表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/186

4話 新生活!

 仮組みされたパーティが発表されて、勇者学校の初日は幕を閉じた。


 さてと……確か私のお付きが来てくれるんだっけ。


「姫様ー!」


 あっ!? この声は!


「姫様ーー!!!」


 ガバッと思いっきり抱きついてきた。ダッシュからのハグだから圧が……!


「あ、アスセナ! 付き人って貴女なの!?」


 そう……このゆるふわ系少女はアスセナ。私の幼少期の友達役だった娘。友達役というのは魔王……つまり父が社交性を身につけさせるために用意した同い年の女の子。まさかここに来て付き人として再会するなんて……。


「久しぶりじゃない! 身長は……あんまり伸びてないし見た目も……そんなに変わってないわね」


「ひ、ひどいですよ姫様! 私だって少しは成長しましたもん!」


 無い胸を張るアスセナ。変わったところも成長したところも無いように見えるんだけど。

 ただ変わってないのが安心するわね。モコモコした白い髪の毛と羊のようにクルンとした角。見ていると小動物みたいに癒されるのよねぇ〜。


「では早速、姫様の新たな住まいにご案内します!」


「えぇ。よろしく」


 普通にアスセナと正門前で話していたけどなんか視線を感じる……


「姫様?」

「姫って何?」

「シッ。そういうプレイじゃない?」

「キャー! 破廉恥! それもあんな小さい子に!」


 な、なんかあらぬ誤解を生んでる!? そんな想像する方が破廉恥じゃろがい! ……あ。つい魔王言葉が。ちゃんとナウい女の子になるために言葉遣いに気をつけているのに。声に出してたら危なかった……。


「い、行くわよアスセナ! 小走りでね」


「は、はい? 急がなくても大丈夫ですよ?」


「こっちが恥ずかしくて耐えられないの!」


 モコモコした髪は腰まで伸びているから背中を押して小走りになるとどうしても髪に触れることになる。フワフワしてて気持ちいい……ってそんな場合じゃなかった! 早く校門前から離れたい!


「あ、姫様! ここを左です」


「そ、そう?」


 アスセナに案内され、着いた場所は……


「ここが姫様の新しいお住まいとなります!」


「こ、これは……!」


 木造建築! アパート! 蜘蛛の巣! ……って、


「ボロ屋敷じゃない!」


「仕方ないじゃないですか! 魔族の私たちが部屋を借りるなんて訳あり物件しか借りられませんよ!」


 む……確かにそうね。


「でも住めば都ですよ♪ さぁさぁ行きましょー!」


「よくそんな元気に入っていけるわね」


「お部屋はお掃除しておきましたから!」


 ガチャっと期待せずに入ってみると、まぁ……お世辞にも綺麗とは言えないけど住めなくもない。かな?


「どうです? 私、姫様の力になりたくて5年も家事の修行してたんですよ!」


「そうなの……? ありがと、嬉しい」


 それは素直に嬉しいわ。そんなに私のことを思ってくれるなんて、いい友人を得たわ。なでなでしてあげましょ。


「え、えへへ……照れますなぁ〜」


「そうそう、これから人前では姫様と呼ぶの、やめてもらってもいい? 呼び慣れているかもしれないけど怪しまれるから。ね?」


「は、はい。では人前では何とお呼びすれば?」


「そのままリリーでいいわよ」


 そう答えるとアスセナはブンブン首を振って


「そ、そんな恐れ多いことできません! せ、せめてリリー様と」


「様付けしたら余計に怪しまれるでしょうが! ……ちゃん付けでいいわよ」


「は、はい。頑張りましゅ。リリーちゃ……様」


「……できてないわよ」


「はうっ!」


 これは課題のようね。


「ま、まぁ要練習ね。お腹が空いたのだけれど……」


「あ、すぐ用意しますね!」


 すごい……いつの間にか成長しているのね。テキパキと家事をする姿はまるで一流のメイドそのもの! 小さいのに……頑張ったのね、アスセナ。また後でよしよししてあげましょう。


 さて……本日の報告文どうしようかしら。もうユーシャの虜になった私は魔王軍から寝返る気まんまんだし、テキトーでいいわよね。


 アスセナが料理をしている間にテキトーな文章を書き上げて終わらせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] やばい、これ尊すぎる。
[一言] アスセナちゃん、かわいいですね。リリーちゃんとアスセナちゃん、幼馴染だったのですね。リリーちゃんがテキトーな文章で報告文を書き上げたところに笑ってしまいました。
2020/09/02 15:51 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ