13話 スフィアは戦場を往く
威栖都二重王国産 地上攻撃特化型魔法箒 栄天Ⅱ
簡単に行ってしまえば上昇力や速度を犠牲にして雷属性の防御力と雷属性の攻撃力に特化した魔法箒である。
エンジンとなる魔法水晶にはそのような調整がなされており、雷属性の攻撃・防御力に全振りがなされた箒である。
雷属性の魔法は、地球世界でいう所の機関銃によく使われる属性であり、つまるところ対空砲にめちゃくちゃ強いという事である。
この栄天Ⅱの登場により、世界各国のファイアランスの地対空砲の配備率が進んだとも言われている。
ファイアランスに対しても普通に耐える耐久度を持っているので配備率が上がっても普通に存在してられている現状である。
余談だが栄天Ⅰは魔法水晶の出力が上がらずに中途半端な性能になってしまい、どの国も買わずに消えてしまったらしい。
だから栄天Ⅱが出た際はⅠはどうした? と皆が言ったらしい。現場も『栄天』と言う。
そんな攻撃特化型の魔法箒栄天が私の目の前にある!!
いや、いつものファントムファルコンもあるにはある。ただ1つしかないのだ。
「お前らも出撃か!? ファントムファルコンは1つしかないぞ!あとは栄天しかないぞ!!」
叫ぶように説明する整備の技師。
「だとよ。どうする隊長!?」
「エルヴァンはファントムファルコンで出て!私は栄天で行く!」
そう言って私達は出撃準備を整える。
<こちらスフィアゼロ01。管制聞こえますか>
ローブを着て、箒にまたがり、魔法モニターを軌道させ、管制部との通信を繋げる。
≪こちら管制部!スフィアゼロ隊ならびに他部隊は既に上がっている!基地上空に敵部隊多数!上がる前に墜とされるぞ!!≫
<どうやら第一波は行ったみたいです>
≪ああ、だから今発空許可を……。ってスフィアゼロ01!それは対地箒じゃないか!≫
<もうこれしかありませんでした。でも陸上でも大規模攻勢なんでしょう? ならこれでも大丈夫じゃないですか>
≪それはそうだが……まぁいい!スフィアゼロ01、02発空を許可!≫
<了解。スフィアゼロ発空します>
<了解。スフィアゼロ02先に行かせてもらう。うちのお姫様に変な虫が付かないように追い払わないとな>
そう言ってエルヴァンは発空する。
と言っても地球世界みたいに長い滑走路を走る訳ではない。垂直離陸である。
それでも、離陸した時に別の飛行している魔術師とぶつかる事故が起こると嫌なので管制を行う必要があるのである。
最も、この世界では離陸ではなく発空と言う。
そんな訳で私も発空する。
空は夜明け前、どんよりとした分厚い雲が支配している。
遠くには味方の防衛陣と、敵のゴーレム隊がぶつかっているのが分かる。さらに遠くには敵の法撃部隊が支援攻撃をしていて、味方防衛陣を的確に爆破していく。
このメイスト世界におけるゴーレムは、地球世界で言う処の戦車だ。二足だったり四足だったりする。操縦自体は簡単で、別に魔導士でなくてもいい。整備には魔法技師(=魔導士)が必要だが。
撃破には背中等に乗っている兵士を撃破するしかないが、地上からでは中々難しい。基本後ろに回らないと駄目だ。
なので、大火力を持っている魔導士が空中から攻撃するのがセオリーである。無論地上もそうはさせまいと対空用ゴーレムを随伴して進軍する。
さて、しかしそれは遠くで起こっている事である。
今は割と近くにいるこの基地を攻撃した魔導士を墜とさないといけない!
そんな訳で攻撃。ヘル・サンダーアローである。
そう、ヘル・サンダーアローである。先の爆撃船に付けられてた魔法水晶からの攻撃はハイ・サンダーアローであったがこれはヘルである。
無印・ハイ・ヘル・ペンタの順に強弱が決まる訳だが、これはヘル・サンダーアローである。
つまり凄く強い。
このジバババババと全てを薙ぎ払う振動と轟音に、病みつきになる人が続出し、栄天症候群という一種の病すらあるらしい。怖い。
でもそれも納得の爽快感である。
これが目標が人間じゃなければ最高なんだけどなぁ……。
という事でジバババババババと後ろ向いていた敵魔導士を撃破する。
<……俺の役目必要なくないか?>
仕事を取られた形になったエルヴァン。
<やーごめんごめん。やっぱりヘル・サンダーアローすごいね。さ、地上支援に行こう!>
<ああ!他の連中も手こずってるようだからな>
エルヴァンは言う。
確かに他の通信を聞くに、どこもかくこも敵の大規模攻勢で阿鼻叫喚と言った感じである。
どこまでやれるかは分からないけど、頑張るしかない!!
<うん、行こう!02!>
そう言って私は加速を行った。
つづく。
えーてんさんは強いのです(栄天症候群末期並みの感想




