47.王都
巨大な東門へと到着し、魔力壁が解除された。村にあったものは一人で開閉できる簡易のものだったが、この東門は聖騎士三人の神力を注いで起動させる強力なものだ。
「隊長、お疲れ様~」
「お帰りなさい、隊長」
「お、隊長が客つれてるな」
「うん、みんなお疲れ様。 この二人の名前と魔力跡を名簿に残して欲しいんだけど、いいかな? いいよね? 頼む」
「はああっ!? あーたはまた勝手な......怒られますよ、そんなん勝手に残したらさぁ」
受付嬢のような出で立ちの女性聖騎士が頭を抱える。
......この人、鎧が赤い。
「あ、ミリアナ副隊長、それ僕がいったっす」
そう言い、ため息をつく騎士。
「すまん、今私はなにも聞こえないし、見えない」
向かいには耳を塞ぎ、目をつむる騎士......しかし、それを意に介さずタラゼド隊長は話を進めていく。
「いやぁ、この二人は大丈夫だ!」
「えぇ......まあ、隊長が言うなら仕方ねえ。 こうなったらとまんねえし。 んじゃあ、お二方、こちらへ来てもらっていいですかね?」
「あ、は、はい......」
「はい。 なんだかすみません」
「いやいや、お二人は謝る必要ないですよい。 それじゃ、ちゃちゃっと記録しましょっか」
この人、白髪だけど僕と違って綺麗だな。しかしこんな綺麗な人が紅の騎士か......相当強いんだろうな。
「――と、オッケーです。 これで東門からはいつでも出入りできますよ」
「あ、ありがとうございます」
「すみません、ありがとうございます」
僕とリアナは、ミリアナ副隊長とタラゼド隊長に礼を言った。
「うん、よし......では俺は王城へ村の件を本部へ報告しにいかねばならんのでな、ここでお別れだ」
「タラゼド隊長、本当に色々とありがとうございました」
僕が頭を下げると、リアナもペコリと頭をさげた。
「いやいや、楽しかったよ。 また何かあれば頼ってくれて構わない。 では元気でな!」
彼は手をふり馬車へまた乗り込み、去っていった。
僕らも聖騎士の皆さんと手を振りあい、別れる。短い旅路だったけど、一抹の寂しさを感じる。
......さて、気持ちを切り替えて。まずは銀行へ行かないとな。タラゼド隊長から貰った手形を引き換えよう。
っと、ん?リアナが居ない......あ、いた。
大きな案内板を眺めているリアナに声をかける。
「リアナ、どこか行きたい所あるの?」
「あ、いえ......えっと、私、ずっと連れて歩かれるばかりだったので、色々と物珍しくて......色々なお店や建物があるのですね」
彼女の瞳を見ると、好奇心に彩られているのがわかる。
そっか、成る程。奴隷に自由はないからな。僕の場合はパーティーの雑用や買い出しを全て任されていたから、多少自由に町を見て回ることが出来たが......でも、わかるよその気持ちは。
「色々見てみようか」
「あ、で、でも......」
「?」
「そんな、迷惑は......かけられません。 レイ様には目的がありますし、私の事でお時間をつかわせてしまうのは!」
確かに、『リアナの為に時間を使う』という行為は、多分リアナの精神に負担をかけてしまう気がする。
だったら......『僕の用事に付き合ってもらう』という体裁でいこう。
これなら彼女も素直に楽しめるだろう。
「そっか、わかった。 それじゃあ僕の買い物に付き合って貰おうかな......いい?」
「え、あ、はい......それは、勿論です」
確か、ここから南に行けば甘いものが食べられるお店があったはず。
リアナに食べさせてあげよう......あとは洋服かな。僕もだけど、リアナにはもっと確りした物を着せてあげたい。せっかく綺麗な容姿をしているのに勿体ないし。
そういえば......冒険者時代。たまに買い出しの手伝いをしてくれて、一緒に甘いもの食べた。
彼女は......フェイルは、無事だったのかな。
「れ、レイ様? 如何されましたか......?」
「ん? ああ、ごめん。 さて行こうか......まず、君には頑張って貰わなければならない事がある」
「は、はい! 頑張ります! 何をすれば......?」
「甘いものを思いっきり食べる」
「......え?」
それから二人で王都の城下町を巡り、食事と買い物を堪能した。
彼女の次第に見せ始めた楽しそうな笑顔は、僕の心を温かくし、何よりも幸せを感じることが出来た。
ありがとう、リアナ。
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