四情
〜数日後〜
〜因幡〜
あれから数日が経過して、今僕はこの世界の四人の管理者と一緒にこの“因幡”と言う僕達が普段住んでいる空間とは違う空間にある店にいる。と言っても、普段僕達の住んでいる世界に四人しか管理者がいないと言う訳では無くて、本当はもっといる。中枢部分的な所を守っているのが僕達四人と言うだけだ。
その中枢部分を守っている者達の事をまとめて“四情”と呼ばれており、その者達にはある二つの共通点がある。その二つの共通点とは、“何らかの理由からバケモノと呼ばれている”所と“それぞれが一族の当主である事だ。かくゆえ僕も“ブラン家”の当主である。
因みに僕は、過去に一時の劣情から何万、何十万と言う者達の命を奪った事により、一部の者達からは“死神”と呼ばれており、何百万もの人を十秒の間に自分の神器の鎌で首と舌を切り落とした事により、バケモノと呼ばれている。
更に僕は、良く他の者に『素の性格が異常だ』と言われたりする事がある。
それから、僕は実はここだけの話、六重人格なのだ。
「ねぇ、まだなの?」
そう言ったのは、その四情の内の一人である“二代目狭霧家当主”の“狭霧月綾だ。
月綾は、移動系の能力と溶解系能力である、“溶解”を持っており、彼女の作り上げた死体は原型が分からない程、溶解していたり、切り傷も銃弾を見られないのに、無残なほどグシャグシャになっていた事からバケモノと呼ばれている。
「え?オレはもう来てるじゃんか〜」
そう言った彼も“四情”の一人である。名は“夏凪叉吉”。“三代目夏凪家当主”である。
彼は、様々な所に挟みこむ事ができる能力“挟撃を持っている。彼のその能力は相手からすれば『いつの間にか攻撃を食らってた』みたいな感じの事が起こる様な能力だ。そして彼は、その能力によりバケモノと呼ばれている。
「アンタの事じゃ無いわよ......!」
狭霧は言う。
______このままじゃあ、戦闘、始まっちゃいそうだなぁ......。
そんな事を思いながら僕は止めに入った。
この空間は、この空間を創ったここの店主である“因幡”が魔力を吸収する事によって魔力による影響を一切受けない様な材質にしたから、壊れる心配は無いけど、食器などは別だ(因みにここの店は四情の者達しか来ない)。
それに因幡には、いつもここを使わせて貰っている。少しだけでも恩返しでもしよう。
「はいはい。喧嘩は他所でやってねぇ.....分かった?ふ・た・り・と・も?」
僕は殺気を込めて叉吉と狭霧に言う。すると、
「「............わ、分かったから」」
「なら、よしだね」
僕がそう言うと、因幡がこっちに歩いて来る。
「喧嘩は収められたみたいだね」
因幡は「それよりも、」と言って続ける。
「注文は決まった?」
僕が自分の好物であるオムライスと珈琲を、狭霧はリブステーキと珈琲、叉吉は牛乳を頼むと、彼は嬉そうな顔をして、この店の厨房に向かった。
そして、僕達は残りの四情の人達と注文した物を待ちつつ、雑談を交わす。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
〜一時間後〜
あれから一時間が経過して、注文した物と残りの人も来た。
「悪りぃ、遅れた」
そう言ったのは“初代見前家当主”である、“見前光司”。種族は“九尾”で、“四情”の中で唯一、誰も彼の持っている能力を知らない。
彼は、とんでもない近距離戦での強さを誇り、殴る時の衝撃波だけで人の臓器を全て破裂させる事ができる事から、バケモノと呼ばれている。
「大丈夫。始まるのは、これからだから」
僕がそう言うと、光司は席に座り、火の灯った、蝋燭を一瞬だけ見てから、その視線を僕達の方に戻す。
「んで、ここ最近は異常はあったのかァ...?」
光司のその質問に狭霧と夏凪は、
「私の方に異常は、無いわ」
「オレの方もね」
「レイの方はどうなんだ?」
「最近は前よりも来る魂が多くなったかな?でも、今はそんな時期だからね」
そう、僕達の普段住んでいる世界は時期によって、出る死人の数が違うのだ。その時期とは、冬の事で、それらは大体、雪による事故によるものだ。
勿論の事、“殺された”と言うのも要因の一つなのだが、これは少数だ。
「でもそれって、今が冬だからでしょ?」
「うん、それも増えたのは大体が人間の魂だよ」
「全く、脆いわね。人間って言う者達は」
確かに人間は脆い。でも、過去に僕が人間よ戦った時にその者に、『人間とは、脆くて儚い者。でも、だからこそ、眩く光る事ができるのだ』と言われた事がある。
僕はまだ、その時に言われた事を理解できていない。それは、僕が、いや、僕達が人間じゃ無いからかもしれない。
「............だね」
僕は口に含んでいた、オムライスを飲み込んでから言う。
その後は、光司の管理している所の報告を聞いて、次のこの“管理者会議”の日程を決めて、この後にお互いの今の力を知る為にも、一回戦う事になった。
主人公達の住んでいる世界はそこまで発展していません。
それからいよいよ次回、戦闘シーンがあります。