#4 日常生活!
少しだけ暖かくなってきた春の季節。
あんなことがあった次の日、俺は何度も悩んで結局学校へ行くことにした。
寝ても疲れが取れずとても気分が悪い。
が、皆勤賞を逃してしまうのは惜しいのでため息をつきながら朝食を食べる。
今日の献立は白飯にふりかけ。弁当も同じ。
最近俺の中でイチオシのふりかけは焼き肉風味ののりとか入ってる奴。
味は正直焼き肉っぽくないが、貧乏の俺にはそれでも十分肉を食ってる感じがする。
飯を食い終えた俺はひとつ問題ができた。
このスーツをどうするか、だ。
着ていても問題はない。スーツは透明だし、上から制服を着ればいいはなし。
でもなぁ、一日中着てるってばっちぃよな。
考えてる最中、ふと時計を見ると遅刻ギリギリ。まぁいいか減るもんじゃないし、着てくか。
俺は制服を着て急いで玄関をでて、俺の愛車ママチャリンコにまたがって全速力で学校へ向かった。
学校につくと違和感を覚えた。
おかしい、登校時間いつもギリギリの俺だが、まだ下駄箱に生徒が何人もいた。
いつもだったら俺と同じような奴が1人か2人いるくらいなのに…。
時計見ると全然セーフの時間帯だった。
あんまおかしいとこはないか…全然セーフ!?
俺はいつもの時間より20分も前に学校についていたのだ。
そういえば愛車に乗ってるとき、やけに風をきって走ってた気がする。
これ、もしかしてスーツのおかげか?
よし。明日から20分は遅くでれる。
「お、めずらしいじゃねーか陽!お前がこんな早く来るなんてなんかあったのか?」
そう聞いてきたのはクラスの竹田。入学して向こうから話しかけてくれて、今ではたまに遊びに行く仲になっている。
「早く学校に来たかったから?」
「なんでお前がしつもんしてくるんだよ。」
竹田は笑っていった。
「早く行こーぜ。」
「おう。」
俺は竹田のあとをついて、教室にはいった。
4限目の体育、俺らは100mを測っていた。
入学して数ヶ月たったので、体力測定というわけだ。
別にすごく体力に自信があるわけではないのであぁ憂鬱、憂鬱。
「おし、こんなもんか。」
竹田が走り終えたらしい。
こいつ、涼しい顔して10秒代という素晴らしい記録をだしている。
どっかの話だと、竹田は女子にモテるらしい。
はぁ、これが差か。
「さすが陸上部、竹田はあしはえーな。」
「よーし、次!」
先生が叫んでる。
正直自信は、ある。なぜかって?
普段の俺だったら100m走13秒後半くらいだろう。
平均もいいところ。
だが、今の俺は違う。昨日手に入れたスーツを着ている。
まだ、試していないが、竹田よりは速く走れるんじゃないか?
ふん、今の俺は超平井とでも名乗っておこう。
「次は陽らしいぞ。」
「いっちょかますか~」
俺は軽い準備運動をしながら言う。竹田にあんま無理すんなと、少々煽り気味に言われたが、俺はそれを無視。
笛の音と共に走りだす。
先生のタイマーが押され、一瞬で二度目が押される。
「平井陽、記録は、ろくびょ…6秒!?」
え、まじか。このスーツ半端ねぇ、
予想以上だ。
先生を見ると俺の記録を何度も確認していた。が、俺は早く竹田に自慢したくて待機列に走っていった。
「おい!どうだ竹田、俺の走りは!」
「え…あ、向こうで走ってる恋路華恋の胸見てて、お前の走り全然見てなかったわ」
「は?まじ?6秒だぞ?あんなに速かったじゃねーか。」
「6秒?なに寝ぼけたこと言ってんだ。世界記録が、9秒代だぞ?」
「ホントなんだってぇ。」
「おーい誰かこいつの走り見てた奴いたかぁ?」
「いや、俺は見てないぜ。」
「おれもー。」
「野郎が必死こいてるとこより、俺らにはもっとみるべきもんがあったからな。」
くそっ。こいつらおっぱいしか見てねぇーじゃねーかよ。
「で、お前のホントの記録は?」
「はぁ…もういいよ。」
俺はうんざりしながら木陰に行き、授業がおわるのを座って待った。
暇だったので、ちょっくら華恋さんのお胸をご拝見。
おっふ。ほんとにすごいな。
華怜さんはクラスの、いや、学校のマドンナ的存在である。清楚でスタイル抜群。成績の噂は聞かないが、女子の友だちも多い。
高嶺の花子さんというわけだ。
いやー付き合い。多分男なら一回好きになるな。クラスが同じになっただけでも感謝しておかねば。俺が合掌し、手を擦っていると、通りすがりの女子にへんな目で見られた。
俺は、去る背中に浮いているブラホックをじっと見返した。
そのあとの俺は、普段通り弁当を食って、午後の授業を受けて、普通に帰った。
帰り道で気がついた、俺はスーツのおかげでママチャリに乗ってるはずなのに、原付くらいの速さで走っていた。
昨日あんなことがあったのにこんなに普段通りの生活なのか。
警察に言っても無理そうだし、このまま生活しようかなと考えた。
家に帰った俺は家事をして勉強して漫画見て、普段通りに寝られた。その日はなにも起きなかった。