#5 異世界半端ねぇ!
そんなこんなしていてあの日から、ちょうど1週間たった日。
俺は学校でホームルームを受けていた。
「おい、陽!席替えらしいぞ、席替え!」
斜め前にいる意気揚々と竹田が話しかけてきた。
やれやれ、席替えで喜ぶなんて。まだまだお子ちゃまなやつだ。
「へぇー」
俺のどうでも良さそうな返事に、竹田が俺の耳元まで来てヒソヒソ声で言った。
「もしかしたら華恋さんと、隣になれるかもしれないんだぞ。」
「フォ~~!!席替え最高ッ!!」
俺は周りの目なんて気にせず、おもいっきり立ち上がっていた。
「うるさいぞ、平井!廊下にたってるか?!」
「す…すいません。」
みんなが大笑いしてるなか俺は静かに席に座った。くそっ、ミスったぁぁ
でもしょうがないよな、だって嬉しいし。
「はぁ、じゃあくじ引きまわすから。ハジッコの席からまわせー。」
ディズニーの缶ヶに入ったくじがまわってきた。はぁもうどこでもいや。
「よろしくね、平井くん。」
いやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
俺はあたった席がいわゆる主人公席だったので、少し元気になっていたが、それに加えて隣に恋路華恋さんまで来てくれていた。
あぁ、なんて今日の俺はついてんだろう。
「あ、あぁよろしく、華恋さん。」
なに緊張してんだ、俺ぇ。
「平井くんって、面白い人だったんですね。」
さっきのことか。
「あはははは。いやぁーそうなんですよ、面白い俺の尾も白い、なんてねー。」
なに言ってるんだ俺は。
華恋さんが小首をかしげている。
やっぱりかわいなぁー、華恋さん。
ブツッ
「うん、平井くんは面白い!あれ、平井くん?あれ、あれれれ、どこ行ったんですか?先生、平井くんがいなくなりました。」
「ん、なんだ恋路、そうだなー恥ずかしくてトイレにでも行ったんじゃないか。」
「そんなこと、ないですよ。さっきまでいっしょに話してたんですもん。」
周りもガヤガヤしだす。
「フォ~~!!席替え最高ッ!!」
誰かが平井陽の真似をし、それにたいしてそこらにいる生徒がパチパチと、手を叩き笑う。
心配しているのは恋路華恋と、竹田だけだった。
気がつくと俺は例の談話室に来ていた。以前と同じで知らない人らが十数人集まっている。
「これ、何してても連れてこられんのか?」
いや、知らない人だけではなかった。俺に気がついた山崎さんと佐々木さんがこっちにきてくれた。
「おっすー、平井陽。」
山崎さんがギャルっぽい挨拶をしてきた。前回から考えるに、命懸けの戦いをしに行くという今、なんでこんなに余裕そうなんだ?
まぁいいか、緊張してるより安心だからな。
「おっすー、山崎さぁーん、佐々木さぁーん」
俺もふざけた感じで言ってみた。
「え、キモ」
なんだこの理不尽は、今日の俺はことごとく滑る。
そんなことよりだ、
「あはは、まぁまぁそんなことより周りの人に事情説明した方がいいんじゃない?」
「あームリムリ。あたしも何回か言おうとしたけど、信じちゃくれないよ。」
「うむ」
そうか、確かに俺初めきたときはドッキリかなんかだと思ってたわけだし、信じられないのもあるか。でも見殺しっていうのもなぁ。
「そんなことより、自分の心配しな。」
ちょっと真面目に言う山崎さん。確かにそうかスーツがあったとて絶対に死なないわけじゃない。俺はまだ2回目だしな。いざとなったら知らない人らは俺が助ければいいだけか。
「それもそうか、すまんな。」
「うし、分かればよろしい!そろそろタイチョーが来る時間かな。」
「うむ」
タイチョーが来る時間か。佐々木さんうむ以外言わないのか?
ギシッギシッギシッギシッ
「お前達ぃー!なにをしてやがんだ早く上がってこい!」
「よし、行こ!」
「お、おう」「うむ」
俺達も山崎のあとについて階段をあがる。
ここの部屋いつみてもすげぇな。THE未来テクノロジー、そんな部屋。
階段を上がって部屋の奥の方に歩く。
「お前達ぃー準備を始めろ!!」
前回と同じように置かれているタブレットを一台とる。
指紋形成を確認しました。
平井陽 男 16歳 標準体型 A型
性癖ちょっとM 悩み事恥ずかしい発言
一言コメント (笑)
ポイント0
うーん、むかつく。なんでこいつこんなしってんだ?
スキルが強化できるよ!
回避→超回避 超よけやすくなる
スキル強化なんだこれ?隣でタブレットいじってる山崎さんに聞いてみるか。
「ねぇ、このスキル強化ってなんなの?」
「あーこれね、スキル強化って言うのは、何回かスキルを使うと強化できるようになんだよ。」
ん、俺回避なんて使ったか?
使った記憶を思い出してみたらひとつ心当たりがあった。
あのボスみたいな奴とあったときだ、周りにいた二人が倒れてるのに俺だけ助かってたんだ。
今思えば不自然かもしれないが、冷静な今だからおもえた。
俺、このスキルのおかげでいきてんのか。もし他のスキルを選んでたらと、考えるだけでゾっとする。
「てゆーか後々めんどくさいし、今全部スキルについて説明すんね。」
「お、違う、はい!」
スキル
スキルには6種類のスキルがあり、それぞれ
攻撃スキル 魔術スキル バフスキル デバフスキル 護身スキル 干渉スキル がある
また、それら全てのスキルに4段階進化、
通常→強化→壊化→神化
ができるようになっている。
進化する条件はスキルの気まぐれ。
壊化は強化より強いが何らかの代償を負うもの、神化は一番強いが、手に入れられるものは少ない。
新しいスキルは毎回1つ手に入るが、進化にまわすこともできる。
ただ、どのスキルも同じように強いとは限らない、いくら強くしてもそこそこのものもあるし、最初は弱いが、そこからものすごく強くなるスキルもある。
スキルTEARも表示しようとすればでき、
D→C→B→A→S→Zの順で強く、
進化の現段階のTEARを知ることができる
例 回避 護身スキル
C回避→B超回避→???→???
「って、感じ。わかった?」
うん、わからん、まぁなれていけばわかるだろう。
「わかったぜ。」
俺は吹っ切れた笑顔で親指を立てた。
じゃあ、決めるか。
スキルを強化しました
超回避 超よけやすくなる
スキルを新しく選択できるよ!
MAX平井 体が大きくなる
3種の神器 冷蔵庫!洗濯機!白黒テレビ!
土魔術 砂をだせる
どれにするか、体を大きくしたところで、どうなるというのか、砂をだせたところで戦えるのか、3種の神器…。
これって家でも使えるのか?もしかして売れば金になるんじゃないか?
何を血迷ったか、俺は3種の神器を選んでいた。
やっちまった感が俺の頭にどんどんわき出る。
しかし状況はどんどん進む。
「お前達の今回のミッションだ!」
大きなモニターの光がつく。
「サイ殺す!プ」
生息地域 森 岩山 山 サイ村
攻撃 こん棒
弱点 三つ目
画面を見ると体長は人間よりでかそう、三つ目で、小さい角が生えてる。
こんなでかいの倒すのか、。
「よし、前回みたいに頑張ってね。」
山崎さんが俺の背中をバシっと叩きはげましてくれた
「前回みたいに1人じゃ無理だから早めに合流したい。」
「おっけー。」
緊張してきた。
「お前達!準備は整ったか??じゃあ、たのしんでこい!異世界バスターズ!!」
ブツッ
ミッション サイ殺す!プを殺せ
難易度 アンビリーバボー
なんだこれ。でっかいなぁ
俺の目の前には30mくらいありそうな石造りの巨大な壁があった。
横を向いてもずっと続いているなんか囲んでんのか?
「異世界ってへんなもんつくるんだなぁ。
半端ねぇ…。」