幼なじみは《いつも》俺を見ている
「ふあぁあ・・・」
六時にセットしたスマホのアラームがピピピと静寂な部屋に鳴り響く。
早くご飯食べなきゃ・・・。何か、忘れているような。
「ん・・・。おはよぉ透君・・・」
花見が寝ぼけ眼を擦りベットから出てきた。
やっと思い出した!俺は花見と一緒に寝ていたんだ。
花見は桜の花弁が刺繍してある寝間着で寝ていたのか。気づかなかった。かわいいなー。
「花見ぃ。朝御飯どうするの?」
「ここにあるよ。実は昨日の晩のうちに透君の部屋に繋がる通路を作ったの」
は?そう言いたい。俺の部屋は二階だぞ?どうやって?
「ベランダから私の家の庭まで階段を取り付けたの。目立たないし大丈夫」
まあ花見がやることだからほっといてやるか。花見はニコニコしておにぎりをモグモグしている。
そういえば今日は土曜日だから学校が休みだな。何しよう。
「花見。今日何する?」
花見は頬杖をついて考えている。花見は着替えるのか?
「んー。昨日は透君の家に泊まったから今日は私の家に泊まっていって!」
これは返答していいのか気になるが・・・。一回親に許可取っていかなきゃいけないし。
「親に許可聞いてくる。花見もついてきて」
頷いてから花見は私服に着替え始めた。勿論目を手で隠しているが。
衣服の衣擦れが聞こえてくる。そしてバラの柔軟剤の香りが部屋に漂う。花見自体が芳香剤レベルの匂いを発しているかのようだ。
花見は白色のブラウスにピンクのチュールスカートを合わせたシンプルな服装だ。髪を金色のリボンで縛ってある。
トトトと階段を降りて、花見と共にリビングに行く。リビングには両親がぼーっとテレビを観ているが気づいたようだ。
「花見ちゃん?朝からどうしたのかい?」
「お父さん。花見の家で泊まっていい?」
父親はうーんと考えてから結論を出した。
「ダメだ。年頃の男女で・・・何を考えているんだ!」
その瞬間花見の目が変わった。猫の眼のように鋭くなり顔色が蒼白くなってゆく。
紫紺の瞳が深紅に染まり行く姿はまるで深淵の眠りから覚めた怪獣のようだった。
「だ・・・めです。透君は私のモノだから」
花見は冷たすぎる目線でこの場を凍らした。そしてその目線を父親に向けてから、
「は?花見ちゃん。何を・・・」
「何故透君とお泊まりしてはいけないのですか?私はこれでも山藤院家の末裔です。家は隣にあるし安全面も確実です。不埒なことは一切する気はないと思いますが?
契約ですか?前金・・500万でどうですか?透君が運悪く殺されたなら追加で3億支払いますけど?」
俺の命に・・・3億弱?は?花見は何しているんだ?
自分の命におかね?
「花見?何を言っているんだ?」
「私は・・・透君を。旦那さんにしたいです。だからだから」
「無茶を言わないでくれ。花見うぐっ!!!」
花見は父親の首をヌルリとした素早い動きで首を締めた。桜色の爪が父親の首から血を流させている
「私の言うことが聞けないならどうなろうと知りませんよ?あははは」
しかたない。どうしようもない。こいつは。ヤンデレで異常だ。
「わかったよ。今日だけだぞ」
「やったー!透君!早く家に来てよ」
「荷物、整えるね・・・」
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