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報告111 過去問演習の効果的な見直し

【1】


 次の日から、テストが返却され始めた。皆、前回よりも点数が大幅に下がっているため意気消沈しているが、テストの難易度がそもそも上がっているので、むしろ学力は大幅に向上していると言ってよい。私は、そんな意気消沈している様子を見ながら、自分の答案を眺めていた。すると、千歳と大塚が近づいてきた。千歳は、私に言った。


「北沢、約束覚えてるよね。一教科でも負けたら、一つ言うことを聞いてもらうよ」


「ああ。そんなこともあったな。はいよ……」


私はそう言って国語と社会のテストを広げて見せた。千歳は、社会のテストで私に勝つつもりだったのだろうが。その目論見は完全に崩れ去った。


「え!?95点!?2週間前まで半分もできていなかったのに!?」


「え……負けた。……バケモンじゃん。」


大塚は、ぼそっとそう言った。


「でも、社会の勉強にかなり時間を使ってるはずだから、ほかの教科で勝てるはずだよきっと!」


千歳は、そう言っていたが、本気になった私に勝つことは、至難だった。その後、返却されたテストのどれもが、千歳や大塚よりも高い得点だった。私は、完全敗北ししょぼくれている千歳に言った。


「じゃ、約束通り言うことを一つ聞いてもらおうか。」


「……はい」


千歳は、しょぼんとした顔で返事をした。いつもよりも大人しい、その様子は、ちょっぴり可愛らしい。私は、そんな様子もお構いなしに罰ゲームの内容を告げた。


「1週間、スクールの宿題1.5倍な!!」


「北沢、あんたホントに勉強させたがるよね!何なの!?先生なの!?」


「何とでも言うがいい!!とにかく、約束だからな」



【2】


 この日の放課後、私は真っ先にスクールの事務室に向かった。そこには、長沼の姿があった。


「お疲れ様です。早かったですね」


私は、長沼に声をかけた。今回は、私が彼を呼び出したのだ。長沼は、私に挨拶をすると質問してきた。


「それで、今日は何をするのですか?」


「2学期の期末テストが終わりましたので、これから本格的に入試の対策を行おうと思っています。どんなことをするのか、知ってもらおうと思いまして」


「なるほど、それは興味あります」


長沼は、目を輝かせながら言った。


「それでは、そろそろ時間なので行きましょうか。私が生徒に説明しますから後ろで見学していてください」


「わかりました」



 私は、人数分の問題集を持参し、集団ブースに向かった。そのブースには、千歳や上野を含めた数名の生徒が待機していた。私が教材を机の上に教材を置くと、上野が私に尋ねた。


「北沢、今日から新しいことするのか?」


「ああ。テストも終わったし、これから本格的に志望校対策をしていくぞ。今回は、都立高校への進学を考えている人に集まってもらった。私立高校だと対策の教材が異なるからな」


「なるほど、それで塚ちゃんがここに居ないのね」


千歳が納得した様子で言った。私は、持ってきた教材を配りながら言った。


「さて、まずは過去問を解いて出題形式に慣れてもらう。このテキストは、都立の過去問を単元別に並べたものだ。まずはこれを一通り取り組んでもらう。目安としては、冬休みが終わるまでに、このテキストを5教科分すべて終わらせてもらう」


「じゃぁ、冬休み明けは、何をするんだ?」


「都立の予想問題を5回分作成した。これをやってもらう。過去問は、どうあっても過去問だ。同じ問題が出題されることは、ほぼありえない。だから、最後に予想問題を解いて見直しをすることで、対策が万全になるわけだな」


「なるほどね」


「ねぇ、北沢。見直しってよく言うけど、間違った問題を解きなおせばいいんだよね?」


「いや!それだけでは不十分だ!」


「え!?」


「次に、過去問や予想問題の正しい見直し方について説明しよう。例えば、こんな経験はないか?「英語の英文法の問題が出題されたときに、何の文法の問題なのかわからない。」とか、「数学の問題で、何の公式を使ったらいいかわからない。」とかあるだろ?」


「確かに……」


「普段、使っている問題集は、単元ごとに(例えば、“現在完了形”や“二次関数と一次関数の交点”などの表記があったり)問題がまとめられているから、そのタイトルを見ただけで解き方がわかってしまう。しかし、本番の入試では、そんな親切に単元名が書いてあったりはしない。だから、何が問われているか分からなくなってしまう。という現象が起こるんだ。俺は、こういう現象を「問題の翻訳ができない」と呼んでいる」


「う~ん。言ってることはわかるけどよぉ~!じゃぁ、どうすればいいんだよ」


「うむ!そこで、過去問の見直し方を工夫するんだ。過去問の見直しをする際に、間違えた問題を解きなおすのはもちろんだが、ここにもうひと作業加えるんだ」


私は、そう言うと。今まで使用させていた入試対策問題集を持ち上げながら言った。


「その間違えた問題の類似問題を、この問題集から“自分で”探し、解くんだ。それを繰り返すことで、次第に問題文を読んだ際に何が問われているか分かるようになってくる」


「なるほど、その作業は今までしたことなかったな」


「ちなみに、この方法は大学入試の過去問の見直しにも使えるから、高校生になっても実践し続けることをオススメするぞ。高校ですら、きちんと過去問の振り返りができない者は多いからな。さて、説明はこんなもんだろ。それじゃ、さっそく過去問演習を始めますか」



 いよいよ、入試対策も大詰め、志望校対策の段階に突入した。これが最後の戦いだ!



いつも、最後まで読んでいただきありがとうございます。

感想がありましたらお待ちしております。ブックマーク、レビュー、評価等を頂けましたら嬉しいです。よろしくお願いします。

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