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魔法使い。
私は魔法使いだから。
彼女はそう言っていた。
もちろん僕は信じていなかった。
当たり前だ。
魔法なんて非科学的なもの、あるはずないのだ。
そんなものをどう信じればいいのか。
僕の否定的な言葉に彼女は、ちょっと寂しそうな笑顔を向け
何もしゃべらなかった。
ほらやっぱり言い返せないじゃないか。
どーせでまかせだろう。いい加減なやつだ。
そう言おうと思ったけどやめた。
彼女の目には涙がたまっていたから。
まあ自業自得だけどね。
ほら、外あったかいよ。今のうちに帰りなよ。雪が降る前に。
まあ、こんなに暖かかったら雪なんて降らないけどね。
そう言うと、彼女はそうね、と寂しげに笑いながら
扉を開けて姿を消した。
なんておかしなことを言う子なんだろう。
ふぅ、とため息をつきながら窓から帰っていく彼女の姿を見送ろうとした。
そんな時、季節外れの雪が降った。