未来と流歌 2 〜それぞれの想い〜
姉さんに促されるまま、私は久しぶりに姉さんの部屋に入った。そこには、当時の衣装とかあったり、昔見た時と変わらない光景が広がっていた。
「それでさ、久しぶりに流歌とお話したいと思ったんだけど……」
「だけど?」
「何から話そうかなって思ってさ?聞きたいこととかいっぱいあるのに」
「それは私もだよ、姉さん」
「そっかそっか!じゃあさ、流歌から教えて?」
「えっ」
姉さんと同じで、私も何から話したらいいのかまとまっていなかったから、口ごもってしまう。
「やっぱり久しぶりだと話題に困っちゃうよね?ごめんごめん」
「姉さんが謝ることじゃないの。ただ、私も何から話したらいいかなって考えちゃって」
「言いたいこと言えばいいんだよ?こういう機会も中々取れなくなっちゃったしね?」
そう言われて、少し悩んだけれど私は話してみることにした。
「あのね、姉さん」
「ん?」
「私、少し揺れてるの」
「……アイドルをやってみるかどうかってことかな?」
「そう。この前声かけてくれた後輩、本当は私のこと知らなかったんだって。天堂未来に憧れて星導に入ったっていうのにね?それなのに、私を誘ってくれた。天堂未来の妹としてじゃなくて、私自身を見て誘ってくれた気がしたの。会った時は咄嗟に強く言っちゃったけれど、本当は私も……アイドル、やってみたいなって」
これまでに悩んでたことを、姉さんには伝えてこなかった。今初めて打ち明けた事に、姉さんは少しだけ目を見開く。
「そっか……流歌には私のせいで迷惑をかけちゃってたんだね」
「迷惑なんかじゃない!!あの時の姉さんはすごかった。あの気迫と、強い思いで私はスクールアイドルが好きになったんだから!そんなことは言わないで!!ただ、わかってはいたけれど、周りの姉さんの妹っていう目での誘いが嫌だったっていう私の弱さなの」
「ううん、それは違う。それは弱さじゃないよ、流歌」
「……え?」
「それは、誰しもが同じ立場になったら感じることだから。多分私だって流歌の立場だったらそうなってもおかしくない。むしろ、そこからやりたいってまた思ってくれたのが嬉しいんだよ」
「姉さん……」
「私は、流歌には何にも縛られずに楽しんでほしいの。それに、流歌がずっと歌を歌ってきてるの知ってる。だって私も流歌の歌聞きに行ったこともあるからね」
「えっ?ちょっと待って姉さんそれ初耳なんだけ」
「そんなことはいいのよ今は。とにかく……流歌、あなたがやりたいようにやればいいと思う。そのための協力なら私もするからさ?」
「姉さん……」
姉さんの想いを聞いて、私は決意を固める。
「決めた、姉さん。私、スクールアイドルになる!」
「うん、応援してる。……それはそうとして、流歌に声かけた後輩ちゃん?名前は」
「えっと、確か天星光莉?って月原先生が言ってたような」
「そっか、そういえば花凛って今星導の教師してるんだよね?花凛にも久々に会いたいし、その光莉ちゃん?って子にも私一度会ってみたいなぁ……」
少し嫌な予感が……
「今度お邪魔するね!!大丈夫!!流歌の邪魔はしないから」
「やめてよ姉さん!?」
こうなってしまってはもう止まらないだろう。少しだけ決意したことを後悔する私だった。
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