譲ってやろう
とある国で聖女が見つかった。「聖女」とは「癒し」と「浄化」の力を持ち、世界に平和をもたらすもので有るしかし、この聖女は貧民の生まれで、無知無教養であった。
そこで国の重鎮たちは聖女に教養と知識を身につけさせようと、教師たちを付けた
聖女は朝は祈りを捧げ、昼は勉強と訓練、夜は見回りと聖務をこなした。暇さえあれば、病人たちを癒したり孤児院を訪問したりと奉仕活動をさせた。
聖女はこれらを黙々とこなしていった。
聖女の働きにこの国の人々はたいそう喜び、聖女を寵愛した。そしてこの国の王子も
ソレを快く思わなかったのは王子の婚約者である侯爵令嬢であった。彼女は聖女に王子にかまわない様にと言い放った。
しかし王子は聖女にこれまで以上に寵愛する様になった。
聖女はやつれていった。王子は気の毒に思い聖女に構ったが、令嬢はますます聖女を憎み、聖女に嫌がらせをする様になった。
聖女は目に見えて憔悴していった。
それに伴って力も弱くなって行きとうとう何の力も無くなってしまった。
国の重鎮たちは聖女が力を失ったと聞き酷く落胆し口々に罵る様になった。
そして聖女の今後の処遇の審議の場で令嬢は聖女にこう言い放った。
「彼女にはもう力が有りません!もう義務を果たせません!彼女は出て行くべきです!」と
重鎮達も口々に賛成し、彼女に「見損なった」「やはり下賎ものには義務が果たせないか」と言った。
一部のものは「聖女様には訓練や聖務を休んで回復させるて復帰していただくのは・・・」という意見もあったが、ほとんどものは令嬢と同じ意見であった。
平民から出た聖女という権威ある地位にいるのが気に食わなかったのであろう。
そして王子は項垂れて居る聖女の肩を抱き
「私の妾にならないか?」と聖女の耳元で囁いたとたん
「うるせえクズ!話しかけんじゃねえ!!こっちみんなボケ!!!」と言いながら聖女は王子の頭を踏みつけた。踏み潰す勢いで何度も何度も踏みつけた。
「マナーだの!礼儀作法だの!いちいち煩いんだよ!無理やり連れてきて置いて!構うなって言ってもやって来るしさ!食事も不味いし!わけわからんこと言って来るし!気色悪いんだよ!」
と聖女は叫んだ。
「王子を足蹴にするなんて!なんと言う態度!目をかけてやった恩を忘れたのですか!平民の身では過ぎた名誉なのに!」
と侯爵令嬢が叫んだ!
「聖女だのなんだの言ってよく働く奴隷が欲しいだけだろ!こっちは朝から晩まで働き詰めで休めないんだよ!」
と叫ぶ聖女に侯爵令嬢が
「聖女という名誉を授かったのに!なんて罰当たりな!お前に聖女は相応しく無い!」
「そんなに聖女が良いならお前がやれ!くれてやるよ!!!」
と聖女が叫んだ途端光が現れ、聖女から侯爵令嬢へと移った。
周囲は騒然となった。聖女は王子を加害した罪で牢に入れられ、侯爵令嬢が新たな聖女となった。
侯爵令嬢は、聖女に変わって聖務を行った。牢の中の聖女は忘れ去られていった。
朝の祈り、夜の見回り、病人の治療に孤児院の訪問などの始めは上手く行って居た。しかし、段々と侯爵令嬢に憔悴して来た。
侯爵令嬢は
「毎日毎日誰かに見られて居る感じがします。たまに何かが話しかけて来る感じが何を言って居るのかわかりませんが」
と、聖務による疲れと心労だろうと人々は言ったが、侯爵令嬢の憔悴は進んでいった。
そしてとうとう侯爵令嬢は寝台から動けなくなった。彼女は
「ああ何を言って居るのもうやめてちょうだい・・・」と魘されながら息を引き取った
人々は口々に「聖女の呪い」だ「報い」だのと口にした。彼らは聖女の元へと向かった。
牢の中で朽ち果てていると思われた聖女は跡形もなく消え去って居た。
人々は聖女は神の元へ向かったと思い祈りを捧げた。
そしてこの国ではその後一切「聖女」は出てこなくなり緩やかに滅んでいった。
さてとあの子が私を譲った子は耐えきれなかった様だし、私の声も聞こえて居なかったみたいだなあ。
あの子は話しかけたら返事を返してくれるから良かったなあ。でも一人きりのときにしてくれとか要望多かったなあ。
まああの王子とやらがあの子にしつこく付き纏って煩かったし、色々勉強とか頑張って居たのに周囲は誉めなかったし、周りの連中はあの子にキツかったしなあ。私は励ましたけど意味なかったみたいだしなあ
辛かったら誰かに譲っても良いと私を譲っても良いと言ったからあの子はあの王子のつがいとやらに譲ったけどやっぱり、体というより精神の方が持たなかったみたいだしなあ。
あの子は捕まったみたいだから最後になわばりの外に出したけど大丈夫かなあ・・・
さてとこの国は滅ぶことが決まったみたいだし、一旦帰るとするか。




