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23話 つかの間の休息


 ハンプール奪還から大体14日ぐらいたった。2週間だね。


 私達は今、首都バーウェアに居る。


 ハンプール奪還の御褒美的な処遇でもあるけれど、それは1番目の理由。

2番目の理由としては、他軍団が着々と前線へと到着した為に学院隊をいつまでも前線に張り付かせておくのは良くない。という上層部の考えにより、学院部隊は後方に下げられる事となった。らしい。


 このままだと、学院部隊解散もあり得るのかな?


 「それは難しいだろう」

軍事や戦術に詳しいゴトウィンが言う。

 「ハンプールを開放して、前線を押し返したとはいえ、数ある敵軍団を1つ撃破したに過ぎないんだ」

 「あんな規模の軍団が他にもいるのかよっ」

ゴトウィンの説明にエルヴァンは勘弁してくれと言った様子で嘆く。

 「それがファーナー祝福帝国が最強である事の理由の1つだ」

 「つまり……戦争はまだまだこれからって事か……」

 「ああ、しかしハンプール奪還で余裕ができた以上、我々は後方支援に当てられて事務仕事や雑用や、練度の高い連中は新兵教育の為に当てられる事になると思う」

 「新兵教育って……新兵は俺達なんだが」


ゴトウィンの考察に、エルヴァンが突っ込む。この2人、中々仲がいい。


 「でも私達、下手な新兵より余程実戦経験と戦果があるでしょう?」

シャロディさんが言う。

 「それもそうか……で、いつになったらその後方支援とやらを命令されるんだ? いい加減何か動きや説明があっていい頃なんだが。それに」

 エルヴァンはおもむろに新聞を取り出す。大手の新聞会社のものだ。


 「『ゴルガ共和国臨時政府の成立を国王が承認』だってさ」

その新聞には大体そんな事が書かれていた。

 1週間ぐらいまえだろうか? ゴルガ共和国というバルバー諸侯同盟王国の形成国の1つが陥落し、その難民やら政府要人をプロターゴが受け入れ、そして今日臨時政府が成立したらしい。


 「そうじゃねぇ。この14日間の新聞にリーナ。お前の名前は一度も新聞に載ってない。ネットニュースや口コミ掲示板にはチラッと書かれてるみたいだが、それでもハンプール解放の立役者だのシリウス隊を撃破した大英雄って扱いじゃねぇ」

 エルヴァンはそう言う。


 えー。ここでいうネットとは通信魔法ネットワークの意味であり、地球世界のコンピューターネットワークの意味じゃない。意味じゃないんだけど、大体その役割は同じだったりする。

 ほら、このメイスト世界、既に惑星軌道上の宇宙に衛星ゴーレムが幾つもある時代なので、地球世界みたいなネット文化のようなものができてたんだよね。

 口コミ掲示板ってのも、2だか5だかのチャンネルと青い鳥のアプリを足して2で割ってニコニコできる貴方(YOU)のチューブ機能を付けたり付けなかったりするところだね。


 で、このネットニュースや口コミ掲示板にアクセスするのは小型の魔法水晶端末。まぁスマートフォンみたいな奴だね。


 箒にも魔法水晶、対空砲も魔法水晶、船の動力も魔法水晶、スマホみたいな奴も魔法水晶、なんならテレビや冷蔵庫にも魔法水晶、なんでもかんでも魔法水晶が使われている。


 500年前の前世の私(グードリエル)の時代も大体似たような物だったけど、魔法水晶の加工は大変で、一部の人間にしかできない芸当だった。

 それを前世の私(グードリエル)が、頑張ってあれこれ工夫して簡単に加工できるようにしてしまった()()()()


 らしい。というのは実感がないからだ。

何をしたかって? 私はただ空を飛ぶためにいい感じに魔法水晶を加工した()()なんだけど……?


 でも周りの皆はそうは思わなかったらしい。

私の発明と技術は、地球世界で言う処の『真空管も貴重だった時代に、トランジスタを飛び越えて集積回路チップを楽に作れる技術を確立してしまった』ものだろうか?


 真空管ってわかる? これでパソコンを作った場合、パソコンの為に建物が必要なくらいにとても巨大な物になる、平成歴30年、令和歴1年時点ではもう非効率な半導体、みたいな物。ブラウン管もその亜種みたい。

 それすら製造が難しい時代に、集積回路チップ……まあマイクロチップだね。ノートパソコンやスマホに使われている半導体。を楽々作れる技術を、昔の私(グードリエル)は確立しちゃったみたい。箒を造る過程で。


 うん、まぁ確かに。地球世界で考えたら、その凄さが分かる。そりゃ確かに神様と崇められるのも理解できるかもしれない。

 だからって、エルフ凄い。他の種族すごくない。ひれ伏せ他種族、エルフは凄いんだぞと侵略するのは良くないし、間違ってると思う。


 「おい!リーナ!聞いてんのか?」

 「あ、ごめん。全く聞いてなかった。とりあえず誰かが情報操作してるって事?」

 「はぁ……まぁざっくり言えばそうなんだが、招集があった。軍の総司令部に来いってよ」

呆れるように頭を抱えるエルヴァンだが、すぐに持ち直してそう伝える。

 「総司令部? なんで? いいの? 行って?」 

 「知らねぇよ。まぁ十中八九、あの航空魔導軍の総司令官サマのジーサンの仕業だろうなぁって処だ」

 「デルバート閣下の!」

そりゃ大変、急いで支度しないと。と慌てる私。


 「はぁ全くこいつは……面倒見切れねぇよ」

 「エルヴァン。お疲れ」

 「流石スフィアゼロの参謀……」

 「うるせぇ!ゴトウィン!シャロディ!お前らも少しは俺を楽する為に頑張れ!俺も頑張ってるんだぞ!」

なんかエルヴァンとゴトウィン、そしてシャロディさんが騒いでるけど、気にせずに支度をする。


 そんな訳で私達は軍の司令部へと急ぐのであった。




 つづく。

半導体や真空管についての間違い等がありましたら遠慮なくどうぞです。

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― 新着の感想 ―
[一言] >デルバート閣下のお呼び いよいよ来るかな?
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