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魔王の娘ですが勇者パーティが百合天国だったので裏切ることにしました。  作者: 三色ライト


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80話 本当の戦い①

 特別実習、その2日目もそろそろ終わろうとしている。私たちは焚き火を囲んで夜ご飯にしていた。


「なんか、案外楽勝だよな。この特別実習も」


 シルディが呟いたように、意外にも苦戦はしていない。この特別実習に意気込んで色々想定してきたことが無駄に……とは言わないけど肩透かしなのは事実だ。


「そうだよね〜、なんかもっとババーン! って強い魔物に囲まれるのかと思ってた」


「そ、そんな魔物に囲まれたら嫌だなぁ……」


「そうなっても我々なら対処できるはずです」


 まだ終わっていないのにこのクリアしたムード、正した方がいいのかしら。でもあんまり余計なこと言ってテンションを下げさせたくないしなぁ。


「まぁ油断せずに、確実にクリアしましょう」


 これくらいにとどめておくのがちょうどいいわよね。みんなもいい表情でうんうんと頷いてくれているし。


 夜ご飯を食べ終えて、そろそろシフト制に切り替えて寝ようか、そう思った時だった。

 ……なんだか一瞬肌寒かったような、悪寒が走ったような、そんな空気を感じた。


「……なんか嫌な感じしなかったか?」


「あなたでも繊細な変化を感じ取れたんですね」


「わ、私も感じました……」


「なんだろうね、今の」


 みんなも感じ取ったみたいね。なんだか嫌な予感がするわ……。


 もう一度、嫌な空気がまとまって流れ込んできた!


「お、おい! これやばくないか?」


「落ち着いて。これは……森の中からね」


「け、剣取ってくる!」


「私も弓を持ってきます」


 ユーシャとアルチャルは確実に戦闘が起こるであろうことを見越してテントの中へと入っていった。いったい何がいるっていうの……。


 森の中から嫌な感じの発生源と思われる存在が近づいてくるのがわかる。一歩、また一歩と近づいてくる。どうしよう……怖い。


 ガサッと茂みが揺れた。中から現れたのは……黒髪ツインテールの美少女。


「……へ?」


 えっと……学園長のアルティスさん……だっけ?


「あら、貴女達でしたか」


 アルティスさんは薄く微笑んで私たちを見つめてきた。ジロジロと私たち5人を1人ずつ、見定めるように。


「な、なぜ学園長がここに?」


「ふふ、特別実習2日目の夜、みなさんが最も油断する時間帯。それも思っていたより楽勝だと感じた人たちは特にですね。その時間帯に……我々教師達がみなさんに戦いを挑むのですよ。これこそ特別実習の醍醐味です」


「え……ええっ!?」


 先生達が私たちに戦いを挑む!? ってことは今からアルティス学園長と戦うってこと!?


「つまり、学園長をぶっ倒せばアタシ達の勝ちってことだよな?」


「わかりやすいでしょう?」


「ちょうど楽勝だと思って暇していたところだ。みんな、やるぞ!」


 なぜか勝手に盛り上がっているシルディ。勇者学校の学園長……おそらくだけどすっごく強い。それにランキング戦の閉会式で見せたあの不思議な雰囲気。間違いなくただ者ではない。気をつけて臨まないと。


「みなさんは不幸でしたね。私に見つかるとは……運も実力のうち。その実力を、不運を受け入れて特別実習失敗を今後の糧としてください」


「お言葉ですが……まだ負けていませんよ」


「そうですよそうですよ!」


 テントからひょっこりユーシャと、そして顔を真っ青にしたアルチャルが出てきた。


「り、リリー様下がってください。逃げましょう」


「に、逃げる?」


「アルティスに勝てるわけありません! 逃げましょう!」


 必死に懇願してくるアルチャル。なぜ学園長を呼び捨てに……そういえば名前似ているわよね。


「ふぅ。出来の悪い双子の妹を持つと私や学校の評判まで落ちるのでやめて欲しいですね。ランキング戦でも優勝できなかった貴女が、今度は逃げですか」


 あ、アルティス学園長がアルチャルの双子の姉!? つまり……同い年ってこと!? 学園長なのに……!


「まぁ、逃げられるならやってみてください。私が甘くないこと、知っているでしょ?」


 アルティス学園長が力を解放した。戦いが……始まる!

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