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那朗高校特殊放送部!

那朗高校特殊放送部~それぞれのクリスマス・三条、城嶋編~

作者: 那朗高校特殊放送部

筆者:三条翡翠


クリスマスイブ。

今年で高校生は終わりだが、結局彼女は出来ず、

今年も寂しくクリスマスを迎える事になる…とはいかなかった。


「もうだいぶ遊んだな…」

「正直ちょっと目が痛いです」


前に特殊放送部の活動で世話になった他の部の男子を集めて、オールナイトの男子会になったからだ。



これにはまぁ何個かの理由があるんだけど、

1つは受験シーズンで勉強尽くしで俺がストレスが溜まってた事と、

もう1つはただ単にクリスマスに暇だったからだ。


バンド部の方で集まって騒ぐのも予定してたはしてたんだが、あっちは大晦日にやるしな。


って訳でまぁ、クリスマスに暇な連中集めて遊ぶことにした。




集まってるのは俺の家だ。

両親が海外旅行に…とかそういう訳じゃ無くて、俺の家は二世帯住宅で、

使われてない家屋があるんだよな。

で、そこを使ってるって訳。


ゲーム機が繋がっている大型液晶テレビ。

床に山積みにされたボードゲーム。

カゴに詰め込まれた菓子類に、テーブルに並べられたチキンやピザ。

今夜一日をはしゃいで過ごすには十分な量だ。


「じゃあまずはゲームでもするか」

とりあえずゲーム機の電源を入れる。


集まったのは6人。

俺、三条翡翠。

特殊放送部の後輩、城嶋蓮。

新聞部の錦。

写真部の冴木と南。

野球部の佐藤。


部活も学年も違う6人だけど、前にカラオケに行ったこともあるし仲は悪くない。



「よし、じゃあ飯にでもするか!」


今は午後8時。

既に数時間ほどゲームで遊びまくっていて、メンバー皆ちょっと疲労が来てる。

腹も減って来たし、オードブルと洒落こもうか。


「しゃあ俺ら肉温めてくるから、ジュース開けといてくれ」

「はい!」


城嶋ら後輩組の声を背に聞きながら、チキンを電子レンジに入れる。

そしてその横で冴木がオードブルを整えている。

そんなの後輩に任せりゃいいと思ったけど、どうもこだわりがあるっぽい。


ガーー、と電子レンジが音を立てて回っているのを見ながら、皆が居るリビングに聞き耳を立ててみる。


「城嶋、お前の部って女子の方が多いよな?」

「え?まぁ、そうだけど…」


これは南と城嶋だな?

まぁ、確かに特殊放送部は女子比率の方が高くはあるけどな。


「けど、ぶっちゃけ先輩ばっかだから居心地はあんまりよくないぞ…」

「そりゃ俺らだって3年生が幅利かせてるよ」

「そっか。野球部の佐藤は?」

「野球部は女子はマネしか居ないからなー…それも部長と出来てるし」

「「あぁー…」」


気が付いたら冴木も聞き耳立ててるし。

そういう話を先輩達で聞いてるとちょっと気まずくなる。


「っていうか写真部も女子の方が多いだろ」

「比率で言えばそうだけどさー、あれは無いわー」

「やっぱ苦労してんだな」


後輩たちの会話が気になったから、横にいる冴木に小声で聞いてみた。同じ写真部だし。


「なぁ冴木」

「…うん?」

「…アレ、実際どうなんだ?」

「まぁ…被写体になりそうなイケメン以外には興味無い感じだな…」

「そうか…」


世知辛いな…

いや、だったらうちの女子はどうなんだろうな。


部長は誰にでも優しいけど、付き合えるかは未知数だな…

倉井と霜月は難易度が高そう。

夏輝は割とすんなり行けそうだけど、その後苦労するのは絶対に俺だ。

与那嶺は…なんというか、そういう対象では見れない。


そう考えると、思ったより特殊放送部の面々も難しいな…?


部員の顔を思い出していた時、チーン、とレンジの音が鳴る。


「出来たか、聞いてた事は内緒だぞ」

「当然」


軽く冴木とアイコンタクトを交わしながら各々の料理を手に取ってリビングに戻る。


「よぅお前ら、ちゃんと準備出来てるか!?」

「え、あ、はい。大丈夫です」


南がそう言うからテーブルを見てみるが、ちゃんとコップや皿も人数分あるし、飯食うのに邪魔なものは全部片づけられてある。


「チキン1人2個って豪華っすね」

「ま、クリスマスだしな」


クリスマスにしか食えないような足つきチキンも、今回は奮発して買ってある。

まー、割り勘だけどな!


「じゃあ、飯にすっか!」


全員でテーブルを囲んで、各々ジュースを手に取る。


「じゃ、乾杯!!」

「「「乾杯!!」」」


手近な奴と乾杯を交わし、ジュースを一気に飲み干す。


炭酸の喉を駆け抜ける刺激を感じながら、皆と雑談になる。


「いやー、今年もお疲れ様だな!」

「これ忘年会でしたっけ?」

「似たようなもんだろ。年末だし」

「そうかなぁ…」



「先輩達受験生ですけど、今こんな事してて大丈夫なんですか?」

「1日くらいストレス発散の日が無いとなぁ」

「俺はもう推薦貰ってるし」

「え?」「え?」「えぇ?」

「あれ…俺前に言ったはずだったけど…?」



「ドクペ飲みます?」

「いやぁ、俺は苦手だなぁ…」

「そうですかー。勿体ないなぁ」

「あれは人選ぶからなぁ」

「でもあと4本ありますよ?」

「誰だそんなに買ったやつ!」


そんな他愛もない雑談を繰り返しながら、クリスマスパーティは進む。

っていうか冴木の奴推薦取ってたのか…


まぁともかく、

夕飯も皆でほぼ食べ尽くした頃合いで、新聞部の錦に話しかける。


「そういや錦」

「ん?」

「お前ケーキ買って来たって言ってたよな?」


今日の最初に、錦がケーキ屋の箱を持って来てた。中身は見てないけどな。


「あー、そうだった!忘れてたわ」

「ケーキもあるんですか?」

「おう、折角のクリスマスだしな!」


何てことを言いながらキッチンへと消えていく。


「三条先輩、ケーキって何ケーキなんですか?」

「さぁ…?俺も中身は知らないけど、チョコか何かだろ」

「先輩は何か苦手なケーキとかあります?」

「苦手なのは特に無いけど…モンブランはあんまり食べないな」

「あぁ、なんとなく分かりますね」


ケーキを待つ間、城嶋と駄弁る。

いや別にモンブランが嫌いなわけじゃ無いんだけどな。

俺がオーソドックスな三角のケーキが好きなだけだ。



「おまたせー」


ほんの数分後、錦が箱を抱えて戻って来て、それをテーブルに置いた。

まだ中身は見えない。


「…で錦、どんなケーキ買って来たん?」


冴木が聞くと、錦は一瞬ドヤ顔をしながら、


「まぁそれは見てのお楽しみという事で」


そう言いながら箱の蓋を掴んで、


「俺らのクリスマスケーキは、これだぁー!!」


と一気に取り上げた。

そこにあったのは、



白と薄ピンクのクリームが鮮やかで、色とりどりのフルーツと、サンタの砂糖菓子が所狭しと並べられているゴリゴリに可愛いホールケーキ。


「「「女子か!!」」」


錦以外の五人が叫ぶ。


「なんだこのケーキ!女子がワイワイするやつじゃん!」

「インスタとかで見るやつでしょこれ」

「っていうか今日見ましたよ」

「え、佐藤インスタやってんの?」

「見る専だけどね」

「あ、わかる」


「いやでもな?これ量の割に安かったんだって!それに美味しそうだし」


錦の弁明。


「ホントかぁー?」

「ホントだって、他のの3分の2くらいの値段だったんだって!」

「それ売れ残ってたんじゃねぇのか…?」

「まー…店にはいっぱいあったな」


ケーキを見返してみると、サンタの装飾もあるし、確かに今日売れなかったらもう売れないしな。


「ま、どんなケーキでも食えば一緒だし、さっさと食おうぜ」


ケーキに包丁を入れようとしたとき、


「ちょっと待った」


と冴木が割って入る。


「どうせなら写真とか取ろうぜ」

「写真?」

「こんなもん買う機会はもう無さそうだし、俺らもう卒業するしな」


「…」


確かに一理あるというか、あと3か月位で卒業するのか…

…そうだな。


「じゃあ、写真撮るか」


スマホを取り出しながら皆に向かって手招きする。

遠いと撮れないからな。


「え、俺たちも写るんですか?」

「そうだよ」


後輩も強制参加で、6人でケーキを囲む記念撮影。

俺のスマホのカメラは画角があんまりよくないせいで、密集しないと撮れない。


それでも何とかして全員画面に収めることが出来たから、


「んじゃぁ撮るぞー、はい、ピース」

「え、ピースなの?」


カシャッ


有無を言わせずシャッターを切る。



「どうです?撮れました?」


挿絵(By みてみん)


後輩たちが寄って来たから、アルバムを起動して、みんなに見せる。

そこには、

当然だけどケーキの後ろで皆で顔を寄せ合ってピースしている写真。


「「「女子かっっっっ!」」」


またしても家にツッコミが響く。


え、こっちに挿絵が無いって?流石にこれは見せられなかったわ。


「この南と佐藤が寄せ合ってる辺りがかなり女子っぽい!」

「冴木先輩のピースの使い方女子がよくやってるの見ますよ!?」

「あれだろ、小顔に見えるピースってヤツ!」

「これはスペースが小さかったから仕方なくてな」

「それは俺らもそうですからね!?」




「「「…」」」」


ひとしきり騒いだ後沈黙が広がり、


「…じゃあ、食うか」

「…はい」


粛々と食事モードに入るのであった。


まぁ、ケーキもケーキで想像以上の甘さにもうひと盛り上がりしたがな。

で、皆ケーキも食べ終わり、時刻は午後9時半。

夜もこれからという時間だ。


「さて、ケーキも食ったし、今夜は遊び倒すぞ!」

「「おぉー!!」」


リビングの隅に置かれた人生ゲームを持ちながら宣言する。

テレビゲームで目が疲れた後は、ボードゲームに限るよな!


そうして、無礼講、弄りアリ、下ネタアリの男子会は、夜通し行われて行った。



…因みに人生ゲームはボロ負けした。

三条「今日は白金は居ないのか?」

城嶋「どうも今日は用事があるらしくて」

三条「まさか…彼女…!?」

城嶋「そっ…そんなはずは…」

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