プロローグ4
一「え!?俺あれで死んでないの!!?」
自分に何が起きたか思い出したが、分かったが故にどうして死んでないのかがわからん。
ホ「元気よく飛び出したのが逆に功を奏したんだよ。そのまま運転室の窓に突っ込んだからミンチにならずに頭血だらけで済んだんだよ」
一「頭血だらけなら大丈夫じゃないんじゃない!?」
めちゃくちゃなことを言われているがともかくまだ死んでないんならそれはそれでいい。
しかし、聞きたいことはそれ以外にも数えきれない程ある。
一「状況はなんとなくわかりましたけど、じゃあなんで俺ここにいるんです?さっきなんか都合がいいっていってましたけど…」
ホ「都合がいいだけで選んでないよ!そりゃもちろんかなり都合がいいけど…だけど君の人柄の良さに他人のために命を張れる自己犠牲精神!選ばれるべくして選ばれたんだよ!!」
一「うーむ」
褒められると素直に嬉しいが、相手は金ぴかなおっさんだし何より胡散臭すぎる。
一「選ばれるとか言われても俺からしたらいい迷惑なんですが…もしかして奴隷扱いからの強制労働ですか?」
ホ「とんでもない!君はお客様なんだしこちらは助けてもらう側なんだからちゃんと報酬は渡さないとね」
一「報酬、ですか?」
相手は胡散臭い、が自称でも神を名乗るおっさんだ。その報酬に興味が湧いてしまうのは仕方はないだろう。
ホ「そう!例えば君は女の子との出会いに飢えていたみたいだけど、君の好みの女の子と付き合えるように運命の赤い糸をかなり太く長くしてあげよう」
なんと
ホ「ハーレムがいいなら、モテるオーラが出るようにしてもいいよ」
なんとなんと
ホ「金銭は直接は渡せないけど金運を上げることはできるよ。働かなくても困らないぐらいには上げるくらいなら余裕だね」
なんとなんとなんと!
ホ「一つとは言わない、今言ったこと全てに別の願いをある程度なら追加してもいいんだよ~」
なんとなんとなんとなんですと!!
一「すごい、最高じゃないですか!!」
今俺の頭の中は夢のような妄想に埋め尽くされていた。
このおっさんは胡散臭いが俺についていろいろ知ってるし、いくつか神っぽいような様子も見せてるし信じてもいいかな否信じたいと俺は思っていた。
ホ「でしょでしょ?ただ報酬は、仕事が終わって元の世界に帰った後になるけどね」
一「元の世界?俺帰れるんですか?」
正直意外だった。これは異世界みたいなとこで幸せに暮らせるぞということかと思いきや、仕事をこなして帰ってからそれを味わうことができるみたいだ
ホ「君の世界的にいうと出向かな?とある世界に行ってあることをして欲しいんだ」
一「俺は一体何をすればいいんです?」
ここが話の根幹。報酬が事後で渡す以上仕事の内容はとても重要だ。
ホ「君にして欲しいのは…」
?「係長~ホンニ係長どこにいらっしゃいますか~?」
おっさんの話を遮るように若い女性の声が聞こえてきた。
どうやら、このおっさんを探しているみたいだ。
ホ「も、もう時間か!?まだ説明できてないのに!!」
一「係長?えーとよくわかりませんが、俺待ちますし用事あるなら先に行ってきていいですよ」
ホ「そういうわけにいかないんだよ!、君との打合せも会議室使ってるのも全部ダマでやってんだから!」
ダマ?会議室?やっぱりこのおっさんは胡散臭過ぎる。
一「あの~、やっぱりこの話は無しってことで…」
ホ「こうなったら仕方ない、強制転移でとりあえず向こうまで運ぶね!現地にはナビゲータもいるし、説明は彼女に引き継ぐからあとはよろしく!」
おっさんが指を高らかに鳴らすと空中に大きな穴ができる。
なんだろうと思う前に体が浮くほどのとてつもない引力に吸い込まれそうになる。
一「ちょっ!?俺まだOKしてないんですが!!」
ホ「大丈夫大丈夫!君なら上手くやれる、というかあんまり大きな声出さないで聞こえるでしょ」
一「この外道オヤジいいいぃぃぃぃぃぃ……」
?「あ、ここにいましたか!もうそろそろ会議始まるんですから早く準備して下さいよ」
ホ「スラリンカ君、すまないちょっと寝不足で仮眠してたんだよ」
ス「まったく、それにしてもなんかここで誰かとお話してませんでした?」
ホ「さっき家内と電話してたんだよ、ではそろそろ行こうか。次の会議だけど………」