48話 閉会式!
そのまま去っていったアルチャルにかける言葉はもうない。今は……
「やったね! 大勝利〜!」
元気を完全に取り戻したユーシャと勝利の喜びを味わなきゃ!
「リリーの最後の魔法、すごかったね〜!」
「ありがと。あれを撃てたのもみんなのおかげよ」
素直に「ありがと」とお礼を伝える。みんながいなかったら絶対に勝てなかったもの。
「特にヒラ! 最後の『ブースト』は助かったぜ! ありがとな」
「へ? そ、そんな! わ、私なんて……」
シルディがヒラの肩をポンと叩いてお礼を伝える。それにヒラは顔を真っ赤に染めちゃって……。尊い。
「ほら、いつまで話し込んでいるのですか? 今から閉会式ですよ?」
先生が仮想戦闘空間室まで入ってきて注意してくる。閉会式なんてあるんだ……。開会式はなかったくせに。
閉会式は仮想空間視聴室で行われるみたい。先生に連れられて教室に入るともうすでにみんなは並んでいた。あと、視線がすごい……。やっぱり優勝すると一目置かれるわね。
≪ただいまより1年生ランキング戦の閉会式を執り行います。一同、礼≫
おきまりのパターンで閉会式が始まる。
≪それでは表彰をしますので、優勝パーティは前に出てきてください≫
あ、これ表彰式もあるのね。みんなに目で合図をして「行くわよ」と伝える。ユーシャから「オッケー!」と返ってきた気がした。
表彰されるために前に行くと……黒髪ツインテールの妖艶な少女が表彰状を持ってる。えっと……学園長のアルティスさんだっけ? 名前がアルチャルとなんとなく似てる……。
「ユーシャさん、リリーさん、シルディさん、ヒラさん。優勝、おめでとうございます。これからも貴女たちのご活躍を期待していますね」
賞状がアルティスさんから手渡される。一応リーダーだし、私が受け取るべきよね。
「ありがとうございます」
「……そう、貴女がリーダーなのね」
「えっ……」
≪では続けて2位のパーティも表彰を行います。前へ出てきてください≫
なにかを言ったような気がしたから聞き返そうと思ったんだけど、アナウンスにかき消されちゃった。まぁいいか、重要なことなら後から改めて言われるでしょう。
堅苦しい閉会式を終え、今日の学校はこれにて終了! やっと週末だわ〜! ランキング戦のことばっかり考えて疲れたわね……。
「そうそう、言い忘れていましたが仮組みしたパーティはこれにて実習をすべて終了したことになります。来週のテストが終わり次第、解散となりますのでよろしくお願いしますね」
そうか……もうこのパーティとしてやることは終わっちゃったんだ。でも……
「ねぇみんな、もし良かったら私たち、正式なパーティにならない?」
私がこんなに素直にお願いするなんて珍しいし、らしくないとは思う。でも……この言葉を出さずにはいられなかった。まだみんなと一緒に頑張りたい。みんなは……どうかな?
「もっちろんだよ! これからもよろしくね、リリー♪」
「あぁ。アタシもお前らとまだまだやりたいことがあるしな」
「わ、私も一緒にいたいです! 足手まといになったらすぐに切ってもらっていいですから!」
良かった……これでパーティは変わらずに組めそうね。じゃああと心配なのは……
「シルディ、ちゃんと来週のクォーターテストの勉強、してくるのよ?」
座学2週間分だけとはいえ、テストはテスト。落第点なんて取ったら何が待っているかわからない。
「わ、わかってるよ!」
「あはは……じゃあ帰ろっか!」
「えぇ」
そう言ってグラウンドに出た時、1つの人影があった。それを確認してシルディが警戒して前に出る。
「……何か用? アルチャル」
「……ごめんなさい!」
意外にもアルチャルは綺麗な長い金髪を揺らして頭を下げた。ユーシャに向けて……よね。
「ユーシャさんに向かって、失礼なことを……」
「いいよ。もう気にしてないから! だって私には仲間がいるもん!」
そう言ってユーシャは私たちと肩を組む。小さいからギリギリ肩に届いていないのが可愛い。
「仲間……」
そう呟くアルチャルの横を通って帰路につく。すれ違った瞬間、「いいな……」と聞こえたのは聞き間違いかしら、それとも……?




