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星空の夜。
今日は風が冷たい。
私は小さく身震いをして、少しだけ開いていた窓を閉めに行った。
換気したとき、閉めそこねて少しだけ開いていたのか。
あ。
星が綺麗だ。
私は台所へ向かう。
牛乳を取り出し、温め、粉末状のココアを入れ、
スプーンでかき混ぜる。
ふわっと立ち上る湯気から出る、甘く柔らかな香りが鼻先をかすめた。
さあできた。
こんな日は空が高く見えて、夜空が星空になる日。
君が教えてくれたんだっけ?
コーヒーが飲めない私のために、いつも自分のコーヒーと
私のココアを作ってくれたっけ。
なのに私のことはそっちのけで、ただひたすら星を眺めていたね。
時には奥底にある天体望遠鏡まで持ち出して。
子供のように無邪気に笑う、あの笑顔が好きだった。
今すぐ君に会いたい。
それなのになんで君は床で転がっているのだろう。
動かなくなっちゃって、壊れたおもちゃみたいね。
フフッと笑いながら私はコートを羽織り、ココアを持つ。
さあ、これからどうしようかな。
星を見ながら、お散歩にでも行こうか。
さようなら、愛してた人。