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22話 オールドー艦隊、東へ

バルバー諸侯同盟王国 ゴルガ共和国 リブレモナ


リブレモナ。そこは今となってはバルバー諸侯同盟の数少ない拠点の一つであり、ゴルガ共和国の首都でもあった都市であった。

 かつて400年前まであったギリドニア帝国において、南部随一の都市であったリブレモナの街は。



 今、ファーナー祝福帝国の空中艦隊『オールドー艦隊』により灰燼に帰していた。


「敵戦力の9割以上の壊滅を確認。味方地上隊からの敵司令部および都市中核施設の占領報告が届きました」


 オールドー艦隊 旗艦戦艦『ユースティティア』の艦橋において、通信士長はそう告げる。


 「陸戦隊達が地上の亀達に後れを取ったか……まぁいい。状況終了。陸戦隊の回収急げ」

艦長はそう残念がるも、すぐに指示を飛ばす。


 「艦隊司令。陸戦隊の帰還を確認次第、本拠地へと帰港します。よろしいでしょうか?」

艦長はそう初老を迎えている提督服の男性へ確認を取る。


 「いや、我が艦隊はこれよりアヤンカンを経由して東大陸のロブリックへ向かう」

司令は一呼吸おいて、指示を飛ばす。

 「東大陸、ロブリック。と、するとやはりプロターゴ絡みでございましょうか?」

通信士長がやはり、とつぶやきながら言う。


 「ああ。ハンプール陥落とシリウス隊の隊長を含んでの半壊により、プロターゴ方面軍の状況は危機的ですらあるという。まずはプロターゴ方面軍の本拠地であるロブリックへ向かい、しかる後友軍の支援に努めよ。というのが先ほど届いた命令書に記載されていた」

 「しかしここの攻略は?」

司令の説明に、艦長は尋ねる。

 「それは残った地上軍団がやってくれる、諸君らの気にする事ではない」

 「まぁ敵拠点の3つのうち1つを今日撃滅させたのですから、残り2つを陸に任せるしかないでしょうな……」

司令の回答に、艦長は頷いてみせる。


 「しかしプロターゴですか……緒戦で大分叩いたと思いましたが、まさかもう体勢を整えて反攻作戦に出るとは……」

 航海長は唸る。


そう、オールド―艦隊はプロターゴ方面軍の先陣を切っていた者達の一人であった。

 プロターゴの北部の要ロブリックを強襲し、地上軍団の大きな助けを行った。

 本来ならばそのままバーウェア攻略まで協力せなばならないが、バルバーが大規模な攻勢を行い、そちらの方へ行かねばならなくなった経緯がある。


 「それだけ油断できん国だと言うことだ」

司令はそう言う。


 「……そして、アヤンカンに到着次第、この艦隊の保有する制空魔導士達をひと足先にロブリックへ先行させよ。とも指示を受けた」

 続けて司令は申し訳なさそうにそう言った。


 その言葉に、場の皆が驚く。


 「艦隊の戦力の一つである制空隊を貸せですとッ!」

 「陸はそんなに制空魔導士を消費したのですか!?」

 「任地への防空の為に先に出撃させる事は多々ありますが、それはいささか今までにない事態ですな」

皆が口々に進言する。


 「そう言うな。敵の猛攻により、もはやロブリックを守る制空魔導士達は少なくなってしまっている。ロブリックを失えば東大陸北部に展開している方面軍は孤立を余儀なくされ、悲惨な事になるのだぞ」

皆の言葉に、司令はそう言って動揺を抑え込もうとする。


 「……艦長としては先遣した制空隊が帰ってくるなら何も不服はありません」

ここで悪戯に艦隊と司令、そして上層部との不和を生み出すのは下手と判断し、話を切り上げるように要点を聞き出す。

 「それなら心配する事はない。その部分に関しては私も確認を行った。先行した部隊はしっかり我々に戻ってくる。それに直衛部隊も残してよいと言われている」

司令の言葉に、「じゃあそれなら」という雰囲気が出てくる。

 「了解しました。ならば艦長としては不服はありません」

艦長は追い打ちをかけるようにそう言う。


 ここにいるのは艦の各科の長ばかり、長の不機嫌は艦に悪影響を及ぼす。

 艦の悪影響は艦隊への悪影響を及ぼす。ましてやこのオールドー艦隊はファーナー祝福帝国が誇る最大の艦隊。そのような事があってはならない。

 だからこそ、艦長は司令の言に即座に賛同し、不安要素を取り除かねばならない。

 無論それでも不安要素があるなら個別に聞いて丹念に取り除く。不安要素の放置そのものも致命傷だからである。


 「ですが、その隙に敵襲を受けでもしたら……」

 「直衛部隊と艦隊そのものの対空攻撃で撃退できる。緒戦で連中の艦隊戦力は喪失している。何も問題はないだろう」

艦長は言う。


 「シリウス隊を撃破した敵制空魔導士が気がかりです」

 「その魔導士はロブリック攻略に付きっ切りだそうだ」

その言葉には司令が答える。


 「諜報部を信じるしかない。か……」

 「しかし、さしもの敵制空魔導士でもこのオールドー艦隊相手にどうにかできるとは思えません」

通信長に航海長はそう口を開く。


 「それはそうだが、油断もできん。警戒を厳にしてロブリックへ向かう他あるまい」

艦長の言葉に、皆は頷く。


 「よし、では陸戦隊の収容が完了次第、ロブリックへ進路を取れ」


かくして艦隊司令は全艦に通達し、アヤンカンを経由して東大陸のロブリックへ向かう命令を下しオールド―艦隊は東大陸へ向かう事となったのであった。


挿絵(By みてみん)


続く。

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