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魔王の娘ですが勇者パーティが百合天国だったので裏切ることにしました。  作者: 三色ライト


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70話 特別実習①

「さて、どうする? リリー」


 シルディが私に聞いてくる。珍しいわね、シルディが何か質問をしてくるなんて。


「どうもこうも……まずは入るしかないわね、この森に……」


 目の前に広がる森は薄暗く、感情論だけで言えば入りたくはない感じの森だ。時折木から飛び立つカラスも不気味さを演出している。この森から住宅地へ魔物が飛び出したりしないのかなと余計な考え事が生まれる。


「う〜ん、ちょっと怖いね……」


「で、でも入らないと失格になりそうだし……」


「入る以外の選択肢はないでしょう。行きますよ」


 アルチャルは勇敢にも率先して森の中へと向かっていった。弓役の子が先導してどうするのよとも思ったけれど怖気付いて入り口前でビクビクしたって仕方がない。ここはアルチャルの言う通り、入る以外にはないわね。


「よ、よし! みんな、行くわよ!」


「お、おー!」


 返ってきた声はユーシャのものだけ。シルディもヒラも緊張しているようね。でも進まないとアルチャルがどんどん先に行ってはぐれちゃう!


 私が足を踏み出すとみんな恐る恐るながら付いてきた。この森の中での生き抜き方なんて知らない。でも座学である程度のサバイバルの情報は得た。まず、絶対に1人になってはいけない。これは鉄則中の鉄則ね。1人になった瞬間に終わりだと思った方が良さそうだわ。


 なんとかアルチャルに追いつき、フォーメーションを組んで歩いていくことに。簡易的なテントなどは出発前に学校側から支給されているからいいとして、問題はどこに設置するか。魔物が比較的少なそうなエリアで平面で、水辺が近いところがベストよね。そう上手くいくのかしら。


「リリー、何を悩んでいるの?」


 私が考えていることに気がついたようでユーシャから声をかけられた。


「ちょっとね……テントの置き場所とかどうしようと思って。平らで開けていて魔物が少なく、水辺の近くがいいんだけど……見つからないなぁって」


 あんまりリーダーが不安要素を呟くのはいけないかもしれないけど、こればっかりは1人で悩んでいても仕方ない。みんなで共有して適した場所を探すのが良さそうね。


「そういうことならお任せください」


「え?」


 自信満々に言ったのはアルチャル。何か秘策でもあるのかしら。


「ちょっと失礼します」


「あ、ちょっと!」


 1人になっちゃダメだってのに勝手に木を登って行っちゃった。何する気なんだろ……。


「『千里眼』」


 どうやら木の上で魔法を使ったらしいアルチャル。そうか、アーチャーだから目がいいんだっけ。高い木の上から私が今言ったような場所を探そうってわけね!


「す、すごいです……木登りが得意なんですね……」


 木登りなんて人生で一度もやったことなさそうなヒラがポツリと呟く。確かに見事な木登り術だったわ。

 なんて考えていたらバサッとアルチャルが落ちてきた。びっくりするじゃない!


「見つけました。こっちの方向です。川のそばで木というより草原のような場所を発見しました」


「本当? ありがとうアルチャル!」


 すごい魔法ね。どこまで見通せるのか知らないけど私もその魔法使いたいかも。たくさん見えるようになったらリーダーとして指示できる範囲も広がるしね。


「じゃあこっちの方向へ向かいましょうか! 魔物が出てきたらすぐに応戦できるように、みんな心の準備をしておいてね!」


「うん!」「おう!」「は、はい!」「はい!」


 魔物に気づかれないように4つの小さな返事が返ってくる。まずはキャンプ地、たどり着いてやるわよ!

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