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62.あたり

 


 アーゴン公爵......昨晩のリアナとの話でも出てきた人物だな。


「アーゴン公爵といえば、多くの奴隷を所有している事で有名な富豪......そうか、ネネモアは彼の屋敷に引き取られたのか」


 となれば、使用人あたりの仕事か。とりあえず、辺境の地で行方知れずとかじゃなくて良かった。


 しかし凄いな、これ程あっという間に見つかってしまうなんて。

 人間同士の繋がりで得られる情報ってカタログ本を見漁るより有用なんだな......彼の力が大きかったのかもしれないけど。人当たり良さそうだし、このアドバイザーさん。

 僕とは対照的でコミュニケーション力も高そうだ。


 さっきは信用出来ないと思ったけど、見ている限り「嘘」をついている感じもしない。......これは当たりか。


「そ、そそそ、そんな......じーっと見つめてどうしましたか? 照れますよぉ! 同性と言えどもッ!」


 彼は顔を赤らめている。


「え、あ、いえごめんなさい。 凄いなぁと思って......こんなに直ぐ見つかるとは思っていなかったので。 本当、助かりました」


「あ、いえいえ、それほどでも無いですよ! でもまあ、あれですよね欲しかったモノと言うのは僅かなタイミングで逃してしまうものですよね~」


 僅かなタイミングか。ああ、この人欲しかった奴隷......ネネモアを先に買われたと思っているのか。


「まあ、でも金額次第ですが、交渉で譲って貰えた~なんて話も聞きますし、希望は無くさずに交渉頑張って下さいね!」


 金額次第か、もしも......ネネモアが望むのなら、また一緒に。


「ありがとうございます、頑張ります。 あの、代金は......おいくらですか?」


「あ、あー......いえ、大丈夫ですよ! 特に私が何をしたと言う事もないですし、これはサービスです!」


「えっ、サービス?」


「ええ、ええ! サービスですです、なのでお気になさらず! また何かあれば私をご利用ください! いつでも、あなたのお役に立ちますよ~」


 手のひらをヒラヒラと翻し、満面の笑み。


「ありがとう、ございます......本当に」


「いいんです、いいんです! それに」


 ――その時、空気が変わった気がした。


「近々......貴方とは、またお会いできる気がするんですよね。 また、お役に立って見せましょう! ではでは~」


 くるりとこちらに背を向け、彼は歩いて行く。


 近々?......どういう事だ?


 まあ、気にしても仕方ないか。


 なんにせよネネモアの情報が手に入った。あとはアーゴン公爵の屋敷へと行き、彼女と会わせてもらい元気か確認する。


 そして、出来るならネネモアの所有権を譲ってもらう。


 ダンジョンの素材を売った金と、タラゼド隊長にいただいた報奨金がある。

 これで何とか......出来れば良いのだけど。相手は貴族......難しいかな?


 とりあえず図書館で待たせているリアナの元へ戻ろう。




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