41話 一回戦、終了
今日は初日だから試合後もまだまだたくさん試合は残っている。見て学ぶことも多いわね。
「ふぅん。あぁやって体をひねれば横からの攻撃もある程度は防げる……か」
座学は苦手なシルディも実戦の見学なら苦じゃないらしく、画面に食いついている。
ユーシャも同じく画面をしっかり見ているわね。で、問題なのは……
「ヒラ? どうしたの、ボーッとして」
「へ? あっ……その……支援役の人、少ないなぁって」
たしかに今戦っているパーティにも支援役はいない。盾2攻撃2のパーティと盾1攻撃3のパーティの戦い。支援役って難しいし、得意としている人が少ないから仕方ないのだけれどね。
「そうね……ちょっと特殊な才能がいるし、仕方ないんじゃないかしら」
「……私って才能無いですし、攻撃は全然強くなくて、防御もできないいらない子……ですよね。足を引っ張ってごめんなさい……」
「ちょっと、何を言って……」
「ヒラちゃん!」
ガバッと突然ユーシャが飛び出してきたと思ったらそのままヒラに抱きついた!?
「ちょ……!」
ヒラを慰めたい気持ちは私にもあるけどそれは私の乙女心的に……!
「ひえっ!? ユーシャちゃん……?」
「ヒラちゃんはいらない子なんかじゃないよ! さっきの私の魔法だって支援してくれなかったら一撃で倒せなかったかもしれないし、シルディだってヒラちゃんが強化してくれるでしょ? ヒラちゃんはみんなを支えられるすごい子なんだよ!」
すっごいポジティブな言葉でヒラを慰めるユーシャ。ここまで人をポジティブな気持ちにされるなんて……すごいわね、ユーシャは。
「ユーシャちゃん……うん。ありがとう」
そう言ってヒラはユーシャに体重を預ける。あれ……この空間超尊い!
「なんだお前ら抱きついて。アタシも混ぜろよ」
「キャ! シルディ狭いよ〜!」
「我慢しろー」
何これ何これ! 女の子のハグの詰め合わせ……百合天国じゃない! 魔王軍辞める! この誓い2度目だけど。
「ほら、何してるのさリリー!」
「……え?」
「そうだぞ。お前1人仲間はずれはダメだな」
「り、リリーさんもどうぞ……」
まさかこれ……私もハグに参加しろって言われているの!? この百合天国の中に私も入っていけというの? 喜んで!
「し、仕方ないわね……」
口ではそう言いつつ、本当は心の底から嬉しい。抱きついてみると女の子3人分のいい匂いが身体中を巡る感覚を覚える。あぁ……生きててよかった。
「……リリー? なんか菩薩様みたいな顔してるよ?」
「何を悟ったんだ?」
「とても清らかな顔をされていますよ……?」
菩薩様みたいな顔!? そんな……百合教の開祖にでもなろうかしら。
「コラそこ! 試合中なのにうるさいぞ!」
あっ……先生に怒られちゃった。
「ごめんなさーい。じゃあみんな観戦に戻ろっか。とにかくねヒラちゃん、ヒラちゃんは私たちにとってすっごくすっごく重要な子なんだよ。自分をあまり安くみないでね?」
「は……はい!」
ヒラはいい顔になったわね。ありがとう、ユーシャ。この心の声が通じたのか一瞬私と目を合わせてウィンクをしてくれた。可愛い。
そのあとは特に何も起こらずに第一回戦すべての試合が終了した。
「お疲れ様でした。明日の日程は座学を1時間行ってからランキング戦になります。当然明日の座学の範囲もテスト範囲になるのでしっかりと受けること。以上です。解散!」
そうか……テストも当然あるのよね。座学の方は自信があるから少なくとも学年で1桁順位は取りたいわね。逆にシルディとか大丈夫かしら……。まぁでもテスト前にみんなで集まってテスト勉強っていうのも楽しそうね。そういうことやったことないし、正直憧れなのよね〜。
「そういやテストなんてあるんだな。テスト前になったらみんな頼むぜ! みんなのテスト勉強会だけが頼りだからな!」
「ちゃんと自分でもやりなさい!」
と言いつつ心の中ではガッツポーズ。どうやらランキング戦が終わってもまだまだ楽しみは続くみたいね。




