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三話
沸騰させてしまうと熱すぎて飲めないから、湯気が出てきたくらいで魔法石を取り出して、カップに注ぐ。あとはインスタントの粉を入れたら完成だ。
「おはようございます、先輩」
「おはよー」
チームの一人のマリーちゃんが髪の毛をピョンと立てながらやって来た。彼女は私よりもここの職場に居るのは長いけど、私よりも年下ということで、先輩と呼ばれている。
「先輩って徹夜に強いですよね。コーヒーありがとうございます」
「はい、どうぞ」
私とマリーちゃんはコーヒーを口にする。インスタントだから安定していて、なんだか安心する味だ。
「やっぱりブラックは苦手です」
マリーちゃんはミルクを入れていた。
「んー。やっぱりミルクコーヒーですね」
うっとりとした表情でマリーちゃんは虚空を見ていた。
「朝ごはんはどうしよっか」
「そうですね。今日も一日頑張るってことで、カフェでも行きませんか」
「カフェまで行っちゃうと時間が……」
「三十分くらいなら大丈夫ですよ。ほら、行きましょ」