74話 特別実習⑤
水をみんなの水筒に分配したら特にやることがなくなっちゃった。ユーシャたちが食べ物を探してくれてはいるけど絶対に見つけられるとは限らないわよね。
「ヒラ、ちょっと私たちも食べ物を探してみましょうか。もちろん深く森に入ると危険だから、この近辺でね」
「はい!」
この特別実習では今のところヒラの貢献度がすごく高い。このまま自信をつけてくれるきっかけになればいいんだけど。
というわけで付近の木々を捜索。果実はあるんだけど食べられるのかな。ヒラに聞いてみればわかるかも。
「ヒラー! これって食べられる実かしら?」
「サルナシですね、食べられますよ」
すごい……なんの迷いもなく食べられると答えたわねこの子。無人島に1人で送ったら一番最初にヒラがダメになると思っていたけど一番長く生き延びそうね。
「あ、このキノコなんかも食べられる?」
「それは……ベニテングタケです。毒です」
うひゃあ……シルディなら取っていたかも。キノコは素人が手を出すべきじゃないわね。サバイバル下では間違いなく危険物だわ。ギャンブルすぎる……。
1時間くらい食べられそうなものを探したけど結局見つかったのはサルナシ×5だけ。まぁ人数分集まったからいいけどこれだけだとお腹空いちゃうわよね。
ユーシャたちが何を持ってきてくれるかしら。そこに期待するしかない!
「ただいま〜」
そんなことを考えていたらちょうどユーシャたちが帰ってきた。
「おかえり! どうだった?」
「なんかグレープフルーツっぽいやつが2つとオレンジっぽいのが7つ、それからレモンが6つだな」
シルディがどっさりと果物を抱えていた。
うわ……オール柑橘系。まぁでも何もないよりはいいわよね。食料的には1人4つの計算。今日と明日の昼くらいまではこれでもたせられるかな。
「リリー様、水はどうでしたか?」
「バッチリよ。ヒラのおかげでね」
自分たちの水筒に入った水を見て目を輝かせる3人。とりあえず生命線の大前提である食料と水が手に入ったのは大きいわね。
「さて、これからテントで生活することになるけど、見張りのシフトを組みましょうか。原則2人で見張りよ。1人だと退屈だし眠くなっちゃうし見落とすこともあるかもしれないからね」
3人が帰ってくるまでに考えていた見張り案を告げる。ちゃんと聴いてくれた4人はうんうんと頷いてくれた。
「シフトは今の水と食料の捜索班をベースに考えていきたいんだけど……」
と呟いた時ユーシャがパッと手を挙げた。
「……どうしたの?」
「あの……私、リリーと組みたい!」
「えっ?」
その申し出は個人的にはすっごく嬉しいんだけどなんでだろ。ユーシャのことだから何か理由はあると思うんだけど、思いつかないわね。
とりあえずこのシフト分けで一番やってはいけないのはヒラとシルディを組ませること。何かがあった時とっさに攻撃することができないから。だからローテーション的に考えてユーシャをヒラとシルディの間に挟もうと思ってたんだけど……
「えっと……じゃあそうなるように努力するわ」
まぁアルチャルをそこにはめ込めばいいか。シルディとアルチャルって時間が生まれるのがちょっと不安だけど……。
というわけで完成したローテーションシフトは私→ユーシャ→ヒラ→アルチャル→シルディ。
私とユーシャがまず組んで、その後に私がヒラと交代して仮眠を取る、ヒラとユーシャが見張り。次はユーシャがアルチャルと交代して仮眠って感じのローテーションね。
「どう? これでいいかしら」
「賛成!」
「異議なし!」
「だ、大丈夫です!」
「リリー様の考えられたことならなんでも!」
よし、まぁちょっとした不安はあるけどいいバランスにはなったかな? さぁ……夜を超えるわよ!




