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電脳嫌いと電脳少女の電脳探偵  作者: 卓音 逢楽太
眠れない日々の始まり
4/10

依頼2

 後ろで、アルがカウントをやめる。おそらく、アルにも聞こえたのだろ。

 どうやら聞き間違いじゃないようだ。

「妹を預かったって、冗談だよな……」

「これでも冗談なんて言えるか?」

恵琉(える)にぃ、助けてっ」

「っ!?」

「どうやら、状況が分かったようだな」

 間違いない、あれは妹の声だ。

 それにあいつは、人前で俺の事を『恵琉にぃ』なんて呼ばない。呼ぶのは二人の時か、相当パニックになった時だけだ。その呼び方を知っているのは、俺とアルぐらいだ。

 それを、声はともかく呼び方まで真似できるわけがない。

「分かったら、8時までに一千万用意しろ」

「そんな大金1時間で用意できるわけが・・・」

「ないってか?調べは付いてんだよ。その家の金庫に大金があるってよ」

「なんでそれを・・・」

「調べたつってんだろ。それより早くしねぇと妹がどうなってもしらねぇぞ」

「……分かった、どこに持っていけばいい」

「街の東側に使われてないコーポニシキドっていうビルがある、そこに8時までに持って来い。ちなみに、サツを呼ぼうたって無駄だからな。お前が連絡取ろうとすればすぐこっちに分かるようにしてあっからよ」

「わかってる」

「それと、家の周りに見張りがいるから、変な動きをしたら……」

「分かってるって言ってんだろ!」

「そうか、じゃあよろしくな」

「………」

「……マスター本気ですか」

 さっきまで楽しそうだった尻尾はうなだれている

「当たり前だ」

 妹のためなら金なんていくらでもくれてやる覚悟が俺にはある。

「ちょ、マスター冷静になってください」

「ミャアが誘拐されたんだぞっ!落ち着いてられるかっ!!」

「お金を渡したところで、妹さんが帰ってくる保証はないんですよ!」

 その言葉に俺は少しムッとした。

「じゃあどうしろってんだよ!」

 するとアルは「ご飯を食べよう」と提案するようにいった。

「やっつけちゃいましょう」


 俺は一瞬言葉を失った。

 一瞬の間を開けてやっと俺の口を衝いて出てきたのは

「え?」

 という間の抜けた声だった。

「あっ、マスター今、無理だって思いましたね。大丈夫です、私が付いてますからっ」

 と言ってアルは胸を張った。

「……お前も戦ってくれるのか」

「そんなできるわけないじゃないですか。私が物に触ることができるのはこの家の中だけですよ」

 バカだ、こいつはとてつもないほどバカだ。

「じゃあ、どうするんだよ……?」

 すると、アルは不敵な笑みを浮かべる。

「ふっふっふっ……忘れたんですか?私が毎朝マスターにしていることを」

「……?毎朝……毎……朝?………あっそうか、あれがあったか!」

「やっと思い出しましたか?マスター」

「ああ、『放電』(スパーク)だろ」

 アルには『放電』という能力というか、なんというか、とりあえず『放電』という現象を超すことができる。本人もどうして出来るかわからないようだ。

 アル曰く「きずいたらできてました~」ということだ。

 そして俺は、アルに毎朝その『放電』で起こしてもらって……間違えた、叩き起こされている。

 それを使えば………いや『放電』を使うには問題がある。

「アル」

「なんですか?マスター」

「『放電』には電源がいるじゃないか、そもそもびっくりさせるだけの『放電』じゃ大人には勝てない」

「いつもはエネルギーを抑えてるんです。コンセントの電気を全部使ったらマスター起きずにに寝ちゃいますから」

 怖いことを言ってはいるがアルなりに考えているようだ、だが

「だが、電源はどうする、使われてないビルには電気なんて通ってないと思うぞ」

「それも大丈夫です。バッテリーを持っていきますから」

「バッテリー?」

「はい!たしか、物置の奥にお父様がお作りになられた特性のバッテリーがあったはずです。それを使えば大人だけじゃなく恐竜でも倒せちゃいますよっ」

「別に恐竜は倒さなくていいけど……。でも、それならなんとかなるかもな」

 これで妹を助けられそうだ……

「そうだ、バッテリーって充電してあるのか?」

 バッテリーは充電していなければ意味がない。

「はい!バッチリです。ただ……」

「ただ……?」

「そのバッテリー充電するのに時間かかるので、いっときバッテリーを使って『放電』が出来なくなるのが残念です」

「………」

 いったい誰にするつもりだったのかは聞かないでおこう。

「とっ、とりあえず早く準備しよう」

「そうですね、じゃあ私が作戦に使うものをいろいろ用意しますのでマスターはバッテリーを用意してください」

「わかった」






 バッテリーはすぐに見つかった。

 物置の奥のコンセントにささったまんまになっていた。本気で使う気だったらしい。

「アル、どこだ、バッテリー見つけたぞ」

「あっ、マスターこっちです」

 二階からアルの声が聞こえた。

「なにやってんだ」

「コードを集めてるんです」

「見ればわかる」

「じゃあ聞かないで下さいよ」

「やってることはわかるよ、お前がコードを集めてる理由を聞いてるんだ」

「……はぁ、戦うためですよ」

 なんでこいつは面倒くさそうなんだ。

「これは、私が『放電』するときに電気をコントロールするために使うんです。私は外では物に触れられませんから直接電気を流しこむことができないんですよ。ですが、コードを使えば確実に当てられます。まあ簡単に言えば超強力なスタンガンみたいなものですね」

「へぇ、すごいな」

「もちろんマスターにも頑張ってもらいますよ」

「えっ!?俺もすること有るの」

「当たり前ですよ。マスターにも戦ってもらいますから、というより戦うのはマスターだけですね」

 俺の耳がおかしくなければ今アルは「戦う」と言ったはずだ。そんなこと聞いていない、それどころか作戦の内容すら聞いていない。

「えっと……アル……」

「ん?どうしたんですか、マスター?」

アルはかわいらしく首をかしげ猫耳を揺らす。

「作戦の内容を教えてくれないか」

「ええ、良いですよ。えっとですね。まず、マスターがビルに乗り込みます。それから、隙を見てマスターは相手を殴ってください。そのタイミングで私が『放電』しますので、あとはできるだけ攻撃されないようにしてください。殴らないと『放電』がうまく当たらないのでがんばってくださいね。以上が『妹さん救出作戦』の内容です」

「ちょっ、おまっ、そんな簡単に言うなよ、殴れとか避けろとか無理だから」

「大丈夫です、私がしっかりサポートしますから」

「サポート……?」

「はい!マスターは電気で筋肉が動くことは知ってますか?」

「まあ、一応……」

「ですから、私が一瞬だけ(・・・・)電気を使ってドーピングしてあげます。一瞬だけ(・・・・)アスリート並みに動けるようになります」

 やけに「一瞬だけ」を強調するな。

「まあ……ドーピングできるなら……」

「ですが、ドーピングにたくさん電気を使うと攻撃用の電気がなくなりますので出来るだけ自力で頑張ってくださいね

マスター」

 アルはあまり頼りにしないほうがいいようだ。

「そういや今何時だ」

 時間を見るために携帯を取り出す。

「やば、約束の時間まで20分しかねぇ、チャリ使えばギリギリか?」

「マスター急ぎましょう」

 作戦のことは納得できないが、今は考えてる時間がない。

「そうだな、急ごう」

 ふと自分が落ち着いていることに気がついた。今から誘拐犯のところに殴りこむというのに……

「ふふふ、なんだか、こう……殴りこむっていいですね、興奮します。あっ、そういえば、殴りこむみたいな歌がありましたね。今から一緒に~~これから一緒に~~殴りに行こうか~~」

 陽気で元気だけが取り柄のこいつのおかげだろうか。もしかして気を使ってくれたのか。

「お前にはお礼しなくちゃな」

「おおお、何のお礼かは知りませんがマスターが珍しく気前がいい。もしかしてヤリでも降ってくるんじゃ……」

 こいつは本当にいつでもふざけてるな。

「ふざけてないでいくぞ、本当に時間がないんだ」

「はぁい、わかってますよ」

 本当に……

「ありがとな、お前のおかげで冷静になれた」

「あたりまえです。マスターが冷静じゃないとイタズラしても楽しくありませんから」

 イタズラしたかっただけか。

 まあ、アルらしいと言えばアルらしいけど。

 今回はアルのそんなところに助けられたな。

どもです。逢楽太です。

前回『プロローグの内容が明らかになるかも?」と言ってましたが長くなってしまい、二つに分けることにしました。分かりにくいところがあったら教えてください。がんばって修正します。

それでは今回のお話を少し……なんとアルには特殊能力が!?その名も『放電』(スパーク)まぁ、電気をながしてるだけなんですけどね

 

それではそろそろお暇を……


これからもよろしくお願いします

感想お待ちしております。ノシ

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