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14.へ行け

 


「どう? 全然痛くなかったでしょ? 上手に切ったからね」



 俺を見下ろすように、男が立っていた。斧で真っ二つにしたはずの両脚が何事もなにごともなかったように、そこにある。



 お、おれは



 男はおもむろに俺の頭をひょいと拾い上げ、胴体へと移動する。その際にみえた自分の首の切り口は、おそろしく鮮やかで血の一滴も噴き出さない。



 そこへパズルをはめるように頭を戻されると



「助けてあげる。 ヒール」



 光が視界を覆った。気がつけば奴の胴体を拾う直前の姿勢で立ち尽くしている自分がいた。


「......はっ!?」


 目の前にはにっこりと微笑む男がたっていた。


 な、何をされた? ヒールと聞こえたが......今のは完全にヒールの域を超えている。



 これは、夢か?現実か?......幻覚でもみていたかのような感覚。



「な、何をした......」



「何を? 君の首をナイフではねて戻した。 それだけ」


 目のはしにとらえた奴隷の女は目を見開き愕然としていた。まるで信じられないものをみたかのような。


 おそらくは俺も同じような顔をしているに違いない。


 得体の知れない力......これは奴の能力か?わからない、わからないが、これだけはわかる。


 逃げなければ殺される......!


 動こうとするが、体が岩になったかのように微動だにしない。早くこの場から離れなければ!



「どうしたの?」



 コイツはいったいなんなんだ......本能が......本能が危険だと訴えている!こいつと戦えばヤバいと!!


 逃げようかと考えたバイガンの脳裏に、死四天魔の言葉が呪いのように囁く。


『人を喰らえ、喰らいつくせ。弱き者はいらない、魔族たるもの強者であれ』と。


 ......い、いや、そうだ、逃げてどうする?逃げ帰れば死四天魔に殺されるだけだぞ?ここで、こいつを殺らねえと!


 冷静になれ、考えろ......考えろ!さっきは油断していたところに不意打ちを食らった。


 そう、そうだ、不意打ちだったんだ!!


 それに、よくみろ、あいつは鎧も着ていなければ盾すら装備してない。何をこれ程まで恐れているんだ?


 一撃だ、俺の腕力であれば、素手の一撃ですら生身である奴がくらえば致命傷になるだろう。


 落ち着け、落ち着け。


 不意打ちで殺されかけてパニックになっているだけだ......そう、俺はバイガンだぞ?村三つを落とし、下級聖騎士を何人も葬った事のある上級魔族のバイガンだ!


「ふざけんなぁ! おれは死四天魔のバイガンだぞ!!! おまえのようなガキに殺られるわけがねぇ!!!」


 殴りかかろうと距離を詰め、そして戦斧を持つ腕を全力で振りおろした。


 すると奴はその攻撃を予見していたかのように、最小限の動きでそれをかわし、その刹那に、その手に握る小さなダガーで俺の腕を切り上げた。



 草むらにボトンと落ちて転がる。



 強まった殺気に恐怖が抑えられず、脚ががくがくと震えだす。


「これでわかったかな......君より僕のほうが強い」


「――ッッ」


「見逃すのは一度だけだ。 どうする?」



 唇をなぜながら男はそう言った。



 もう後はない。死を意識したとき、俺は逃げていた。


 後ろから刺されぬ事を祈りながら、走り出す。



「次、その顔を見ることがあれば殺す」



 背に聞こえた言葉に、震えながら。


 ――そうだ、俺は狩られる方だったのだ。


 絶対的な強者を前に、俺の力はあまりに無力だった。






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