73話 特別実習④
一方その頃……
お久しぶりですユーシャです。今私たちは何か食べられそうなものを探しに森の中へ入ったところです。
そこまでは良かったんだけど……
「おいおいどうする? この状況」
「私がいれば余裕です。心配ありません」
心配そうなシルディと、対照的に自信満々のアルチャル。そう……私たちは今、狼みたいな魔物に囲まれちゃっているの!
「と、とりあえず落ち着こう。リリーみたいに!」
こんな時リリーがいてくれたら私たちをまとめてくれたのに。やっぱりリリーってすごいんだなぁ。私ではこの2人をまとめられそうにないや。
「落ち着けるか? リリーがいればまだしも……」
「もうさっさと倒しましょう」
うぅ……やっぱりダメだぁ〜! 助けてリリー……。やっぱりリリーと一緒に行動したかったなぁ。リリーといると元気になれるし。
ってダメダメ、今いないリリーのことよりも今ある問題のことを考えなきゃ!
「みんな! フォーメーションは難しいからお互いに背中を託すことにしよう!」
囲まれちゃったからフォーメーションは組めない。だってどこにでも隙が生まれちゃうから。今できるのはみんなでおしくらまんじゅうみたいな形になって応戦すること!
「……コイツら案外襲ってこないな」
「油断しちゃダメだよ! もしかしたら私たちの集中がちょっとでも途切れたら襲いかかってくるかも!」
「その可能性はありますね。流石です、ユーシャ様」
……アルチャルの様付けは早くやめさせたいんだけどなぁ。でももう勝手に定着しちゃった感じもするし、もうどうしようもないのかな……。
「ガルルルル……」
唸る狼たち。ジリ……ジリ……と近づいて私たちを追い詰めようとしているんだ!
「お、おいユーシャ。もう使っちゃえばいいんじゃないか? ……セイクリッド系魔法を」
たしかにここで使ったほうがいいかも。1日2回の使用制限があるとはいえ、今ここで使わずしていつ使えばいいのかって状況だし。
でも……怖くてできない。もしセイクリッド系魔法を使ってリリーの計画が崩れちゃったらどうしようと思うと、勝手に使えなくなっちゃう。思えばここ最近リリーに頼りっぱなしだった。魔法を使うタイミング、使う魔法、ポジションから動き方まで全部。
私たち……知らない間にリリーに依存してたんだ。リリーに頼り甲斐があり過ぎて、自分たちで考えることをやめちゃっていたんだ。それは私だけじゃない。シルディもヒラも、アルチャルだって。
なら……やるべきことは1つだよね。リリーがどう思うかじゃなくて、今は私がどうすべきか考えるべきなんだ! じゃあ……
「みんな動かないでね。魔法、使っちゃうから」
「おぉ! 頼むぜユーシャ!」
そう、リリーが今日セイクリッド系魔法を2回使う計画を立てていたとしても……私は自分の判断でやるって決めた! だから使っちゃうね、リリー!
「『セイクリッドサークル!』」
私たちを囲む狼みたいな魔物に光の魔法をぶつける。ちゃんと全匹に当たるように円状に攻撃を工夫した。これも……私の意思!
「いっけぇぇぇ!」
「ギャォン!」
狼みたいな魔物たちは一斉に光に呑まれ、消えていく。
「ふぅ。危なかった〜。ありがとな、ユーシャ」
「ありがとうございます。流石の腕前でした!」
お礼を言ってくれたシルディとアルチャル。私……ずっと忘れていたみたい。自分で考えて行動することの大切さを。今日やっと、この土壇場で思い出せたんだ!
「さて、気を取り直して食べられそうなもの探すか!」
「うん!」
「はい」
私たちは森のさらに奥へと足を踏み出す。ねぇリリー、私……頑張ったよ!




