47話 ランキング戦⑥
「気合入れろよ、みんな!」
「うん! もちろんだよ!」
「が、頑張りましゅぅぅ!」
シルディ、ユーシャ、ヒラの3人が『シールド』を張って私を守ってくれる。みんな……ありがとう。だから早く魔力を練り上げないと!
「うあっ……なんてパワーだよ!」
「うわぁ……強いね! でも負けない!」
「ひぃい……ど、どうすれば……」
雷の下級魔法の方はともかく、アルチャルの『バーニング』と『ブースト』のかかった矢がとんでもなく強力なようで、早くも盾にヒビが入った。
「リリー! まだかよ!」
「もうちょっと……耐えて!」
人間界の上級魔法は本来学生……それも新入生がいきなり使えるようなものではないはず。でもなんとか予習してきた私なら時間はかかるけど使用できる。今勝つためにはそれしか方法はない!
「くっ……限界だぞ、これ……」
「諦めちゃダメだよ! リリーが頑張ってるんだもん、私たちも頑張らなきゃ!」
「ユーシャ……」
今一番頑張っているのはどう考えてもユーシャたちなのに……。ありがとう、ユーシャ。私……絶対勝つから!
「もう私……ダメですぅ……」
「ぬあっ!?」
「おおっ!?」
ヒラの『シールド』が壊れ、あと2枚分に。ここまでよく頑張ってくれたわ、ヒラ。
「ブ……『ブースト!』」
「おおっ! サンキュー!」
ヒラが最後の力を振り絞って支援魔法を放った。この子……いつの間にこんなに頼れる子になったの?
「行くぞユーシャ!」
「オッケー、シルディ!」
2人が同時に力を込める。2人の気合とヒラの『ブースト』がかけ合わさって最高硬度の盾が出来上がった!
「「はあぁぁぁぁ!!」」
「嘘でしょ……?」
アルチャルが声を漏らすのも頷ける。アルチャルの強力な矢に『バーニング』を混ぜ、さらに自分で『ブースト』までかけた、ユーシャを除けばこの学年最高の魔法だった。でも……今それを私たちのパーティの3人で完全に防ぎきったんだから!
「あとは……」
「任せたよ、リリー!」
「お願いします!」
3人が叫ぶ。私に大きな期待をかけて。……えぇ。みんなが頑張ってくれたんだもん。絶対に成功させてやるわ!
「お願い……決まって!」
グッと両手の拳に力を込める。さっきまで練りこんでいた魔力を拳に均等に分散。さぁ……いくわよ!
「『インフェルノ!』」
思いっきり広げた両手から超火力の火炎を放射する。まさに「地獄の業火」。燃えるというより、爆発しているんじゃないかと思うほどの威力! これが……人間界の上級魔法……。これで……
「「「「いけえぇぇぇ!!!!」」」」
私たちの想いと声が1つになる。
「くっ! ボサッとしないで! 盾!」
「わかってる!」
「命令しないで! 『シールド』」
相手はまた2枚『シールド』を張る。でも……この威力なら!
「「うあぁぁっ!?」」
一瞬たりとも食い止められずそのまま盾を破壊。貫通した炎は一気に相手に襲いかかり、敵の姿を消した。
「どう……なったの?」
「わかんねぇ……でもすげぇ魔法だな……」
「もう……何が何だかです……」
「はぁ……はぁ……どうなの?」
炎が役目を果たしたとばかりに消えていく。さっきまで燃えていた場所に人の姿はない。……ということは!
≪ランキング戦決勝、試合終了です。勝者、リリー、ユーシャ、シルディ、ヒラのパーティです!≫
やった……
「やったぁ!!!」
「えへへ……リリー喜びすぎだよ♪」
「ユーシャだって顔にやけているじゃない」
シルディも、ヒラだって顔をニヤつかせている。心の底から嬉しいもの! みんなで掴んだ勝利だからね。
仮想戦闘空間から出て、意識を肉体に戻す。ヘルメットを取ると自然とアルチャルと目があった。
「どうして……私の方が強いのに……」
苦虫を噛み潰したような表情でそんなことを言うアルチャル。私はスルーしようと思ったけれど優しいユーシャが声をかける。
「それはね、私たちは仲良しだからだよ。アルチャルは独りで戦っていたように見えた……パーティ戦なのに」
ユーシャは優しく、厳しい言葉をかけた。それが正論だと思ったのか、アルチャルから反論の言葉が出ることはなかった。
48話は火曜日に更新します。




