28話 ハプニング!
「ただいま〜」
アシスタントパーティに成長を見せてれ順調! ……というわけではなく、本当は精神をすり減らしていた。要するに、めっちゃ疲れたのよ。
「おかえりなさい、姫様♪」
……疲れた時はアスセナに甘えるしかないわね。
「……お疲れですか?」
「よくわかったわね」
「もちろん! 私は姫様のことなら何でもお見通しです♪」
腕をぐいっと胸元に置いて誇るアスセナ。嬉しいけど、何か隠し事をしたらすぐバレるということよね……。何もやましい事なく生きていきましょう。
「ご飯にします? お風呂にします?」
「アスセナにするぅ〜」
グテ〜とアスセナにもたれかかる。ふわふわしたアスセナの体がベットみたいで気持ちいい。
「ひぇ!? ひ、姫様!?」
「疲れたの……これくらいいいでしょ?」
「良いというかありがとうございますというか……」
あんまりアスセナを困らせても悪いし離れましょうか。
「ぁ……もうちょっといいですよ」
「えっ」
むしろアスセナの方が私の腰に腕を回してホールドしてきた。ちょっと予想外だけど気持ちいいからいいか。
「疲れた時は私に頼ってくださいね、姫様。どんなことでも姫様のためならいたします」
「……ありがとう。でも自分のためにも時間や体力を使っていいのよ?」
「いえ……。姫様に使う時間と体力こそが、私にとっては自分のためなんです」
その言葉を聞いてモコモコしたアスセナの頭を撫でずにはいられなかった。ありがとうアスセナ。その言葉、その思いだけで私は幸せ者よ。
……
しばらく無言のままアスセナに抱きついた形でキープ。すごい癒し効果があるわね。マイナスイオン的なものがアスセナの頭から出てるんじゃないかしら。
「さてと、ご飯にしようかな」
「は、はい! 心を込めて作っておりました!」
そう言うとアスセナがいつも通り心のこもった料理を運んできてくれる。ハンバーグにスープ、パン。どれもおいしそうね。
「ありがとうアスセナ。いただきます」
「はい♪ 召し上がれです」
美味しい料理、可愛いアスセナ、笑顔のアスセナ、白いアスセナ、その後ろの壁に這い寄る黒い物体……ん?
「きゃあ!? アスセナ! ゴ○ブリ!」
「え……? キャーー!!」
アスセナもゴ○ブリはダメなのか、私の方へ避難してきた。
「どどど、どうしましょう姫様!」
「おおお落ち着きなさいアスセナ! こんな時こそ魔法よ!」
「落ち着いてください姫様! こんなお部屋で魔法なんて撃ったら崩れてしまいます!」
ぐっ……確かに。でも素手で"アレ"に触るのは論外だし、手袋をしていても嫌だ。箒で掃く? 1発じゃ無理よね。むしろ刺激して元気になって……って考えるだけでおぞましい!
「こ、怖いです姫様……」
アスセナ……こんなにも震えて。
……私がやるしかないんだ。いつもいつもアスセナに甘えてばかりいたけれど、今日の私は違う。
「見てなさいアスセナ。私が"アレ"を退治する様を!」
「そ、そんな! 危険です、姫様! ここは私が!」
「震えているじゃない。無理は良くないわよ」
本当は私だって震えている。当然あんなの触れたくないし、本当なら視界に入れたくもない。
やるんだ……! と心に決める。覚悟を決めて手に持ったのは、箸。
「はぁぁぁ!!!」
「姫様!」
ガシッとゴ○ブリを掴む。そして……
「せりゃぁあああ!!!」
開いている小窓に向かって全力投球! ゴ○ブリは抵抗むなしくその体を外へと放り出された。私たちの……勝ちね。
「はぁ……はぁ……やったわよ、アスセナ」
「姫様かっこいいです! でも……」
「え?」
「お箸が……」
あっ……完全に我を忘れていたわ。これはもう使えないし……箸は1人1膳しかない。となると……
「姫様、あーん♡」
「あーん」
まぁ……アスセナの箸を使うしかないわよね。なぜか「あーん♡」まで付属しているけど。
大きなハプニングがありつつ、夜は更けていった。




