表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/135

報告54 帰省するより両親に来てもらった方が合理的な件

北沢先生の補足


今回はギャグ回です。少し辛辣な言葉が出てきますが、脚色だと思ってお楽しみください。


ギャグ回を作るのは、初めてなので面白いかは、分かりませんが温かい目で見て頂けると幸いです。

【1】


 私が目覚めてから、2時間くらいだろうか。弟がリビングにやってきた。昨日の疲れが残っているのか、まだ眠たそうだ。


「兄さんおはよう。ずいぶんと早いね。」


「教師だった頃の名残りさ、朝早く目覚めるのが習慣になってる。」


「そう言えばそうだね、学校の始業って大体8時だし。で、兄さん台所で何してるの?」


「今日の支度に決まってるだろ。とりあえず朝食にしようか。準備は出来てるぞ。」


 私たちは、テーブルにつき、朝食をとりながら今日をどうやって乗り切るかを話し合った。


「で、兄さん。さっき台所で何をしてたの?準備って言ってたけど。」


「今日の昼頃来るんだろ?料理を作ってたんだ。酒も買ってあるぞ。」


「兄さん昔からそういうの、そつなくこなすよね。お酒も買ってきてくれたんだね。」


「もちろんだ、今回の作戦の要になるからな。」


「何か作戦があるんだね。何をする気?」


「そんなもん、酒飲ませて、酔わせてゴマかすに決まってるだろ。そのために塩分濃いめのツマミを作ってるんじゃないか。今回選んだ酒も、飲みやすくアルコール度数が比較的高いものを選んできた。」


「………兄さん、親にも容赦ないね。鬼畜だな〜まったく。」


「私は、別の部屋で様子を伺ってるから、永が上手く父さんと母さんをあしらってくれ。受験勉強で部屋にこもってるって言っておけば、深入りもしてこないだろう。」


「設定まで完璧じゃん。っていうか、もう本当のこと話しちゃえば。」


「私がこの姿になってお前を呼んだとき、お前に何時間説明したか覚えてるのか?」



「サーセン」



 その後も私たちは、両親を迎え入れる準備を淡々と進めていった。



【2】


 私たちは、準備を終えリビングでくつろいで居ると、呼び鈴が鳴り響いた。


「来たみたいだな。」


「そうだね。じゃ、行ってくるよ兄さん。」


「ああ。頼んだぞ。」


そう言って私は、リビングの隣にある書斎に移動した。それと同時に、ドアが開く音と懐かしい声が聞こえる。


「久しぶりね、ひさし!仕事忙しいって言ってたけど、元気だった?」


「母さんも元気そうだね。こっちは、ぼちぼちだよ。父さんも久しぶり。」


「うむ…。」


 三人の足音は、会話をしながらリビングに近づいて来た。そしてすぐにその足音は聞こえなくなった。どうやら、三人ともテーブルについたのだろう。乾杯の音が聞こえる。母は、一口酒を飲むと弟に言った。


「まさか、永が養子をもらうなんてね。今はどこにいるの?」


「今、隣の部屋で勉強してるよ。受験生だからね。後で挨拶に来ると思うよ。」


「そうよね。邪魔しちゃ悪いわよね。楽しみだわ〜。…あきらにも見せてあげたかった。」


「…………。」


 食卓は、静まりかえってしまった。両親は、私が行方不明ということで何ヶ月も前に弟が伝えた。おそらく、私が死んだと思っている。せっかく子供に会いに来たというのに、ジメジメした空気が漂う。それに耐えかねたのか、父が話題を変えた。


「この、用意してくれた料理上手いな。母さんも食べたらどうだ?」


そういうと、母は私の作った料理を口にした。予想以上に好みの味だったようで、急に母の様子は明るくなった。


「あら!これ、おいしいじゃない!永が作ったの?」

母は弟に聞いた。


「いや、うちの子が作ったんだ。料理作るのが好きみたいでさ。」

弟は、そう答えた。


「そうなの!中学生なのにすごいわねぇ!そういえば、明も中学生の頃に料理を作ってたわねえ。味付けも似てる気がする…。」


「…………。」


また、ジメジメした雰囲気になってしまった。こいつ!マジで、何しに来たんだよ!!!そう思っていると、弟がとんでもないことを口にした。


「そろそろ養子の子見たい?」


おぃぃぃぃぃぃぃ!!!まだ10分くらいしか経ってないぞ!!しかし、私の思いとは裏腹に、弟が部屋に入ってきた。弟は、両親に聞こえないように小声で私に説得してきた。


「兄さんごめん!もうこの空気に耐えられないんだけど!紹介していい?」


「10分くらいしか、もってないじゃないか!そもそも、私がそっちに行ったところで、雰囲気が明るくなるとは限らないだろ!」


「また、勉強するから戻る、とか言ってくれればいいからさ。頼むよ!」


 私は仕方なく、両親と対面する事にした。両親は、私の姿を見て驚いていた。そりゃそうだ、中学生になったとしても、知っている顔なのだから。母は、キョトンとした顔で弟に言った。


「なんか、小さい頃のあきらにそっくりね…。あきらー!!どこに行ってしまったのー!!」


母はついに、机に突っ伏して泣き叫び始めた。それに対して父は、冷静に声をかけてきた。


「はじめまして、ひさしの父のしょうです。まぁ、座ってよ。」


私は、父の対面に座った。父は私にさらに質問する。


「それで、君の名前は?」


あきらと言います。」


父は、その名前を聞き、さらに驚いた。そして、弟を問い詰めた。


「明だって!?おい永!どうなってるんだ!?」


「ぐ…偶然だからね!本当に偶然だからね!!」


弟はしどろもどろに、言い訳をしている。


「あきらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


母は、私の名を聞きさらに泣き叫ぶ。




地獄すぎる。…誰か何とかしてくれ。




今度は父が、私に質問してきた。


「それで、明くん。2度目の中学校生活はどうかね?」


「楽しく過ごしてます…ってはい!!?」


私の聞き違いだろうか。さらに、父は母に向かってこう言った。


「母さん。このくらいにしてやろうか(笑)」


 母は、体を起こした。全く泣いている様子がない。一体どういう事だろうか?


「いやいや、すまん、からかって。明のことは、俺も母さんも知ってる。安心しなさい。」


「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」


私と弟は、口を揃えて叫んだ。そんな私たちを無視するかのように父は静かに言った。


「とにかく、明も来たことだし乾杯しよう。」



 その後は、四人で食事を楽しんだ。何の変哲もない親子での食事だ。私の格好を除けばの話だが。母は、私に言った。


「まさか、明が中学生になっちゃうなんてね。懐かしいわ〜。」


そう言いながら抱きついてきた。酔っているのだろうか。私は、抵抗しながら言った。


「やめろ!冷静になれって!今、抱きついてるの、40のオッサンだぞ!!」


「えー。でも、今は中3でしょー。」


「中3でも抱きつかないわ!!離れんかい!」


そう言って私は、母を引き剥がした。私は、父に質問した。


「それにしても、何故私の事を知ってたんだ?」


「ああ。そうだね。それは話しておいた方がいいね。実はね、私たちは、明を探すためにビラを配ってた時があってな。そのときに、明の居場所を教えてくれた人が居たんだ。」


「ビラなんて配ってたのか!?それよりも、私の事を教えたその人って言うのは一体?」


「名前は聞いてないんだけどね、明に起こったこと、明が通ってる中学校を教えてくれたよ。まぁ、そんな話は信じられなかったけど、いざ調べてみたら、明の格好をした中学生が居るじゃないか。しかもその子は、明の住んでいるアパートに入っていく。これは確定だと思ったね。」


「だったら、何で言ってくれなかったんだよ。」


私は、父に言った。すると父はとんでもない事を言ってきた。


「いやね。明の事を教えてくれた、その中学校の先生がね。いっそ、ドッキリやったら面白いんじゃないですか?って言ってきてさ。その話にのっちゃた。」


「………………。」


私たち兄弟は、目が点になりながら黙った。それを見て母はゲラゲラ笑っている。父はさらに言った。


「さてと、そろそろいい時間だな。私たちは帰るとするよ。母さん帰るよ。」


「はーい。永、明、正月はちゃんと顔出すのよ。」


 そう言って、両親は去って行った。私たち兄弟は、棒立ちのまま二人を見送った。両親が扉を閉めた後も、私たちは、そのまま立ち尽くしていた。


「兄さん…。父さんと母さんに兄さんの事を教えた人って…。」


「あいつしかいないな…。」


「家具、買っちゃったね…。返品できるかな?」


「最悪、金は私が払おう。無理を言ったのは、私の方だ。」


「僕さ、あの人に初めてムカついたよ。」


「そうか、今の私もひさびさにムカついている。」



 飛田ぁぁぁぁぁ!!!



いつも、最後まで読んでいただきありがとうございます。

感想がありましたらお待ちしております。ブックマーク、レビュー等頂けましたら嬉しいです。よろしくお願いします。


 ギャグって難しいですね。でも、北沢の設定ってイジれば面白いと思うんですよね。何か面白いシチュエーションがあれば教えて下さい!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ん…飛田先生のキャラクター好きですねw ちなみに脳内cvは飛田 展男さんです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ