37話 日曜日はアスセナと②
「じゃあそろそろお会計に行きますね」
「うん」
燃え上がる心を一旦抑える。結局買い物では何の役にも立てなかったなぁ……。まぁいっか、ここの失敗を次に活かす! パーティも家事も一緒よ……たぶん。
さて買い物袋は流石に私が持っていくことに。何度もアスセナに「姫様に持たせるだなんて……!」と言われたけど……お願い、これくらいさせて!
地味に重たい買い物袋を持って我が家へ。さぁ、ここから本番よ! お昼ご飯に美味しいハンバーグが食べられるのか、イマイチな物ができるのかは私次第なんだから!
「じゃあ作っていきましょうね、姫様♪」
「え、えぇ!」
ゴクリ……緊張してきたわね。
「ま、まずは何をすればいいの?」
「まず玉ねぎをみじん切りにします。ここは……この先は今は内緒です♪ 今は切ってみてください」
「う、うん。わかった……」
なんか含みのある感じだったけど、偉そうなことを言える立場ではない。ただ従うしかないわね。みじん切りというと完全バラバラ状態ってことだっけ。
ザク、ザク、と恐る恐る切っていく……ってあれ?
「あ、アスセナ? なんか目が痛いし涙が出てくるんだけど……!」
「ごめんなさい姫様。ちょっとからかいたくなって内緒にしてしまいました」
「なっ……隠していたのね!」
「ごめんなさいです〜」
もうこの子ったら……! そんなに私の涙目が見たかったの?
「さて、次は飴色になるまで炒めていきましょう!」
「……飴色?」
飴の色って何色とかいう概念あったかしら。コーヒー味なら茶色だしいちご味ならピンク色よね?
炒めても炒めても茶色にしかならないんだけど。
「はい、これでOKです♪」
「えっ」というのをギリギリ喉元で止めた。茶色じゃない! どこの何が飴色なの? まぁでもこれが飴色だというなら仕方ないか……。
「次にボウルにひき肉を入れてこねていきましょう」
「う、うん」
ひき肉をこねる……こうかしら? って
「ひいぃ! 気持ち悪い!」
「ひ、姫様! 感触は我慢してください」
「う……わかったわよ!」
意を決してこねる。ただただ、こねる!
「姫様、次は卵と塩コショウ、ナツメグ、パン粉を入れていきましょう」
「え、えぇ!」
なんだか言われるがままね。分量だってアスセナ任せだし。学校では指示を出す側だから温度差で風邪を引きそうだわ。
「全体が均一になってきたので、そろそろ玉ねぎを入れましょうか」
「う、うん!」
今のところ「えぇ」か「うん」しか言ってないような……。
でも流石に肉の感触にも慣れてきたわね。ちゃんとこねてこねて……
「あれ? ビニール手袋とかしなくてよかったの?」
「そんなことしたら姫様の成分が出な……あっ、だ、大丈夫ですよ♪」
何か言いかけた? けどまぁいっか。きっと大事なことならもう一度言うだろうし。
「では半分とって楕円形に成形していきましょう」
「楕円形……こうかしら」
もにゅもにゅと手の中で動かしてみる。アスセナが隣で「あっ♡」とか「食べたい♡」とか言ってるけど大丈夫ってことよね?
「では焼いていきましょう。ここからは私がやりますね♪」
「うん、お願い!」
上手く焼ける自信ないもの。でも50%は私の力で完成するハンバーグになるわよね? なんだかやりきった感があるわ!
アスセナは慣れた手つきでハンバーグを焼いていく。いつのまにかソースの材料も取り出して同時進行で作り始めた。ひぇぇ……私の親友がハイスペックだよぉ〜。
「はい! 姫様と私の合作ハンバーグ、完成です♪」
「やったー! 食べましょ食べましょう!」
早速机に持っていく。さぁ、どんな味かしら?
「……うん! 美味しい!」
肉汁溢れジューシーなハンバーグ。私が関わったわりにはちゃんとできてるじゃない!
「姫様の成分……キュフフッ!」
なんか笑ってる。いいことあったのかな?
「アスセナ?」
「ひぇ!? な、なんでしょう?」
「改めて毎日ありがとうね。今回料理して大変だとわかったわ」
「そ、そんな。私は楽しんでやれているのでいいですよ!」
必死に首をブンブン振るアスセナ。
「でもお礼はしないとね。と思って」
「じゃあ……またいつか、一緒にお料理しましょうね?」
そんなことを言ってきた。私がいる分余計に手間になるかと思ったけど……
「うん♪ もちろんよ」
食べ終わってからはずっと2人でお話ししたりお昼寝したり。こんな感じで私の日曜日は終わりを迎えた。




