相談と挑戦
「んんん、まず何から始めたらいいんだろ」
流歌先輩に認めてもらうために頑張るって決めたけど、頑張るための具体案が見つからない。
本当は先生とか頼りたいところなんだけど、ここで周りを頼りすぎてしまうと私の意思が薄まっちゃう気がして、躊躇してしまう。
それに、それでもし流歌先輩を迎えられたとして、私と同じだけの熱量を持ってくれた状態だとはとてもじゃないけど思えない。
考えれば考えるほど思考にもやがかかったみたいに固まらなくなる。
「どした?なんか悩んでる?」
そんな時に声をかけてくれたのは、霧崎 友梨ちゃん。付き合いはこの学校に入ってからだけど、お互いに気が合ってすごく仲良くなった友達。
実を言うと友梨ちゃんにはアイドルのお誘いをしていなかったりする。決してネガティブな理由じゃないけどね!
そんなことはどうでもよくて、友梨ちゃんはこういう時すぐに気付いて声をかけてくれる。その優しさがすごく嬉しくて。
私は今の悩みを友梨ちゃんに全て打ち明けた。
「ねぇ、光莉」
「?」
「光莉って変なとこで考えすぎるよね」
「なんで!?」
「だってこんなんさ?答えなんて決まってんじゃん。とにかく自分の想いをぶつけ続けるだけだよ。綺麗にまとめた想いに自分の心は全部乗せられんの?そんな見せかけだけの想いで、その流歌先輩?に届くわけがないと思うな」
友梨ちゃんの言う通りだ。私はどうやったら綺麗に流歌先輩に伝えていけるかってことばっかり考えていた。でも、それじゃあ私がなんで流歌先輩とアイドルをしたいのかってところがうまく伝わらない。そんな簡単なことに気付けないくらい私は視野が狭まってたんだ。
「ありがと、友梨ちゃん!!」
「んー?困った時はお互い様っしょ!じゃ、アタシ部活行くから、じゃね!」
「うん!頑張れ!」
「光莉こそね!!」
友梨ちゃんと別れた私。やることはただ一つ、流歌先輩を見つけて何度でもアタックすることだ!
天堂家
「おかえり流歌……何かあった?」
「……姉さん」
家に帰った私のことを出迎えたのは、ここ最近顔を合わせていなかった姉、天堂未来だった。別に仲が悪いわけじゃないし、もちろん嫌いだなんて思ったことはない。ただただ時間が合わなかっただけではあるんだけど、よりにもよってこのタイミングで顔を合わせるなんて……つい最近会った後輩の顔がチラついて素っ気ない返事をしてしまう。
「最近会った後輩の顔を思い出しただけだよ」
「ふぅん?もしかして、流歌にアイドルしない?とか誘ったんじゃないの?」
この人は本当に勘というか人の感情の機微に鋭い。しかも的確に当ててくるから困ってしまうけど、今回ばかりは少しだけ毛色の違う相手だったので、相談も兼ねて姉さんに話すことにした……
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