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観測録  作者: 咲香
第二章 unknown
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予知夢

〜???〜



やぁ......目の前の君。いや、“傍観者”とでも呼ぼうか…。いい機会だ。これからこの物語を共に記録していよう。これからこの世界で起こる事件。“unknown”をね…!

ボクが誰かって?……僕に名前何て……。そうだなぁ…。強いて言うなら“観測者”ってところかな?まぁ、いいや。君も早く見たいんでしょ?じゃあ、ボクと一緒にこの物語を記録して行こう。



“unknown”。それは、それは、不気味で狂気に満ち溢れた物語。何が起こしているかが分からない“不明”とも言えるこの事件。この事件を解決するのか。はたまた、解決する事ができずに敗北探となるか。


時は、戻る事を、止まる事を知らず、廻って行く。それが当然かの様に。そして______





______未知の扉が今開かれた。





_________________________________________






〜数ヶ月後〜

〜魔界〜


あれから色々な仕事をこなしつつ、数ヶ月が経過したある日の事、僕とグリムは、この世界の表側の方の創造主である、お母さんに呼ばれて、ここ“魔界”に来ていた。

母さんは、まだ僕の生まれる前に、元は天使だったのだが、魔神の王たる僕のお父様と結ばれた事により、“堕天使”となっている。だからと言って、母さんは天使の中でも悪人の扱いをされている訳では無い。それはこの世界では、魔神と天使は、現状手を結んでいるからだ。昔に母さんとお父様に教えられた。


…………え?『自分の父親の事は、お父様呼びなのに、何で母親の方はお母様呼びじゃ無いの?』って?それは、最初は母さんの事もお母様呼びしてたんだけど、母さんから、何でかは分からないけど、『お母様呼びじゃなくて、母さん呼びにしてくれない?』と言われたからだ。


まぁ、それはさておき、今僕とグリムは母さんを待っている。


「どうしたのかな?母さん」


「いきなり呼び出されるとは……。サラ様にしては、珍しいですよね」


そう。グリムの言う通り、母さんにしては珍しい事なのだ。でも、別に呼び出される事が珍しいと言う訳では無い。では、何が珍しいのか。

何が珍しいのかと言うと、どう言う要件かを伝えられずに呼び出す事が珍しいのだ。今までにこう言う事が無かったと言う訳では無いけど。



そんな事を思っていると、母さんが僕の髪と同じ様な色の銀髪の髪を靡かせながらこっちに来る。それを見てグリムは立ち上がってから口を開いた。


「お久しぶりです、サラ様」


「ええ、久しぶりね。グリムにレイも」


母さんはそう言って僕と対面側にある椅子に着席する。


「うん、久しぶり。母さん」


私がそう言うと、母さんは、


「ふふ。久しぶりね、この三人で集まるのも」


「そうだね」



母さんの言う通り、この三人もかなり久しぶりなのだ。

それからここだけの話、僕とグリムがこうやって一緒になったきっかけを母さんが作ってくれたのだ。と言うのも、グリモワール(グリム)自体、僕が母さんとお父から丁度三歳の誕生日のプレゼントとして貰った物なのだ。

それから僕とグリムは家族の一員の様に一緒に過ごしたのだ。その為、僕にとってグリムは、相棒と言うよりも家族なのだ。だからグリムには『マスターじゃなくて、レイって名前で呼んで欲しい』って言っているのだが、本人から『嫌です』って頑なに却下されてしまうのだ。______いつかグリムには、マスターじゃなくて名前で呼んで欲しいな。


そんな事を思っていると、グリムが口を開いた。


「それで、サラ様。今回は何の用なのでしょうか?」


「そうね。…………昨日、夢を見たの」


「…………夢?」


「そう、夢よ。それもかなり現実味のあるね…………」


それを聞いて僕とグリムはピンと来た。母さんが前にお父様とご飯を食べていた時に言っていたのだ。『この世界を創造してから、偶に予知夢みたいなモノを見る様になった』と。


そして母さんは少しだけ俯いてから続ける。


「私が夢で見たのは…………迫り来る敵。崩壊する世界……」


その一声で僕は今回母さんに呼ばれた理由が分かった気がした。


「もしかしたら、これから何かが起こるかもしれない。だから……レイ、グリム、力を貸してくれない?」


母さんは真剣な顔で言う。


______答えは、既に決まっている。


そしてそれは、グリムも同じだった様で、僕とグリムはお互いに頷き合う。


「「喜んで」」


「有難う」


母さんはそう言って微笑んだ。


それから僕は気になった事を母さんに聞いてみる。


「ねぇ、母さん」


「うん?どうしたの?レイ」


「いつその敵が来るのか、分かる?」


______分からないと言う事は、言われて無くても知ってる。


「分からないわ」


そりゃ、当然だよね。


それから、母さんが自分の今の所分かっている情報を全部話してくれた。と言っても、母さんはその情報を『憶測よ』と言っていた。でも、例え憶測だったとしても、知ってると知らないでは、結果に大きく影響するかもしれない。


そしてその日は僕とグリムは自分の家に戻った。______今のこの日常をずっと続けば良いな。


そんな事を思いながら。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



〜家〜



「「ただいま」」


「おかえりなさいませ、レイ様にグリムも」


僕達がそう言うと、紅い髪と眼の女性がこっちに嬉しそうな顔をして歩いて来る。

彼女の名前は“玲奈”。自主的に僕の従者になった者だ。そして、玲奈は元捨て子で僕が拾い、僕とグリムそれから僕の妹達、姉、弟と一緒に育ったのだ。だから僕は彼女の事をグリムと同じく家族の様に思っていて、『呼び捨てで呼んで欲しい』と思っているのだが、ずっと様付けで呼ばれているのだ。

そして玲奈は三週間程前までずっとお父様に言われた事をやっていたので、ここにはいなかった。今はそれを済ませたから、ここにいるのだ。

因みに彼女の名前は僕がお父様と母さんと相談して決めた名前だ。



それから玲奈に今日、母さんから言われた事を伝えると、


「…………この世界の危機……ですか」


「うん、母さんが言ってた」


「でもまだ起こると確定した訳ではありませんし、いつそう言う事が起こっても良い様に準備だけでもしておきませんか?」


グリムがそう言って、僕達はそれに頷いた。





でも、僕達はまだ知らなかった______





______数週間後にあんな事が起こるなんて……。


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