紅い氷の妖精
旅人は寒さの厳しい雪山の麓にある町を訪れた。
その街で旅人は妙な話を聞いた。
「この雪山には紅い妖精が棲んでいる」
そんな奇妙な話を聞いたのだ。
旅人はその話が本当なのかと確かめに雪山に向かった。
その日の雪山は吹雪が激しく、とても前を見て入れるような状態ではなかった。
だが、旅人は吹雪が吹き荒れる山道を歩いた。
もちろん旅人の体力がもつはずもなかった。
旅人は倒れた。意識を失い、ぐったりと倒れた。
旅人はとてつもない後悔と脱力感を感じた。
暖かな温もりを感じた。ぼんやりと光が見えた。
旅人はまだ生きているということを実感した。
歌声が聞こえた。はるか昔、英雄戦役を詠った歌だった。
旅人はゆっくりとかすんだ眼を開け、その光景を見た。
そこには紅い氷を身に纏った妖精が居た。
旅人は驚きを隠すことができず、ただ妖精を見ているだけだった。
紅い氷の妖精は旅人が気がついたのに気付き、ひっこりと笑って見せた。




