55.結 ★
「......君の所の執事は」
スグレンストは一歩、また一歩と近づいてくる。
「君に従わざるを得なかったとおもうんだ......だから、あまり手荒なことをしたくなかった」
「ああ? アイツはただの魔力切れだろが......てめえは昔から攻撃を避けるのだけは上手かったからな。 どうせ逃げ回ってる内にアイツがオーラを使い果たしたんだろーが。 なにてめえが倒したみてえに言ってんだよ、面白くねえ冗談だなァ?」
......君とは、最後まで分かり合えなかったな。
スグレンストは片手で持ち上げたグレートソードを振り下ろしてくる。
さっきも散々拳をかわされているのに......これは僕に対する『弱者』のイメージか。力を使えば必ず屈服させられるという。
――僕は襲いくるグレートソードをなんなく避け、懐に入る。
そして僕は彼に刺さっている剣を、蹴りこんだ。
ドグシュッッ!!
「ぬああああああ!!? いでええええ!! いぎゃああああ!!!」
ブシュウッと血が噴き、肩がずるりと地面へ落ちてしまう。
そして、傷口を押さえようと伸ばす彼の手を掴む。
「ぐぃあ......な、なん」
「――ふっ!!!」
僕はスグレンストの手を握りしめ――
ミシミシ......ッ
「ぐおっ、てめえ、力で俺に勝てるわけ......ぎぎぎぎぎっ!!!」
己の『力』に絶大な自信があるスグレンスト。心を折るには......僕達にもう関わりたくないと思わせるには、その部分で負けを自覚させる必要がある。
――ミシミシ、メキッ
スグレンストの表情が歪み、次第に泣き出しそうになる。
「ま! まて、やめてく」
「やめない。 君は......僕がやめてと言った時、やめてくれた?」
「ご、ごごご、ごめんなさ」
ボロボロと大粒の涙が彼の目からこぼれだし、先ほどまでの強気で傲慢な彼とはまるで別人になっていた。
――グシャアッッ!!!
「あっ、あ......ぐぐぐ、ぎゃあああああーーー!!!!」
僕のオーラで強化した『力』はスグレンストの『力』を上回る。
圧倒的な握力で握りつぶされた彼の手は、もはや手の形状を留めてはいなかった。
ガタガタと震え出すスグレンスト。
あの頃の君は、これを楽しんでいたんだろ?
弱いものを......徹底的にいたぶり、痛めつけ、楽しむ。
けど、僕にはわからない。君の叫び声は悲しくなるし、痛々しい......何が楽しいんだ、これの。
「ゆるじで!! ゆるじで!! お願いじまず、ころざないでえ!!!」
土下座し、頭を垂れる。
「......二度と、僕達の前に現れるな。 次は無いからね」
僕はスグレンストに手をかざす。
「ヒール」
赤く光るオーラが彼を包んだ。
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