報告39 大塚との面談記録 高校の調べ方(裏技編)
上野との面談を終え、一息ついていると、今度は大塚が面談室に入ってきた。大塚は、少し驚いた様子で私に言った。
「え?北沢くん?どうしてここにいるの?」
「ああ。飛田先生に頼まれて…。」
「そっか。確かに、北沢くんに話を聞いてもらうのがいいかもしれないね。個人情報保護とか考えると心配だけど。」
「そうだな。全く、めちゃくちゃな注文するよな、あの学年主任。さて、そろそろ始まるか。それで、大塚さんは志望校とかは決めてるの?」
「うん。それが、ここに来て迷ってるんだよね。」
「意外だな。迷うなんて。」
「はじめは、大学附属の私立高校を受けようと思ったんだけどね。この間の修学旅行で気持ちが変わったんだ。私、京大に行きたい!」
「そう来たか…。(もっとも、超伝導の研究は京大じゃなくてもできるけどな…。)ちなみに、そのことは、家の人には相談したのか?」
「うん。一応は…。それで、どんな高校に行けばいいのか悩んでるんだよね。」
「そうか…。その場合、次のポイントで高校を調べると良いだろう。
・進学実績
・カリキュラム
・学校の教育内容
まず一つ目、進学実績についてだ。これは、学校のホームページや、パンフレット、受験情報誌(例の黄色くて分厚い本だな)なんかで調べることが可能だ、ただし、一つ注意しないといけないことがある。」
「注意点?」
「ああ、学校によっては、その進学実績の中に浪人生も混ざっているから、そのことを頭に入れておいてくれ。偏差値の高い学校だと、浪人する割合が高いから、そのことも含めて相談をしておくと良いな。」
「確かに、上のレベルの学校ほど浪人の割合が多いよね。」
「次は、カリキュラムについてだな。高校のパンフレットなんかには、カリキュラムってものが書いてあるんだ。そこには、科目名と単位数ってのが書いてある。見たことあるだろ?」
「うん。その単位数っていうのが、授業の回数に関係するんだよね。」
「その通りだ。例えば、数学の単位数が5と書かれていれば、週に5時間数学があると言うことだな。そして、この単位数には、目安がある。」
「それは、国の基準ってこと?」
「平たく言うとそうだな。これは、標準単位と呼ばれていて、文部科学省のホームページに掲載されているから簡単に調べることが出来る。そして、この数字と高校のカリキュラムを見比べることで、どの教科に力を入れている学校かが分かるわけだな。
例えば、英語の科目の一つである”コミュニケーション英語I”は、標準単位数が3単位だ。だから、これよりも多く単位数を設定している学校は、英語に力を入れていると考えて良い。5単位とか設定してる学校もあるしな。」
「そっか。その標準単位っていうのを、見たことなかった。今度それを見ながら見比べてみるね。」
「最後に、教育内容についてだ。これは、どの学校もよく見せているから、実は教育関係者とかでない限り、この部分で、学校の良し悪しを見分けるのは結構難しいんだ。いや、教育関係者でも難しいかも知れないな。」
「そうなんだね。じゃあ、どうすればいいの?」
「まずは、その学校の一番の目玉は、何なのかを確認しよう。それが、間違い無いと思う。そして、それに加えて裏技を使うといいぞ。」
「裏技?なにそれ?」
「その学校の採用情報が載っていればチェックすること。前に、私立の教員採用方法については、教えたよな。もし、ホームページに採用情報があったらチェックして欲しい。」
「わかった!もし、採用試験に模擬授業があれば」
「そうだな。ある程度、教員の質が保証されるかも知れないな。それから、学校によっては、給料などの待遇が書いてあったりする。もちろん高待遇の学校には、質の良い教員が集まりやすい。特に、採用情報のところに、学校の理念とかをきちんと書いている学校は、本当にいい人材を確保したい学校だから、チェックしておいた方がいいだろうな。」
「なるほどね。」
「それから、採用数があまりにも多い場合は、たくさん退職してるってことだから、そういう理由のある学校ってことだ。ちなみに、この方法は塾選びにも使えるぞ。」
「わかった。参考にしてみるよ。」
「それから、パンフレットに書かれている教育内容については、いかにお金をかけているか、という視点で見るのも一つの手だな。これに関しては、きちんと比較できるし、誤魔化しが効かないからな。」
「分かりやすくて、ありがたいけど…。やっぱり北沢くん、ひねくれてるよね。」
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