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報告12 高校選びの落とし穴 都立高校及び私立高校進学に関するレポート

北沢先生の補足

この話は、2020年の学校事情を基に書いたものです。また、筆者の見解なども含まれますのでご容赦ください。

【1】

3人はリビングに戻りソファーに座った。私は、3人に質問することから始めた。


「3人は都立高校と私立高校の特徴の違いってわかるか?受験のシステム以外で」

「うーん…学費?」

水上が答えた。

「確かに学費は違うな。でも最近は就学支援金制度ってやつがある。」

「就学支援金制度?」

「ああ。世帯の収入によって払った授業料が戻ってくる(還付)される制度だ。今は、この制度のおかげで、都立と私立の負担金の差は大分なくなったな。」


「都立の方が校則がゆるくて自由って聞いたぞ。」

上野が言った。

「それは、学校によるけど間違いだ。最近は都立も校則が厳しくなっているところも増えてきている。私服の高校も大分減ったしな。」


「じゃぁ、何が違うんだよ?」


「もちろん違いはたくさんあるけど、俺から特に知って欲しいことは2つある。まず一つ目は、進級の厳しさの違いについてだ。」

「進級って、留年するとかそういう話のことだろ?真面目にやってれば関係なくない。」

「確かにその通りだ。だが、みんながそう思っているから、この事を知ろうとしない。一応知っておいた方がいいと個人的には思っている。」

「で、何が違うの?」

「もちろん、学校にもよるだろうけど、簡単に言えば、私立はよっぽどのことがない限り留年しない。一方で都立は全体的に厳しい。私立の場合は、テストで成績が悪いと、特別補習や追試を組んで、救済するんだ。」

「でもな〜。そんなの自分には関係ない気がする。」

「もちろん。関係ないのが一番いい。だが、都立に入って辞める生徒はこの事を自覚してない事が多い。だから、都立に行く際にはその事を肝に銘じて、気を引き締めて勉強してほしい。そもそも、都民の税金で通ってる訳だしな。(本当は、私立にも結構な税金が投入されてるけど…。)

それから、都立の方が私立よりお金がないってイメージを持ってる人も多いけど、実際は都立も学校によってはお金をかなりかけている場合がある。最近は都立でも修学旅行が海外なんてこともよくあるしな。」


「それで、北沢くん。2つ目の違いは?」


「それは、採用方法と人事配属の違いだ。」



【2】

「2つ目も、受験生や保護者が見落とす大きな点だな。学校運営をする上での大人の事情ってやつだ。」

「何か汚い話になりそうだな…。」

「まず、先生たちは採用試験ってやつを合格して先生になっている訳だけど、そのこと知ってたか?」

「え!?大学出たらそのままなれるもんじゃないのか!?」

「そうだな。そう思っている人も一定数いるな…たぶん。話を戻すぞ。この採用試験が都立と私立で大きく異なるんだ。こんな具合だな。」


都立

東京都という大枠で一斉に採用する。合格後に中学校・高校・中等教育学校・特別支援学校など、採用先に振り分けられる。この時、希望通りの配属になるとは限らない。


私立

各学校で自由に採用試験を行い配属する。



「へー。公立の先生って希望通りの学校に行けないこともあるんだね。」

「そういうこと。(私も高校に配属されたかった…。)一方で、私立は自由に採用試験を行うし、先生たちも好きに学校を選べるって訳だな。そして、採用試験の内容も異なる。まず東京都は一次試験と二次試験があって内容はこんな感じだな。」


一次試験 筆記試験

二次試験 集団討論、個人面接


「私立の試験は学校にもよるけど、ここでは、一般的に行われている試験はこの4つだ。」


書類選考、筆記試験、模擬授業、面接


「模擬授業って何?」

「模擬授業はその名の通り、試験官の前で授業を行い良い授業かどうかを評価してもらうものだ。そしてこの模擬授業の有無が、都立と私立の採用方法の差になる。」

「ということは、私立の先生たちは都立に比べて、授業が上手いってこと?」

「さすがに、そこまでの差は出ないだろうな。でも、模擬授業を採用試験で行っている学校は、授業が下手な先生に当たるって事故は減るだろう。」

「でも結局、この話って私たちと関係があるの?」

「さて、ここからが本題だ。じゃあ、都立高校はどうやってこの事故を防止していると思う?」


「………。」


「答えは人事異動だ。これは、あくまでも推測だが、授業の評価が高いなどの優秀な先生は、進学に特化した学校、進学指導推進校とか進学指導重点校って言うよな。ここに配属になる可能性が高いんだろう。だから、そこに加盟してある高校に入学すれば得られるリターンは大きいってわけだ。」

「そっか、じゃぁ都立高校で質の高い授業を受けるなら、進学指導に力を入れている高校に行けば良いんだね。」

「その通り、ちなみ現在は、進学指導重点校が7校、進学指導特別推進校が7校、進学指導推進校が13校ある。先に言った二つの推進校は特に国公立大学への進学をかなり意識しているな。」


「そして私立の場合も、ハズレの先生を回避する選び方がある。」

「どういうこと?」

「私立は都立と違って、特進コースとか国際コースとか様々なコースを設けているのが一つ特徴だな。そこで、一つ質問をしよう。みんなの偏差値が50だとする。どっちの高校に進学した方がいいと思う?」


A高校

偏差値が60の特進コースと偏差値50の普通コースのある学校で普通コースを受験


B高校

偏差値50の特進コースと偏差値45の普通コースのある学校で特進コースを受験


「こんなのA、一択だろ!?」


「いや、一概にそれが正しいとは言えないんだ。なぜなら、私立も人事の配置を行うからだ。」

「そっか、授業の上手い先生は、特進コースに固められる。」

「その通り、大塚さん察しがいいね。」

「そうか、言われてみればわかる話だけど。なんか汚い話だな。」

「商売だからな。だからこそきちんと、その事を自覚して逆手に取り賢く進路を考えような。さて、ここからもっと大事な事を話すぞ。」

「え!?今のでも十分な気がするんだけど…。」

「とんでもない!!この2つを知っていないと場合によってはとんでもない事故が起こるぞ。」



いつも、最後まで読んでいただきありがとうございます。

感想がありましたらお待ちしております。ブックマーク、レビュー等頂けましたら嬉しいです。よろしくお願いします。

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