俺。花見とはーーー。
「母さん。俺今日熱っぽいから休んでいい?」
俺には時間が必要だ。花見とのつきあい方とか登校とか。
でも花見はそんなことをしても、地球の果てに居ても自家用ヘリコプターで追ってくるやつだ。
そんな奴に対抗するにはやはり関係を断ち切る方が効果的なのだ。
「花見ちゃん。玄関の前で待ってるよ。ちょっと言ってきなさい」
「ああ。わかった」
俺はあの玄関が忌々しい地獄への扉のように見える。幻覚かよ・・。
がチャリとドアを開けたら花見が腕時計を見つめて待っていた。
花見はおはようと言おうとしたのが口の動きで分かったが俺の雰囲気とパジャマ姿で察してくれたようだ。
「透君!どうしたの?」
「ごっめん!今日は熱で学校休むんだ。ごめんな」
「えー。しかたないなー」
「良かった。早く学校に行けよ?」
花見の雰囲気が一瞬にして百八十度変わった。さっきの桜吹雪が吹雪いていた呑気な雰囲気からどこてもドアで北極に投げ込まれたように。
何度目が分からないほど豹変してきた花見の姿はやはり怖かった。
花見は小声で、こう言った。
「逃げられないんだよ?」
花見は透き通った声でそっと耳に甘い吐息を吹き掛けて何処かへ行ってしまった。
「早く。考えなきゃ!」
インフルエンザきついよぉ!四十度とか・・・。