57話 仲良し作戦④
「ふむふむ……シルディの選んだ服が気に入ったのね、アルチャル!」
「そ、そんなこと……そんなはずは!」
私にからかれて顔を真っ赤に染めて否定するアルチャル。でも選んじゃった事実は変わらないわよ〜。
「可愛いって言ってたもんね♪ べた褒めだったじゃん♪」
「そ、それはその……」
「素直になれって」
「あなたは黙っててください」
シルディには相変わらず冷たい……けど押されている分ちょっといつもよりは弱い気がするわね。ここはもうひと押しでいけそうじゃない? どこに向かっているのかはわからないけど……。
「アルチャル、良かったらその服買ったら? せっかくシルディが選んでくれたんだし」
「い、いえ。買うとしたらユーシャ様とリリー様の選んだ服を……」
「でもさっき可愛いって選んだのはそっちでしょう? 人によって買うものを選ぶんじゃなくて服によって買うか考えてあげなさいよ」
「は、はい……じゃあ買います」
よしっ! ここであとひと押しよ、シルディ!
「ほれほれ、選んだ私に何か一言は?」
「ないです」
「おい!」
くっ……手強いわね。もうちょっとデレるというか、柔らかくなってくれるかと思ったけど……。ここは私が動くしかないか。と思っていたけど……
「ねぇアルチャル、せっかくシルディがアルチャルのことを想って選んでくれたんだからさ、お礼を伝えよ。ね?」
「は、はい……」
ナイスアシストよ、ユーシャ! やっぱりアルチャルと私たちの関係を取り持つのはユーシャが適任ね。
「……あ、ありがと」
「おう。まぁ今日はそれで許してやるよ」
照れながらお礼を言うアルチャルに少し尊みを感じた……! やっぱりこのパーティは尊くなくっちゃね♪
その後はユーシャやシルディの知っているお店を見て回ったりして時間を過ごした。遊んでいるうちにだんだんアルチャルも馴染んできて、笑顔になる機会も増えていく。……今回の作戦は成功と言ってもいいかもね♪
「おっと……もうこんな時間か」
楽しい時間はあっという間に過ぎていき、気がつけばもう夕日が街を照らしていた。
「そろそろ解散にしよっか〜。じゃあね〜気をつけて!」
「うん。気をつけて」
ユーシャと一緒に帰りたかったけど……私にはやることがある! 最後の念押しをアルチャルにしておきたいからね。……と思ってこっそりストーキングしていたら……
「……なんでこっちに来るんだよ」
「あなたと同じ方面だからです。悪いですか?」
「別に……」
あら、シルディと家の方向が一緒なのね。あれ? でも正門前で集まった時アルチャルは違う方向から来たような……。
「あの……」
「んだよ? もう喧嘩はしねぇぞ。リリーやユーシャに悪いからな」
「ごめん……なさい」
アルチャルがゆっくり、静かに頭を下げた。
「どうしたんだよ突然。頭上げろって!」
これには流石のシルディもタジタジになる。私もこれには驚いたわ……。
「今日みんなといて……自分が輪を乱すことをしていたと気がつきました。あなたたちの強さは……その仲の良さにあるというのに、私が足を引っ張っていることに気がついたんです」
「……」
シルディは言葉を返すことなくただアルチャルの謝罪を受け止める。
「私の行動はほとんどあなたにしたものです。ごめんなさい」
「……まぁ素直に謝れたんだからいいよ。許す。でもあなたじゃなくてシルディって呼んでくれよ」
「……シルディ?」
「おう!」
あぁ……尊い。私の出る幕はなかったわね。勝手に本人たちの間で解決してくれたわ。アルチャルも成長したようだし、大成功じゃない。
良かった……これでやっと肩の荷が下りた気がするわ。最近アルチャル問題でストレスを感じていたし。こんな時はアスセナね。幸い明日は日曜日……。存分にアスセナの癒し成分を補給させてもらうことにしましょう!




