報告13 高校選びの落とし穴 大学附属の私立高校と国公立受験に関するレポート
北沢先生の補足
この話は、2020年の学校事情を基に書いたものです。また、筆者の見解なども含まれますのでご容赦ください。
【1】
3人とも受験生というだけの事もあって、私の話に聞き入っていた。私は話を続けた。
「今から話す内容は、ほとんどの高校受験生、保護者が見落としてしまいがちで、場合によっては進学してから困ってしまうかもしれない落とし穴だ。だからよく聞いて欲しい。一つは大学附属の私立高校に注意することだ。」
「大学附属高校って、どこも偏差値が高くて、進学実績いいような気がするけど…。」
「この話をする前に、大学受験の制度について簡単に説明するぞ。大学受験には主に4種類の受験方式がある。」
1、指定校推薦
2、学校推薦型選抜
3、総合選抜型選抜
4、一般選抜
「詳しい話は省くけど、このうちの学校推薦型選抜ってのが、高校の推薦入試と同じような仕組みの試験、一般選抜はペーパーテストが主になる試験だな。そして、問題になるのがこの学校推薦型選抜について、大学附属の高校はこの受験を制限される。例えば、附属の大学に経済学部があった場合、経済学部の学校推薦型選抜を受験出来ないことが多い。」
「は!?何でだよ!!!?」
「学校推薦型選抜をするくらいなら、附属の大学に上がれよって事だろうな。ちなみにこのルールは、大学附属の高校なら大体設けられているな。しかも、説明会とかでも一切説明がない!」
「き…きたねぇ!!!」
「向こうも商売だからな。で、この事を塾の先生は元より、中学校の先生も知らない事が多いんだよな〜。全く勉強不足だよな。だから、必ず大学附属の高校に進学を考えるんならその事をきちんと確認してから選んだ方がいい。」
「北沢の話がエグい……。」
【2】
「さて、もう一つの落とし穴が国公立受験によるカリキュラム問題だ。例えば、さっき話した、都立の進学指導重点校や進学指導特別推進校は、国公立大学への進学を意識している。そのためそれ専用のカリキュラムになるんだ。」
「私立と国公立ってそんなに違うの?レベルが難しいだけとかじゃないの?」
「受験の仕組みが違うんだ。簡単にまとめるとこんな感じだな。」
私立大学の一般選抜
多くても三科目である事が多い(例1: 英語、国語、日本史または世界史 例2:英語、数学、物理または化学または生物)
国立大学の一般選抜
一次試験(大学入学共通テスト)
5教科9科目 つまり5教科が一通り出る。
二次試験
三から四科目である事が多い。
「うわ、科目数エグッ!!」
「そう。だから、国公立進学に力を入れている学校は、その対策もするから科目数が多い。そうすると、勉強時間が分散してしまうんだ。だから私立受験が微不利になる。」
「でも、初めから国公立に進学するって決めているのならそんなに問題ない話だよね。」
「いや、今から話す事がこの問題の最大の落とし穴なんだ。大学には、様々な学部(学ぶ分野)を設けている総合大学と学部の種類の少ない単科大学の2種類がある。ここで質問だけど、東京都に国公立の総合大学っていくつあると思う?」
「そんなの、東京都なんだからいっぱいあるんじゃない?」
「そう思うよな。じゃぁ、東京都にある国公立の総合大学を紹介するぞ」
国立 東京大学 公立 東京都立大学
以上だ。
「え!?2校しかないの?しかも、一つは東大!」
「ちなみに単科大学はこんな感じだ。ちなみに全部国立だ。」
お茶の水女子大学、電気通信大学、東京医科歯科大学、東京海洋大学、東京学芸大学、東京藝術大学、東京外国語大学、東京工業大学、東京農工大学、一橋大学
※ここでは、国立看護大学校などの文科省管轄外の学校は除きます。
「特に悲惨なのが文系の学部だ。文系の学部が設置されているのは、お茶の水女子大学、東京外国語大学、一橋大学の3つだ。(教育学部のみを設置している東京学芸大学はここでは除いています。)どれも基本的に偏差値が高い。それでも国公立大学への進学したいそうなったら、取る戦略はひとつだ。」
「それって…。」
「地方国公立大学の受験をメインにする」
「これが、国公立受験最大の落とし穴だ。国公立へ行きたいと高校に進学し、国公立受験の準備をする。しかし、地方には行きたくない。そんな事、考えてすらいなかった。何てやつは非常に多い。そして国公立受験を諦めるんだ。でも高校の授業は国公立の対策になるから私立受験に集中が出来ない。もっともこの問題に一番苦しんでるのは学校側なんだけどな。このことも、塾の先生や中学の先生は知らないだろうしな。だから国公立大学への進学を考えるんだったら、地方に行くこと、一人暮らしをすることを覚悟しなきゃ行けないんだ。」
「………あのさぁ。」
「なんだ?」
「北沢、お前何者なんだ…?」
今回は喋り過ぎました。やっちまった。
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