ある忍びの心
目前にあるは貴女の顔
吃驚して瞳が零れ落ちそうだ
ああ、少し貴女の着物を汚してしまった
すみません、
でもこうでもしないと間に会いそうに無かったんだ
ああああ、泣かないでくれ
間者は俺の相棒が倒したから
だから笑ってくれ、
初めて会った、あの日の様に...
最初の出会いは、
初めて城に呼ばれたあの日
幼き貴女に出会った
愛らしい笑顔で俺の名を紡いだとき
俺の総ては貴女の物となったんだ
どんな時も貴女の側にいた
勉学から逃亡を図り失敗したときも
お忍びで城の外に出たときも
意味無く木の上に上ったときも
...大切にしていた小鳥が死した時も...
毎日見つけるあなたの新しい表情
その多くは俺だけに見せるもの
日に日に募る貴女への思い
誰にも悟られぬ様隠した
ただ一人気づいていたのは相棒だけ
隠し続けて数年
貴女の輿入れが決まった
相手はどこぞの武将
身が切られるような思いでその報告を聞いた
お国の為にと涙ぐむ貴女は美しかった
白無垢に身を包んだ貴女は麗しかった
だけど見続けるのは切なくで
任務と偽りその場から逃げた
相棒にその後の初夜の警備を任せ
夜の闇の中静かに涙を流した
いく年月が過ぎ戦が始まった
城の周りもきな臭くなった
戦に頻繁に赴くようになった武将
その最中、舞い降りた情報
間者が城の中にいる、と
すぐさま貴女の元に駆ける
嫌な予感が纏わりつく
一時でも側をはなれた自身を怨む
やっと貴女の部屋に着いた俺は
黒き影が貴女を襲うさまを見た
間一髪で貴女を守れた
この身総てを使って
初めて貴女を抱きしめて感じるその温もり
不謹慎だが幸せだ
歪む貴女の顔、ああ少し俺の血で汚れた
だが生きている、それで十分だ
何かを叫んでいるが聞こえない
勿体無く思うも襲い掛かる睡魔に抗えない
ああ、貴女が無事でよかった、只それだけを思い目を瞑る.
もしもこの世に神とやらが居るのなら
一つだけ我侭を.
もしも生まれ変わることが出来るなら
たった一つだけ願いを.
もしも運命と言うものがあるなら
一つの宿命を.
次に生を受けるとき
その時は平和な世である事を
次に生を受けるとき
身分など無い時代に
次に生を受けるとき
二人が共に生きることが出来るように...
(ある時代、ある場所で
ある男女が巡り合う
それは果たして叶わなかった思いへの慈悲か
それとも強き想いの為せる事柄か__)
話し方がチョット目茶苦茶なのは仕様です
感想お待ちしています(ペコリ)