユージニィ諸島へ向かう途中の空、多くの航空魔導士達が居る中、スフィアゼロ隊内の通信チャンネルで私はそんな事を聞く。
<うん、確かエルヴァンのお母さんってエルフだったよねって>
<ああ、今時冒険者なんて気取りやがって、どこをほっついてるか分からねぇが、無事だとは思うんだがな>
<え、エルヴァンのお母さんって冒険者なの?>
私は驚く。
500年前なら当たり前のようにあった職業の冒険者。
国ごとにある冒険者ギルドに登録し、剣と魔法で魔物を倒したり迷宮やダンジョンや未踏の地を冒険したり、単に街での小間使いをしたり、英雄レベルから小悪党までピンからキリまであるあの冒険者が500年後の今でもあるのだ。
しかし私の発明により未踏の地は次々と踏破され、魔物も凄い勢いで駆逐されていき、今ではもう一般的な研究者が行けないような危険地帯へ採集や捕獲しに行く職業であり国からの厳格な管理の元に冒険者という職業はあるのだ。
なにせ500年前は『俺は昔、ゴブリンの群れに村を襲撃され、家族を殺され妹を目の前で辱められ、俺はゴブリンを一匹残らず駆逐すると誓った!どうもゴブリンさん、滅殺のエレン・イエガーです。進撃の呼吸!でイヤー!』とゴブリン殺しに人生と心臓を捧げ、利き手を噛む癖のある緑と黒のチェック柄のマントを纏い革の鎧装備のゴブ殺と威圧的な文字の掛かれた鉄兜を被った二刀流とカラテを巧みに使う男が居ても割と受け入れられるのに、今では一匹捕まえるのにも資格が必要な時代である。と言えば冒険者になる難易度は分かると思う。
<言ってなかったか? まぁ今も東大陸のどこかにいるって話で、10日程ヴァ―ウェアに居た時に無事だっていう手紙を見たからまぁ無事なんだろうって処だ>
<うーん、でも心配じゃない?>
<心配と言えば心配だが……>
<だが?>
言いどもるエルヴァンに、私は尋ねる。
<今はそんな心配よりも作戦と自分の命の方が心配だぜ? オラ、もうとっくに作戦領域内だ。というかもうストルボイ島が見えてきたぞ。いくぞ>
<それもそうだね>
タハハと軽く笑う私。
見れば慌ただしくヴァルネク島から敵航空魔導士、ファーナー祝福帝国の場合は制空魔導士だったかな? が発空しているのが分かる。
魔法サイレンが上空のここまで聞こえる。もうすっかり敵襲だとバレている。
<スフィアゼロ01。戦闘を開始する>
<スフィアゼロ02も同じく開始する>
そんな訳で私達は、やってくるヴァルネク島の航空魔導士を蹴散らしながらストルボイ島の索敵基地を破壊する。
索敵基地とは、地球世界でのレーダー基地と同じく、真ん中にかけてへこみのある特殊な板状の大きな合金板を掲げて航空魔導士や戦闘船はもちろん、鳥の群れや雲まで察知する基地である。
他の国はどうかはしらないけど、我がプロターゴでは天気予報は軍の管轄で、軍服を着た軍人さんが天気予報をする。地球世界でもイタリアという国がそうであるという話は聞いた事がある。
そんな施設を私達は破壊する。
ユージニィ諸島はファーナー祝福帝国の最南西の基地でもあり、この索敵基地を叩くだけでも価値があると、クロウ01のヴァレッドさんが言っていた。
まぁ今回は全部破壊するつもりなんだけどね。
そんな訳で割と厳重に対空攻撃隊が配備されていたストルボイ島の索敵基地をほぼ壊滅させた。目につくターゲットはほぼ全て破壊した。
<噂のスフィアゼロ隊も中々やるじゃないか>
そう言うのはルーシャー島の航空魔導士隊だ。
ルーシャー島の人達は既にクラシノ島を攻撃しており、相応の戦果をあげている。
<私達も負けていられない!行くよ02!>
<了解だ隊長>
そんな訳で私達はそのままヴァルネク島へ向かうのだった。




