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36.真意

 



「――これでよし」


 僕はワーウルフ三体を村にあった鎖で縛りあげる。彼らは殺さず、証言者としての役割を与えることにした。


 村に紛れたもう一人の狼を炙り出さすために。



「村長さん、ご無事ですか?」



 物陰に隠れている村長へと呼び掛ける。すると恐怖で足が震えているせいかよろよろとこけそうになりながら出てきた。


「ほ、本当に......なぜわかったのですか? ワーウルフが村の中へと侵入してくると......!」


「それはそこで死んだふりをしている聖騎士......神木主にきくと良い」



 血にまみれた聖騎士は微動だにしない。集まりだした村人が言った。



「な、神木主様......生きてるのですか!?」


「まって、ワーウルフが襲ってきた理由を神木主様がわかるってのは本当なの!」


「そんな、ありえないわ! たった一人でこれまで村を守ってくれていた聖騎士様よ!!」



「い、いや! 皆きいとくれ。 ワシは旅人様が村を出るとき、頼まれたのじゃ......『聖騎士様がワーウルフを通すから物陰からみつからぬよう見ていてくれ』と......まさかと思いみていれば、本当にそうなるとは」



 村長の証言に村人達は衝撃をうけ、ざわつきだす。それは当然の反応だった。数年間、ずっと村を守り人々の命の砦である神門を起動させ続けてくれていた神木主が、裏切り者だったのだから。



「......はぁ、せっかく上手くいくと思っていたのになァ」



 ズチャと血溜まりから体を起こす聖騎士。その体からは青白いオーラが立ち昇っていた。



「やっぱり君が狼だったんだね」


「そーだよ。 ......なぜわかった?」



「僕は人より少しばかり鼻が利くんだ。 君からワーウルフの体臭がした、だから彼らの仲間だと判断した。 たった一人で彼らと交戦する訳ないからね......君から臭いがするの、ありえなくない?」


 村のあちこちに微量に残る、ワーウルフの臭い。神隠しはこれで間違いないと思った......となれば一つしかない神門の主であるアトラが裏切り者で決定。


 それに彼は村で出会った時から嘘つきがする仕草をいくつもしていた事と、決定的なのは僕らを村から出ていくよう仕向けた事。


 オーラをつかい村周辺を探ったと言っていたが、それは僕の知る限り王都にいる大聖女くらいしか出来ないレベルの芸当だ。


 ......だからこれも嘘。



「はっ、それこそありえねえだろーよ。 おまえの方こそ獣なんじゃねえのか? ......まあいいさ。 ちょっと手間だが皆殺しにするまでだ」



 ヒュンと槍を一振りし、こちらに切っ先を向ける。



「聞いておきたいんだけど、なぜ人間である君がワーウルフの仲間に?」


「決まってるだろ、生き延びる為だ。 他の仲間はこいつらに簡単に殺されてしまった。 コイツらは強い、それこそ応援にきた聖騎士をも簡単に殺してしまえるくらいにはな......だから取引をした」


 ......違う。視線が泳ぎ、目をつむった。彼は今嘘をついた。


「取引?」


「そうだ、村人を喰わせる協力をするかわりに俺を助けてくれとな」


「やっぱり、消えた村人はワーウルフにさらわれていたって訳か......君が門を開けて通していた」


「そーだ」


 実にすんなり、あっけらかんと肯定する。


「まあ、もうどうでも良いじゃん。 お前を殺しちまえばあとは村人を皆殺しにして終わりだ。いずれくる聖騎士には『俺が必死にワーウルフと戦い、村人を護ろうとしたが全滅してしまった』という風にみえる」



 ニヤリと笑うアトラ。



「ついでにこのワーウルフ三人を殺しゃあ、俺の階級はあがること間違いなし。ダイヤからルビーへ昇級できれば、こんな村での神木主などというゴミみてえで退屈な仕事ともおさらばだ......まあ、村壊滅してどのみち神木主はいらんくなるけどな」


「君が......騎士になったのは何のため?」


「あ?」



「聖騎士になるためには『神力』を受け入れる必要がある。 それが魔力を侵食し、馴染まなければ命を落とすこともある。 危険な......とても危険な『神力』受託の儀式というのをへて初めて聖騎士にはなれるんだよね」


「......まあな」


「人は......人が命を捧げるのは、金か大切な人の為」


 君の目的は......金や地位なんかじゃ無いだろ?


「君はそんな命がけの儀式をしてまで護りたいものがあったんだろ?」


 その時、ガンッ!と地面を槍で叩いた。


「......そうだよ、俺は大切なモンを守るためにこの力を手に入れた。 おまえ、その口振りからして......俺の家族の話を聞いたな?」


「うん......君の気持ちはわかる。 けれど、こんな復讐に意味があるとは思えない。 まだ遅くない、アトラ......ここで終わろう」


 その瞬間、鬼の形相を浮かべアトラはオーラを滾らせた。


 まるで燃え上がる巨大な炎のように、めらめらと立ち昇る青いオーラは彼の怒りと悔しさを現しているようだ。


「お前にわかるかよ......何も出来ずに奪われた俺の気持ちが!」


 アトラは片手で顔を覆う。


「......もう何もかもおせえ、おせえんだよ! あいつらは......何をどう言おうが、俺の家族はもう戻らねえんだから!! あいつらは俺の全て、命そのものだった!! ......だから殺す、皆殺しだ! 俺を縛り付けていた此処の村人、国の連中、全員!!」


 これは、止められない。


「ほら、構えろよ旅人」


「......うん、わかった」



 ――誰かが受け止めてあげなければ。








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